ペンギンは陸の上では、よちよちとおぼつかない歩みしかできない。だが一度海へ入れば、時速11キロもの速さで自由自在に泳ぎ回る。彼らにとって真に生きる場所は海の中なのだ。しかしその海は、同時に多くの天敵がひしめく死地でもある。入らなければ餌を得られず、飢えてしまう。けれど入れば、命を落とす危険と常に隣り合わせ。だからこそ彼らは鳴きながら海へ潜る。その声はまるで「サヨナラ」と告げているかのように、強く響く。
登場する人間はフーと『ぼく』の二人だけ。けれど文章のなかに踏み入れれば、広大で美しい世界が広がっています。 ある種の『悲しい話』『切ない話』の側面はもちろんあって、その側面が疎かにされているわけではないのですが、個人的に印象に残ったのは、ショーの美しさでした。 SFらしい壮大さと、幻想的な美しさが魅力的な作品です。
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