第2章 ヒノメ班(30位) vs イチバ班(17戦13勝4敗:20位)の戦い

第1話 試合前の控室にて

 イチバ班との再戦当日。


 ヒノメたちは試合会場である〈錆びた都市ラスティシティ〉の控室にいた。部外者の立ち入れない二階の一室で、円卓や椅子の他に鏡台なども備えられている。


 窓の無い部屋でも光源には困らない。壁や天井から生えているのは、陽光を浴びた分だけ暗闇で発光する照明花ライト。丸い花弁の中心から淡い光を発し、室内を照らしていた。


「ようし、今日こそは勝とうね」


 準備運動をしているヒノメの笑顔には気力が充実している。


「ヒノメさん、楽しそうで羨ましー……」


「今くらい楽しませてあげましょう」


 ムイは椅子に腰かけてセイヨウハッカ茶ペパーミントティーを飲んでいた。その瞳は落ち着きなく室内を眺め、いつもより背中が曲がっている。


 ミズクはムイの隣で本を読んでいた。豪胆というよりは、単に無気力なだけに見える。


 ムイとミズクは、ヒノメほどカラスコーチのことを信用できていないらしい。半ばヒノメに引きずられるようにして、消極的ながらもイチバ班との再戦を承諾している。


「二人ともー。気が乗らないのもわかるけど、コーチの言うことを思い出して頑張ろ!」


「ごめんなさい、ごめんなさい。やっぱし面識のない怪しいおじさんコーチは信じられないよ」


「あのロリコンおじさんコーチ)は怪しいです」


「でもさ、言っていることは納得できたでしょ。ムイちゃんは戦局を見て、積極的に動くこと。ミズクちゃんも甘えを捨てて、もっと自分で考えて動かなきゃあね」


 言われた二人は面白くなさそうだったものの、静かに頷く。

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