第5話 修学旅行!
そして、僕達は小学6年生になった。僕は、翔子と連絡先を交換、土曜の図書館デートも出来る様になり、3人娘といかに嫌われずに別れるか? 考えていた。
だが、中学入学までまだ1年ある。まだ、僕は危機感は感じていなかった。“1年もあるんだ、なんとかなるだろう”と思っていた。
僕は相変わらず3人と順番に日曜にデートして、土曜日は翔子との図書館デートだった。いや、4週間に1度は翔子とデートしないといけない。そうなるようにしよう。3週、3人と順番にデート、そして4週目に翔子とのデートをねじ込めばOK!
僕は裏でコソコソと小細工をしていることを知られないように過ごした。
すると、修学旅行の日がやって来た。男女3人ずつ計6人で1グループ。優香、沙織、貴子は僕のグループだった。僕のグループの男子は僕、陣内、音無君。陣内は、以前からよく女子と話すタイプで、女子に慣れているし絶対に冷やかさないから良いと判断して誘った。音無君はおとなしい。人畜無害なタイプだった。
行き先は、伊勢・志摩。はっきり言って、場所なんかどうでもよかった。3人と楽しく過ごせるならそれでいいのだ。水族館も、3人娘と一緒なら楽しかった。
「お客さんが邪魔で、見えへんわ~」
「沙織ちゃん、持ち上げたるわ」
「え! 恥ずかしいやんか」
「ほら、見えるか?」
「見えるけど、崔君って結構力持ちやねんなぁ」
「と、ここでお姫様抱っこ」
「うわ、これはマジで恥ずかしいわ」
「崔君、私も-!」
「よっしゃ、優花ちゃんもお姫様抱っこ」
「うわ、本当や、めっちゃ恥ずかしい」
「恥ずかしい?」
「恥ずかしい。でも、楽しい」
「そやねん、私も恥ずかしいけど楽しかったわ」
「はい、残りは貴子ちゃん」
「私はええわ」
「ノリが悪いなぁ、早よ、おいでや」
「もう、しゃあないなぁ」
貴子は発育がいいだけではなく、中身も成熟している。要するに、歳の割には大人なのだ。頭がいい。子供っぽいノリは嫌がることが多い。
でも、そんな貴子を許す僕ではなかった。僕は貴子にしがみついた。
「崔君、何するんよ」
「ん? お姫様抱っこ」
「もうええって、もうええから」
「はあい」
「もう、崔君はスグに悪ノリするんやから、困ったもんやわ」
「まあ、ええやんか。楽しかったやろ?」
「もう、ええけど」
そして、夜。僕は女子の寝所(大部屋)に潜入した。
「みんな、好きな男子のことを教えてや」
「そういう崔君はどうなん?」
「優香ちゃん、沙織ちゃん、貴子ちゃん、それからB小学校の翔子ちゃん」
「B小学校の翔子ちゃんって誰-!?」
「僕のことはええやんか。みんな、誰が好きなん?」
「なんで崔君に言わなアカンの?」
「僕に言うとかじゃなくて、みんなで言い合うねん。これでこそ、修学旅行の醍醐味やろ? 僕は自分の好きな女の子が誰か? 言うたで」
「私は……岩井君……」
「えー! そうなん?」
「あんたは誰なん?」
「私は……」
それなりに盛り上がった夜。朝には、僕は優香と沙織に挟まれて寝ていた。気持ちのいい目覚めだった。
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