第3話 動き出す怪しい影

「ほう…ロキ達を倒そうとする奴等は二手に分かれて行動しているようだな」


何者かがそう呟いた


「もう少し様子を見るか…我が今出て行っても奴等を困らせるだけのようだしな」


こちらは南に向かった第二部隊


「南か〜ドラゴニール族の国もそっち方面だったな?」


バードニール族の魔剣士オーエンにそう聞かれたドラゴニール族の槍術士ネイドは頷く


「ドラゴニール族って法王が収める国だっだかしら?」


エルフの賢者のアシェリーは興味深いのか

そう聞いて来た


「陛下の結界のお陰で城の中は平穏そのものだよ…代々法力の強い王族が新たな結界を張って守っているんだ。人間の国であるリンガイア王国も魔力装置で結界を張ってるらしいじゃ無いか」


「まぁな…あそこも王族は魔力が強いのが特徴だからな…それを有効利用しているって訳だな」


どうやらリンスロットが作らせた魔力を使った結界装置は今もなお現役で動いているようだ


「俺達は隣のディナライン王国の出身だからな…そこまで詳しくは知らないんだ」


人間の魔法剣士ゼファーと忍者のショウはそう言った


そんな事を話している一行の前に魔物の群れが現れた


「ゴブリンロードか…肩慣らしくらいにはなってくれよ?」 


そう言いながらバードニール族の魔剣士オーエンは魔剣で敵に切りつけた


ドラゴニール族の槍術士ネイドも後に続いた



「薄汚いゴブリンロード…見るに余るな」


そう言いながら魔族の精霊術士のアークバインは魔法を唱え始めた


すると次の瞬間、ゴブリンロードが次々と消滅して行った


「ほぇ〜凄ぇ!」


「無駄に体力を使うより効率的だろう?」


町に到着すると宿の部屋を確保した上で酒場に向かった


親睦会を兼ねて食事を取るためである


「この町の名物はエスカルゴらしいな」


「えーっ!私は苦手だわ」


そう言ったのはホビットの薬士のヒルデだった


「好き嫌いするとダメだぞ?ただでさえちっこいのに…」


そう言ったのはドワーフの戦士メロウである


「ドワーフだって似たようなものじゃ無い!失礼ね!」


「まぁまぁ…好きな物食べれば良いじゃ無いか!」


砂肝のバター焼きやステーキのガーリックライス添え、チキンライスに大盛りのミモザサラダ


その他には酒の肴のアサリの酒蒸しなどテーブルに並んだ



皆酒などを飲みながら雑談し始めた


「そういやアークバインは魔族なのに何で精霊術士なんだ?」


「言われてみれば…魔力と精霊術は正反対の性質を持っているはずだものね…」


エルフの賢者アシェリーは興味を持ったのか確信をつく質問をした


「俺は魔族でも異端でな…生まれつき魔力では無くて精霊術に必要なソウルエナジーが身についていたんだ…そのせいで他の魔族には嫌われていたけどな」


「魔界では生きづらかったのか?」


「まぁな…だから成人する前に親元を離れて地上で暮らすようになったんだ…そこで精霊術士の師匠に出会って精霊術を教えてもらったんだよ」


「けっこう苦労してるのね」


「地上では魔族だとバレないように変化の術で姿を変えて暮らしていたんだ…師匠にもそうするように言われたしね」


「なるほど…」


「それよりも…邪神ロキと堕天使ルシファー以外にも注意した方が良い者が動き出した気配を感じたな」


「え?なにそれ…」


「邪竜アジ・ダハーカって知ってるか?」


「名前だけは知ってるけど…」


「どうやら奴も目覚めて動き出したみたいなんだ…俺達の敵になるかそれとも…」


「どちらにせよ気をつけないといけない相手だという事はわかった…」



密かに動き出した邪竜アジ・ダハーカ



不安を感じながらも仲間達と酒と料理を堪能しながら今後の方針を考えようと思う一行であった

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