第10話 貴子とプール!
すっかりシリーズになってしまった“プールシリーズ!”こんなのはシリーズにするな! と言われてしまいそうだが、このイベントは僕にとって重要だったのだ。小学6年生時点、女子と2人きりでプールに行く! それは、僕が思っていたよりも楽しかったのだ。しかも、3人とも美人。最近の小学生のことは知らないが、当時、こんなデートをしていた小学生は少なかっただろう。
着がえ終わった貴子は、黒いビキニを見事に着こなしていた。絶対に小学生とは思えない。脚も長くて胸もある。モデルか? というスタイルの良さだった。
例によって、スライダーから始まる。そして、恒例の後ろから抱き締め滑り。下に着水すると、スグに貴子が言った。
「崔君、くっつき過ぎ! まあ、くっついてくると思ってたけど」
「こんなイイ女と一緒にいたら、抱き締めたくなるやんか」
「もう、お触り禁止にするで!」
「少しだけ触らせて、お願いやから!」
「優香も沙織も触ったんやろ?」
「うん、触った」
「ほな、しゃあないか」
「もう1回、スライダーに付き合ってや」
「うん、それはええねんけど」
そして、貴子の胸に触りながら滑った。
着水すると、
「ちょっと……」
と貴子が言い終わらない内に僕が言った。
「貴子って、やっぱり胸があるんやな、感動したわ!」
「そんな、感動って……大袈裟な」
「いやいや、ちょっと触っただけやけど見事やわ。スタイルがいいとは思ってたけど、まさかこれほどとは。触ってて、めっちゃ気持ち良かったわ」
「はい、胸の話は終わり。普通に泳ごうや」
「わかった、泳ごう。浮き輪ならあるで」
「浮き輪? ほな貸して」
「浮き輪につかまる貴子に僕がつかまるねん」
「また、くっついて! もう、落ち着いてくれへん?」
「アカン、貴子とくっつきたいねん」
「コラ、コラ!」
「そろそろ何か食べようか? 僕、何か買ってくるわ」
「あ、私、サンドイッチ作って来たで」
「ほんまに? おお! ごっつ嬉しいわ」
「ちょっと待ってて、更衣室から取ってくるから」
「お待たせ」
「ああ、悪いな、気を遣わせちゃって」
「水筒には紅茶が入ってるから」
「お、すごい! いろんな具がある」
「結構、多目に作って来たから好きなだけ食べてや」
「うん、いただきます」
と、食事を楽しんでいると、高校生らしき輩2人組が近寄って来た。
「お姉ちゃん、こんな冴えない奴は放っておいて俺達と泳ごうや」
「そうそう、俺達と遊んだ方が楽しいで」
「私、彼氏と一緒やから」
「そんなチビなんか捨ててこっちへおいでや」
仕方が無い。僕は立ち上がった。貴子も立ち上がった。
無言で、僕は1人の股間を蹴り上げた。思わずくの字になる男の顔面に膝蹴り。すると、もう1人の男が殴りかかってくる気配を感じた。“まあ、1発くらいは仕方がないかな?”と思ったら、男はぶっ倒れた。貴子の上段蹴りが炸裂したのだ。貴子は空手を習っていた。
そんなことをしていると、プールの監視員さんがやって来た。輩2人組は退散した。プールの監視員さんには事情を話して納得してもらった。
「ごめんな、僕1人で対処できたら良かったんやけど」
「さすがに、崔君1人で高校生2人の相手はキツイやろ?」
「でも、貴子を危ない目に遭わせてしまった。ごめん」
「気にせんでええよ、ちゃんと私を守ってくれたやんか。さあ、食事の続きやで」
プールから出ると、貴子に誘われて公園のベンチに座った。
「話があるんやろ? 何かな?」
「崔君、3人を相手に平等に相手してるやろ」
「3人とも大切やからね」
「それって、無理してへん? 3人とも平等っていうのがおかしいやろ?」
「なんで? 僕は無理してへんよ。まあ、1人に絞れないのは悪いと思ってるけど。僕は、今が楽しいねん。3人とも魅力的やからなぁ。それぞれに違う魅力があるし」
「やっぱり、自分だけが崔君の特別な存在になりたいと、みんな思ってるんやで」
「平等じゃあ、嫌なんやね」
「うん、私はまだええけど、優香や沙織はそういう想いが強いと思う」
「ごめん、もう少し時間をくれへんかな?」
「うん、ええよ。あ、今度B小学校の翔子ちゃんについて詳しく聞かせてや」
「わかった」
「わかってくれたんやったらええわ、ほな、帰ろか、今日も楽しかったなぁ」
そして、本命の翔子とのプールデートを迎える。
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