第7話 この戦いは何の為?

出発が迫る頃…状況が動いた


アンジェラ王妃に陣痛が来たのだ


法王カルタスは処置室に入る事が出来ないので落ち着かない様子だ


「陛下…少しはお座りになられた方が…」


処置室からアンジェラの悲鳴のような声が聞こえ始めた


「アンジェラも子供を産むのに必死なのに私が落ち着いてられるか!」


「では父上は俺が訓練するのを見ていてくれませんか?」


息子のアレックスがそう提案して来た


「王子…なんて健気な…爺は嬉しゅうございます」


「爺は大袈裟だなぁ〜ともかく母上も頑張ってるんだから俺たちもしっかりしないとね!父上?」


アレックス王子はしっかり者に育っているようだ


そして数時間後…アンジェラは次男になるフレデリック王子を産んだ


産後落ち着くまで旅に出るのはお預けになったがカルタスは幸せだった


妹のミネルヴァと義弟のロヴェルトも喜んでくれて子育ての手伝いもしてくれた


「私達も予行練習になるから良かったわ」


オムツを変えたりお風呂に入れたり寝かしつけたり四人で協力した甲斐があってフレデリックは人見知りする事が無かった


ただそれは城の騎士や執事や侍女達など相手の時であり爺やが抱っこしようとすると途端に泣き始めて困らせてしまう一面も見られた


爺やちょっとだけ可哀想…。


そんな様子を見守るランドクルーザーはある疑念に囚われ始めた


この戦いは何の為のものだろう…私の選択は正しいのか?


その夜ランドクルーザーは夢を見た


アンジェラ王妃が魔王の前で石像になっておりバードニール族の若者達と睨み合っている


何を話してるのか声は聞こえなかった


突然魔王により石像のアンジェラが破壊されてバードニール族の若者達の前に水晶眼が転がって行った


若者の一人がそれを手に取り道具袋にしまった


その後魔王との戦いが始まった


激しい戦いの末に魔王は倒された


バードニール族の若者達は法王カルタスと謁見している場面に切り替わった


そしてアンジェラの水晶眼を成長したフレデリック王子だと思われる人物に渡している様子だった


後にフレデリックが法王になった様子を確認して目が覚めた


そしてランドクルーザーはこれが正夢になると直感で感じ取り身震いするのだった


そしてこう思うのだった


次の法王がフレデリックが力を得る為にアンジェラが犠牲にならなければならないと…


それは彼にとって苦渋の決断であった


その事を何となく勘付いてしまったアンジェラは複雑な気持ちになっていた


その事を夫であるカルタスに言えば一気即発の事態になると思った


アンジェラは事実を受け止めた上でカルタスには伝えないでおこうと心に決めるのだった


そしてどの種族もいずれは死ぬのだからと自分自身に言い聞かせるのだった




そして法王カルタスとアンジェラ王妃、ロヴェルト王子とミネルヴァ王女が魔物討伐の旅に出る日がやって来るのだった


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