第2話
こんな都合よく初戦で戦い方が分かる状況ってあるんだな。
シャキーン
俺は腕時計から一本の剣を引き出した。銀色の刃に木製の持ち手。ゲーム開始時に主人公が持ってるような攻撃力の低そうな剣だ。
「でも今はこれでいい」
俺は走って顔のない奴の方向に向かった。
ザシュッ
俺は剣で奴を切りつけた。すると、奴から【7】という数字が飛んで行った。
ダメージ数だな。
脳内にある戦い方、そして俺が手に入れたこの力。完全にゲームそのものだった。攻撃力、防御力、スピード、色んな自身の力が数値化されている。
するといきなり後ろから何かが迫ってくる気配がした。振り向くとそこには手が尖ったやつが俺を突き刺そうとしていた。
まずい
俺は急いで剣でそれを防いだ。しかし、和らげることはできたものの、普通に痛い。
俺の体から【3】の文字が飛んで行った。多分、三ダメージ食らったんだろうな。俺の脳内に浮き出ている数値のHPのところが【9/12】となっている。
「いくら何でも初戦で2対1はきついな…」
大抵バトルのチュートリアルって負けるのが難しいレベルで設計されてるはずなんだけどな。人生にチュートリアルなんてねぇってか。
奴ら二人が前後から同時に攻撃を仕掛けてきた。残念ながらまだ今の俺の実力だと片方は受けきれてももう片方の片方の攻撃はもろに食らう。そして防御して3ダメージってなるともろに食らったら9ダメージ食らいましたなんてあり得る話だ。どうせHP0=死亡なんだろ?これどうする?
しょうがない、耐えることにかけるか。
俺は正面からくる手の尖ったやつの攻撃を剣で受け、蹴り飛ばした。でも、顔のない奴の攻撃は食らうしかない…
グウォォォン!
ガシッ
うしろから何やら犬の鳴き声がした。見てみると、顔のない男は倒れていた。そしてそいつの腕には、体、顔、足、尻尾、すべてが岩でできた犬がかみついていた。
「危ね間に合った…玄馬、大丈夫か?」
工藤が歩いてやってきた。そして、左腕には俺のと同じ腕時計がついていた。そして、手には5枚ほどカードを持っていた。
「カードゲームか」
「そうみたいだ。あのストーンドッグが俺のハンドの中で一番攻撃力が高かったから出してみた。ついでにもう一枚」
武器カード:石の剣
すると、ストーンドッグが刃が石でできた剣を咥えた。
「犬って、あんな感じに剣持つんだ…」
「いけ!ストーンドッグ!顔のないほうに攻撃!」
ゲーマーたちの世界救出クエスト あつかち @atukati0808
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