第22話 2024年12月24日の過ごし方(ブックサンタ2024 PIXIV)
「クリスマスはね、もみじがいる20日に祝う予定。そもそも24日と25日は仕事で帰ってくるのが遅いから、クリスマス祝うって気分じゃないの」
それじゃあべにはくんはどうするの、そう聞きたいのを我慢する。
「私もクリスマス付近は仕事があるから、クリスマスは祝わない予定です」
とはいっても、私はクリスマスも祝わない。
クリスマス祝おう、そういう発想すらなかった。
「そういえばクリスマスと言えば家族と過ごすってことが多いけど、夕占さんは最近もみじさん以外の家族と会いました?」
「全然。高校進学とともに、両親や兄妹とは絶縁した感じだから」
「そうでしたね」
なにか、それは悲しいような気がする。でも毎回毎回家族のことを聞かれると、あっさりと夕占さんは答えるので、悲しみや苦しみはそこにないかもしれない。
「じゃあさべにはくんはクリスマス、どう過ごすか知っていますか?」
「それこそしらなーい。クリスマスは平日だし、仕事しているんじゃない」
興味がなさそうに、淡々と夕占さんは答える。
夕占さんとべにはくんは一応一緒に暮らしているはずだ。でも夕占さんはべにはくんのことをほとんど無視しているようなもの。そこで夕占さんはべにはくんのクリスマスの過ごし方は、当然のように知らないみたい。
とはいえ私にとっては、べにはくんは友達だ。べにはくんも私と趣味が同じなのもあって、なんだか放置したくない気分。
そうだ、クリスマスといえばプレゼントである。べにはくんに何かクリスマスのプレゼントあげようかな? べにはくんはもしかしたらクリスマスにプレゼントをもらったことがないかもしれないので、やってみるだけの価値はあるかもしれない。
「まあまあクリスマスはともかく、次こうやって焼肉ができているのが来年だと思うと、2024年もう終わっちゃうんだなって思う」
「それはそうかもしれません」
今日は12月18日の夜。夕占さんの仕事終わりに合わせたため、少しじゃないほど遅めの夕ご飯。
こんな遅い時間に焼肉なんていうものをがっつりじゃないけど、食べているということに少し背徳感がある。でも肉はおいしい。
「来年はどうなっているかな? 今年よりもマシであって欲しいけど」
「私は変わらずに、仕事を続けられたら良いです」
ちゃんと今仕事をできているから、私は来年もこのままでいたい。
でも本屋でのアルバイトで生計を立てている夕占さんは、もっと稼げて安定できる仕事につきたいのだろう、多分。
「来年こそあたし頑張って働いて、べにはがいなくてももみじの生活を保てるように頑張るぞー」
夕占さんはそう勢いよく言ってから、肉を焼く。
べにはくんはもみじちゃんにとって大事な人なんだけど、そこら辺の所をまだ夕占さんは理解できていないみたいだ。
いや理解したくない、だけかもしれない。
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