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 私も彼女も出会ったときは無邪気な子供だった。どこで生まれ、なんという名で育つことになり、どのような子供だったかも忘れてしまったが、とにかく無邪気な、普通の子供だった。

 無邪気な子はときに罪を犯す。無邪気がゆえに必ずのない永遠を願い、それを軽率に約束してしまう。

 恐らくではあるが彼女は言葉に不思議なナニカを宿すことの出来る子だったのだ。それは言霊であり、呪いであり、彼女の望む運命だった。使い方と言い方を変えてしまえば何とでもなる。なににでもなる。でも、彼女はそのことに気づいていなかった。

『私たちはずっと一緒よ。何度生まれ変わってもまた会うの。私たちは仲良しだから!ね?』

 その後の私たちは小さなことで仲違いをした。仲違いの原因は覚えていないが私の落ち度だったことだけをやけに鮮明に覚えている。幼い子によくあると言えばよくあるものだ。

 しかし彼女の言葉はある種の必然となってしまった。力の宿った言葉は強い力で必然を呼び寄せる。「私と彼女が出会う」という必然。いわゆる「始まり」を。その反対で私は彼女との関係を終わらせてしまう「終わり」という必然を引き寄せてしまう。

 最初の約束を何度も繰り返すのだ。姿を変え、形を変え、時代を変え、年齢を変えて。

 彼女と私の間を走る必然は「出会いという始まり」と「仲違いという終わり」を強く強く引き寄せる。私たちはこの必然の中でしか生きられない。必然が終わったらSomniumで会い、また気付かぬうちに必然が始まる。

 始まったセカイの中で私たちが出逢うのは必然であり、彼女は運命だと呼ぶ。でも、出会うことが決まってしまっているこれは本当は運命と呼べないと私は思う。

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