第6話  修学旅行に思い出を!

 目覚めたら、僕の右の腕枕で優香、左の腕枕で沙織。目を覚ました優香に、僕はキスをした。続いて目を覚ました沙織にもキスをした。みんな、起き始めた。僕は少し微睡んでいたが、1人の女子が声を上げた。


「キャーッ! 崔君、パンツ!」

「ん?」


 僕は朝立ちしていた。トランクスがはち切れそうだった。


「若い男は、朝になったら立つねん。健康な証拠や」

「見てて恥ずかしいわ、見えないようにしてや」

「なんやねん、逆に見せたるわ。これが男のチ〇チ〇やー!」


 僕はトランクスを脱いだ。


「キャーッ!」


 大騒動になった。まあ、いいだろう。やがて僕はトランクスを履いて浴衣を整えた。そのまま座って壁にもたれる。


「崔君、男子の部屋に帰ってや。着替えられへんやんか」

「みんな、僕の裸見たやんか、お返しに着がえくらい見せてや」

「アカン、崔君、外に出てや」

「はあ、しゃあないなあ」


 僕は男子の部屋に帰って着替えた。スグに朝食だ。朝食も班毎。僕等の班は盛り上がった。陣内が、“俺も女子部屋に行きたかった”と恨めしそうにしていた。


 そして、バスに乗り、何カ所か観光名所を巡ったが、優香達と楽しく過ごしたということが1番の思い出だった。


 僕は、隙あらばスキンシップ。優香や沙織と手を繋いだり腕を組む。優香が右、沙織が左、両腕で腕組み。貴子は腕を組んだり手を繋ぐのは避けた。避けられたのは寂しいが、別に嫌われてたわけでもないようなので気にしなかった。


 そして、時々、意表を突くお姫様抱っこ。これがウケた。僕は、お姫様抱っこが好きになった。陣内も負けじとスキンシップを狙っていたが、3人娘のガードがかたくて僕は羨ましがられた。僕が3人娘と良い感じなのは、クラスの誰もが知っている。


 もうすぐ夏が来る。僕達は、夏デートで夏祭りとプールに行くことに決まった。僕の奢りで、修学旅行が終わったら水着を買いに行く約束もした。


 陣内を置き去りに、夏デートの話で盛り上がった修学旅行だった。僕は写真を撮りまくった。タイムスリップしてから、なるべく写真を撮るようにしている。思い出を残さなかった前の人生の反省から、そうするようになったのだ。



 2泊3日の修学旅行が終わった。ちなみに、2日目の晩は男子部屋で男子と枕投げをして遊んだ。何人もの男子が鼻血を出した。男子との時間も作ったのだ。だが、もう1つ男子部屋に残った理由があった。前夜、女子の好きな男子を聞いた。そこで、2組が相思相愛なことがわかった。石田と真央、大林と香の組み合わせだった。


「石田、ちょっと話があるんやけど」

「どないしたん?」

「石田って真央のことが好きなんやろ?」

「うん、それがどないしたん?」

「真央も石田のこと好きらしいで」

「嘘! マジで?」

「マジ。真央は誘われるのを待ってるから、これからプールとか夏祭りとか誘ったらええねん。絶対に上手く行くから」

「デートか……緊張するなぁ」

「僕なんか、毎週デートやで」

「そうか、ほな、話しかけてみるわ」



「大林、お前、香のことが好きやったよな?」

「うん、そうやけど」

「香もお前のこと好きやぞ。デートに誘えや」

「えー! 俺からは誘われへんわ」

「ほな、香から誘われたら恥ずかしがらずにOKできるか?」

「うん、それなら」


「香ちゃん、大林が“香ちゃんから誘ってくれたらOK”やって言うてるで」

「何、それ? 普通は男の子から誘うんとちゃうの? 女の子1人、誘われへんの?   もうええわ。冷めたわ」

「え! もうええの?」

「うん、女の子1人口説かれへんような男は要らんわ」

「わかった、そう伝えとく」


 大林は猛烈に後悔していたが、僕は告げることを告げ終わったら去った。



 有意義な修学旅行だった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る