灰殻の夢

喧騒の街の片隅に

吹き溜まりの暖かさを求めた

だが どこに行けど

とうに灰殻はいがらと化していた


カフェの空調 壁沿いのテーブル

冷えた身体に頬張るサンド

キャラメルラテは

疾うに冷たくなっている


高架下 軋む蛍光灯

コーヒーカップは悲鳴を上げて

繋ぎなおしたWiFiは不安定

読み込む想いは低画質


クリームを溶かした夢の中

流れる絵面は再放送デジャヴのように

嫌気がさして目を覚ます

後味悪めの残物のこりもの


飽いてしまったその甘さ

スプーンに添えた指先は

植込うえこみに吹いた風のほうが

温かいのかもしれないな



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