第4話 犠牲者
こちらは第一部隊
彼等は魔物の群れと対峙していた
「こりゃ大歓迎みたいだな〜」
そう言ったのは獣人族の武闘家ケルビエであった
彼は好戦的で素早さを活かした先制攻撃を得意としていた
「みんな避けろ!」
そう仲間達に注意したのはエルフの魔法使いフォードだ
彼は強力な魔法を敵めがけて放った
すると敵の約4分の1を一掃したのだった
「凄え威力だな!こりゃ頼もしいな」
ケルビエは感心したらしく嬉しそうだ
「よそ見してるとやられちゃうわよ?」
ホビットの弓術士サヴァナがそう注意した
彼女は矢を複数操って敵にダメージを与えていく
一撃の威力は低いが群れを相手に全体攻撃をして体力を削る事が出来る
先制攻撃やトドメを指すのにかなり役に立つスキルだ
「なかなかやりますね!」
そう言ったのは人間の召喚士ツバサで、フード付きのローブを身に纏っていて男なのか女なのかわからない風貌である
ツバサは召喚獣を操って敵にダメージを与えたり仲間に補助魔法をかけたり攻撃も防御もこなしていた
「なかなか良いチームだな!」
そう言ったのは悪魔族の呪術士ニカラエナだ
「しっかしまだ全滅させられないのか?」
そう言ったのはドワーフの剣士ドラナだ
「仕方ないですよ…敵の数が多過ぎますからね」
そう言って返すのはバードニール族のパラディンキラフェアだ
敵は後から湧くように現れて次々と襲い掛かってくる
「みんななんとか耐えて頂戴…これが終わったら破邪の魔法を掛けるから!」
ドラゴニール族の法術士マノムが仲間達を叱咤激励する
「きゃあーっ!」
突如悲鳴が上がった
なんと魔物がサヴァナを捕まえて攫って行ったのだ
「サヴァナが魔物に攫われた!」
仲間達はどよめいた
女性の仲間が攫われてしまったのだから当然である
「奴を追うぞ!」
迫る敵を倒しながら仲間達はサヴァナが攫われた方向へ向かう
しかしサヴァナはなかなか見つからない
「これヤバくない?サヴァナは無事かしら?」
マノムが心配そうに言う
「何とか探し出して助けなければ…最悪の事態も考えられるからな…」
ニカラエナが厳しい表情でそう言った
「最悪の事態って何だよ?」
ケルビエがそう聞き返した
「魔物は女性を攫って強姦した挙げ句、殺す事もあるからな…」
その言葉に仲間達の表情は一変した
「早く探し出して助けなければ!!」
数時間後…
「そんな…嘘だろ?」
森の中の魔物の巣の中で変わり果てた姿のサヴァナが見つかった
彼女は強姦された挙げ句に殺されていた
彼女の傍には事切れた魔物の死体が転がっていた
「最後の力で強姦した魔物を倒したようだな」
「…でもこんなのって酷いよ…助けられなくてごめんねサヴァナ…」
そう言ってマノムは涙を流した
仲間達はサヴァナの遺体を火葬して埋葬した
「畜生…俺にもっと力があれば…」
そう言って悔しそうな顔をするケルビエ
「お前のせいじゃない…俺達だって同じ想いだ…」
そう言って慰めたのはドラナだった
「これ以上犠牲者を出さない為にもみんなで強くならないとな」
「そうだな…多勢に無勢の時は逃げる勇気も必要だな」
そう言ったのはツバサだった
「敵前逃亡するのか?」
ケルビエはツバサの言葉に怪訝そうだ
「死に急ぐような真似はしない方が良い…敵前逃亡するのも時には必要だ」
ツバサはケルビエにそう言い聞かせた
「そうだな…生きていればいずれ勝てるだろうからな…死んだら無駄死になるからな」
そう纏めたのはニカラエナだった
仲間を失った彼等は2度とこのような悲しい事が起きないようにと強く誓うのだった
アナザーストーリー みゅうた @tomrina
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