第7話 少年達は、助け合う!
「そういうな、カズナリ。しかしマズイなぁ、どうしよう」
「光の弾の連発が止まらないぞ」
「動けないな」
「応援を呼ぶか?」
「シン、応援って誰を呼ぶんだよ」
「それは……」
「あんな奴を倒せる味方がいるか?」
「ハク、冷静な分析をしている場合じゃないぞ」
「あの光の弾、僕の風でもライの炎でも防げないね」
「このまま動けずに終わるのかよ」
「あ、それいいね」
「何がいいんだよ、カズナリ」
「今日は、このまま終わろう。帰って、明日に備えよう」
「帰ってどうするんだよ、帰っても事態は好転しないだろう?」
「ライからゼロに話して、魔女に適した応援を呼んでくれ、勝負は明日だ」
「また応援を呼ぶのかよ」
「他に道は無いだろ?」
「わかったよ」
「じゃあ、撤退だな」
「よし、逃げるぞ!」
ゼロは、“始まりの人”と呼ばれている、僕達のリーダーだ。ゼロが僕達の総指揮官なのだ。ゼロは、味方全員の能力を知っている。きっと、明日には誰か応援が送られてくるだろう。そう祈りつつ、僕達は解散した。勝負は、明日だ!
「おはよう!」
朝、学校でアダチに声をかけられた。
「おはよう、アダチさん」
「うわ、今日はいちだんと疲れてるね」
「そうかな?」
「そうだよ」
「今日、学校を休んだら?」
「休まないよ。休んだら、ロボットが過剰反応を起こすから」
「本当に、大丈夫?」
「うん、大丈夫。心配してくれて、ありがとうね」
「もしかして、何か悩み事?」
「うーん、そうかも」
「何を悩んでいるの?」
「スポーツでも何でもいいんだけど、自分よりも強い相手と戦うには、どうすればいいと思う?」
「相手よりも強くなる」
「だよね」
「それがどうかしたの? もしかして、今、誰かと戦っているの?」
「ううん、ちょっと聞いてみただけ」
「カズナリ君、何を悩んでいるのかよくわからないけど何かあったら私に相談してね」
「うん、ありがとう。あ、授業が始まるよ」
「うん、それじゃあ…」
放課後、カズナリ達は公園に集合した。援軍を待つ。やがて、ほうきに乗った少年が現れた。
「あんたがゼロからの応援か?」
「ああ、フミヤだ。あんたがライか?」
「俺がライだ。ほうきに乗ってくるとはな、まさかほうきに乗るのがあんたの能力じゃないだろうな?」
「俺は魔法使いだよ」
「魔法使い?」
「いろんな魔法を使えるよ」
「おかしいじゃねえか、普通、1人につき1つの能力だ。飛ぶなら飛ぶだけ、攻撃や防御するなら攻撃や防御するだけだ、しかも、俺は炎、カズナリは風、攻撃や防御にも制限があるはずだろ?カズナリみたいに、マスターキーの能力と風の能力、2つの能力を持っているだけで充分にレアなんだぜ」
「それがどうかしたのか?」
「1人でいろいろな魔法を使えるなんて信じられねえよ」
「俺は、“魔法使い”という1つの能力を持っているんだよ」
「そんなのズルイぜ!」
「ズルくても、事実だからしょうがないだろ? 魔女はどこだ? 早く終わらせて、早く帰りたい」
「上にいるだろ?」
「ああ、いるねえ。婆さんが」
「よし、俺達も上がるぞ」
「ライ達は上がらないでくれ。攻撃に巻きこんでしまうかもしれない」
「じゃあ、何もしないで見てろって言うのかよ」
「地上から援護射撃をしてくれ。俺を巻きこまないようにしてくれよ」
「わかったよ」
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