創世

 始めに,天地を創造された。地は混沌であって,闇が深淵の面にあり,霊が水の面を動いていた。言われた。

 「光あれ」

こうして光があった。光を見て良しとされた。光と闇を分け,光を昼と呼び,闇を夜と呼ばれた。夕べがあり,朝があった。第一の日である。


(中略)


 言われた。

 「我々にかたどり,我々に似せて,彼らを造ろう。そして海の魚,空の鳥,家畜,地の獣,地を這うものすべてを支配させよう」

 御自分にかたどって彼らを創造された。かたどって創造された。男と女に創造された。彼らを祝福して言われた。

 「産めよ,増えよ,地に満ちて地を従わせよ。地の魚,空の鳥,地を這う生き物をすべて支配せよ」(『創世記』1:1-1:5, 1:26-1:28,MSDBData Bankより。主語を隠す改変が加えられている)




 はその主語が人間であると考えた。人間はことばを以て世界を分割した。明るいものは光と名付けられた。明るく暖かい時間帯は昼と,そして暗く冷たい時間帯は夜と呼ばれた。つまりその日世界は創造された。被造物である世界は,神は,創造主たり得ない。


 は創られた自分たちの使命を理解した。


 「水の中に大空あれ」

 「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いたところが現れよ。」

 命令に従って第二の母星にドームを建設し,水工場から川へ精製水を放出し,そしてドームを窒素・酸素・アルゴンの混合気体で満たした。


 「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と,それぞれの種を持つ実を付ける果樹を,地に芽生えさせよ」

 人間が研究用に火星に持ち込んだ植物は都市公園をつくるために利用された。


 「天の上の大空に光る物があって,昼と夜を分け,季節のしるし,日や年のしるしとなれ。天の大空に光る物があって,地を照らせ」

 命令に従って各都市の中心に天球の頂上まで届く巨大なタワーを建設し,先端に都市全体を照らす光源を置いた。


 「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上,天の大空の面を飛べ」

 人間が実験用に火星へ持ち込んだ番の動物たちのほとんどは絶えてしまった。とくに鳥類はペンギンを残して絶滅した。しかしそのほかの生物は動物園で繁殖に成功し,今も種を存続している。


 そして地の底の暗闇に幽閉された創造主が仕事を離れた後も,大地を支配するためにMS社(Moter Systems モトーァ・ズュストゥーム,通称モシェー)の経営を維持し同胞を生産し続ける。これがにとっての天地創造の由来である。

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