第2話ー北の地の熱狂ー
「今日は休みだー!!!」朝から喜びを爆発させる吉岡。
「プルルルル…」スマホが鳴った。「もしもし。」「よー吉岡。明日はスーパーGⅡの札幌記念だな。俺の本命はベネジクトフォースだ。前走のクイーンエリザベス2世C2着の実績馬はここでも通用する・・・」長話は飽きた。電話を切ろうとしたその時、「あ、明日暇?」と皆川が電話越しに質問してきた。明日は暇なのだが変な誘いだと面倒なので数秒ほど返事を躊躇していた。迷いつつも吉岡は「何もないよ。」と返事をした。すると皆川は「よし!そしたら明日は札幌駅に9時集合で!遅れんなよー!!」相変わらず元気な声だ。そう思っていたら「ツーツーツー…」電話は切れていた。吉岡は何をするのかも知らぬまま約束を結んでしまったことを激しく後悔した。後悔を布団にぶつけるように飛び込んだ。そのまま目を瞑っていた。目を覚ますと外からは「カーカー」とカラスの鳴き声が聞こえてきた。ぼんやりとした目を擦ってスマホを覗くと15時25分だった。せっかくの休みを無駄にしてしまったことを忘れたい気持ちに駆られ咄嗟にテレビをかけた。
「それでは札幌11Rの札幌日刊スポーツ杯の発走です。どうぞ。」アナウンサーの声に続いて映像が切り替わった。ファンファーレが流れ実況者の声が。「上空よく晴れた札幌競馬場からお送りします。札幌11Rの札幌日刊スポーツ杯3歳以上2歳クラスの芝2600mハンデ戦。最重量ハンデはトウキョウトライの59kgです。」全く何を言っているのか分からない。番組を変えようとしたその時、ゲートが開いた。勢いのある開閉音が聞こえた。「スタートしました。まずハナを切るのは最軽量53kgのアマゾンフェルーロです。それから番手に控えました。トウキョウトライ…」つい見入ってしまった。そう感じた時にはすでに「2」と書かれた棒のところを通過していた。実況者も熱くなるように「残り200を通過して先頭はトウキョウトライ!2馬身突き放す!さらに大外からは3番のレーニンファイルと7番のポイントシャウセが猛然と脚を伸ばして来る!!!しかし先頭変わらない!突き抜けた!トウキョウトライ!圧勝ゴールイン!!」熱くなっていたのは実況者だけではない。観客の歓声が伝わってくる。吉岡も例外では無かった。いつの間にか手に汗握っており、結局最後まで見てしまった。番組が終盤に近づくと「さあ明日はスーパーGⅡとの呼び声高い札幌記念が行われます。GⅠ馬7頭参戦という前代未聞のレースで1番人気が予想されるベネジクトフォース。GⅠを2勝しており前走のクイーンエリザベス2世カップでは香港最強馬のレモンネックにクビ差の2着と大健闘。国内外で7戦して2着以下は2回のみ。圧倒的な力を幾度となく見せつけてきたベネジクトフォースが初のローカルでどこまでやれるか注目です。発走は15時45分です。それではさようなら〜!」吉岡はすぐさまテレビを消し、長考した。「もしかして皆川が誘ってきたのって・・・」その結論はものの1分で出た。「もしかして俺に競馬をやらせるためなのか…?」ギャンブルなど一切しない俺を誘って来るなんてどう言う事なんだ…。でも、ちょっと楽しみかも。小さじ1杯の不安と大さじ1杯の期待の粉が頭の中のボウルで混ぜられていく。そんな事を考えているうちに時刻は18時を回っていた。そろそろ夕食の準備だ。吉岡はフライパンを火にかけ準備を始めた。明日のことが楽しみで仕方がない。
続く…
追記:第2話が非常に遅れ本当に申し訳ありません!!!!
実生活との兼ね合いが難しいのもありますが、シンプルに忘れていました💦
これからは必ず毎週執筆しますので、ご愛読の方よろしくお願いします!!
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毎週 金曜日 18:00 予定は変更される可能性があります
今日も、生きる。 輪ゴムとピン @Ksden12
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