第10話  少年達は、突入する!

「お友達は元気になった?」

「うん、元気すぎて困るくらいだよ」

「良かったね」

「うん、アダチさんのおかげだよ、ありがとう」

「私は何もしてないよ」

「いや、励まし続けたら元気になったから」


 ガーディアンが噂にんじゃっているということが、ライを動かした。ガーディアンの噂はアダチから仕入れた情報だ。アダチのおかげというのは嘘ではない。


「あ、そうだ、また外の世界の噂を聞いたんだけど」

「どんな噂?」

「外には、日本妖怪と西洋妖怪がいるんだって」

「へえ、そうなんだ」

「それで、ガーディアンは苦労してるんだって」

「へえ、そうなんだ」

「どうして日本ばかり狙われるのかなぁ?」

「本当だ、日本に何があるというのだろう?」

「私の友達も、理由はわからないって言ってた」

「その手の情報は、その友人から入ってくるの?」

「そうだけど、その友人も別の友人から聞いたんだって」

「じゃあ、噂の出所はわからないのか」

「そうなの、だからあくまでも噂なんだけどね」

「窓の外が見えないから、確認しようがないよね」

「そうよね、外出もできないし」

「外に出たいと思う?」

「出たい!」

「でも、外には妖怪がウヨウヨいるんだろ?」

「それでも外へ出たい」

「そうなんだ」

「カズナリ君と一緒に、外で遊びたい」

「そうだね、楽しそうだね」

「うん、きっと楽しいよ」


「ライ」

「なんだ? カズナリ」

「外の世界の噂が流れているらしい」

「どんな噂?」

「外には日本妖怪と西洋妖怪がいるって」

「誰か、見てる奴がいるのかな?」

「わからない、でも、ガーディアンが奮戦しているという評判だ」

「評判に負けないようにしなくちゃいけないな」

「そうだね」

「ハク、シン、そういうことだ、俺達のことは噂になっている、頑張ろうぜ」

「誰かに見られてると思うと気持ちが悪いんだけど」

「なんだよハク、好意的に見てくれてるんだからいいじゃないか」

「俺も薄気味悪い」

「シンまで……頑張ろうぜ」

「戦うよ、それが俺達の使命だからな。でも、噂にはなりたくないんだ」

「注目されてる方が、やりがいがあるだろう?」

「まあ、いいじゃないか、とにかく戦おうよ。僕達にしかできないことなんだから」

「カズナリの言う通りだ。みんな行くぞ!」


「あれ?」

「どうした?カズナリ」

「あれ見てよ、日本妖怪と西洋妖怪が戦ってる」

「本当だ」

「どうする? ライ。日本妖怪の応援にまわるか?」

「このまま突っ込む」

「え? 日本妖怪に味方するんじゃないの?」

「日本妖怪も西洋妖怪も、どちらも敵だ」

「え? え?」

「両方やっつけてやるぜ」

「マジかよ」

「マジだよ、突撃!」


 自信を取り戻したライは、攻撃的になっていた。


「ライ!」

「どうした?」

「日本妖怪と西洋妖怪の両方を敵にまわしてしまったぞ」

「いいじゃないか」

「戦力に差がありすぎる!やられるぞ」

「三つどもえの戦いをするんだ」

「三つどもえになってない、俺達対全妖怪になった」

「いいじゃねえか、両方、敵だ!」

「敵には魔女もいるぞ」

「何?あの魔女の婆か?」


 魔女が光の弓矢を手にした。光の矢が放たれる。


「うお!」


 矢は、ライの胸を貫き、ライを乗せているハクがバランスを崩し墜落していった。


「ライ!」


 次の矢で、カズナリも胸を撃ち抜かれた。カズナリを乗せていたシンがバランスを崩した。カズナリ達も墜落していった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る