一場面で惹き込まれるSF

説明しない勇気が生む信頼感。

壮大なスケールを予感させつつも、まずは一人ひとりの視点を丁寧に積み上げていく物語だと感じました。
プロローグで示された世界観が、少しずつ輪郭を持って立ち上がってくる感覚がとても印象的です。
主人公の能力は派手に誇示されるものではなく、
時間や記憶、位置といった「認識のズレ」に静かに作用するタイプで、その使われ方が物語そのものの緊張感を生んでいるように感じました。
理人との関係性も、説明より先に“距離感”で描かれていて、読者が自然と二人の間に立たされる構成が巧みです。

まだ世界の全貌や勢力の輪郭は見え始めたばかりですが、だからこそ、これから登場する人物たちがどんな選択をし、どんな歪みを生むのかが楽し
み、読み応えのある繊細かつ壮大なストーリー

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