九鬼島 決戦

間に合わない!!そう思った時 巫女様の前に腕を広げたヤヨイが飛び出した そしてヤヨイの前に金色の虎が現れ 触手の攻撃を防いだ

「シロ!!」ヤヨイが叫ぶ シロは攻撃を受けると光の粒子になって消えた

再び攻撃をしかけようとする触手を剣で断ち切り巫女様とヤヨイを退かせ

崩れ落ちた瓦礫の後ろに隠れさせる


ユカリは魔法と薙刀で奮闘しているが 触手の数が多すぎて劣勢みたいだ

手助けに行くが キリがない

あの火の中 立ち上がったから火は効かないかもしれないが あれ以上の炎ならどうだろう 「絶業火」唱えると青白い炎が奴を包む 動きが少し鈍った「ユカリ 氷樺だ!!」ユカリに叫ぶと

「氷樺」ユカリが唱え 今度は奴は真っ白に凍り完全に動きを止めた

走り寄り 細切れに砕いていく

細切れにされた それは地面の上で蠢き ひとつに固まっていくと同時に 霧がたちこめ 俺達の視界が遮られる

「ぐぼぉぉー」霧の向こうから奴の遠吠えが聞こえ 霧の中から突然太い腕が伸びて来る 紙一重で避けるが風圧だけで吹き飛ばされる 

「主様!!」ユカリが慌てて横にくるが ユカリ目掛けてまたもや霧の中から腕が出て来て潰そうとする


「ユカリ 危ない!!」咄嗟にユカリの前に出て庇う

「くかっ!!」肺の中の空気を一瞬で吐き出し 胸を見ると奴の拳が俺を貫いていた

「あ 主様!!」ユカリが駆け寄り 俺を貫く腕を切り落とす 腕を俺の胸から引き抜き 巫女様とヤヨイの所に担いでいく

「「セイ様!!」」巫女様とヤヨイが俺の胸に空いた傷口を見て息を飲む

「ヤヨイ 私はセイ様の治療にかかりますので あなたは封印の続きをお願いします」巫女様が言うと 「分かりました」ヤヨイもしっかりと頷く


巫女様が「治癒」を掛けてくれるが 治る気配はない

(私の力では 難しいかも知れない)巫女様も諦め気味に祈り続けた

「私の所為で青龍君を死なせたら申し訳ないから 巫女よ 私の力を使いなさい」

突然 頭の中に声が響き 暖かい何かが巫女の身体に入ってくる

「私の力は直接 この地では使えないが 力を貸すのは出来るからね 青龍君の事頼んだよ」

(今なら 出来る)巫女様は莫大な力を込め「完全治癒」と唱える

セイの身体は虹色に輝き 傷口も塞がっていく 真暗な世界から徐々に浮き上がる感覚で目を開け 意識も戻ってくる 

「ユカリ!!」立上がるが血を流し過ぎたのかふらついて上手く立てない


座り込みユカリを見ると憤怒の表情で奴を見ながら 

「よくも主様を お前だけは許さない!! 無限牢獄!!」

ユカリが言うと 黒い球体が奴を包み込む 包み込むと球体は次第に小さくなっていき 奴が断末魔の声を上げる間もなく ついには消えた


「主様のいないこんな世界なんて 消えてしまえばいい」とんでもない魔力がユカリの頭上で膨れ上がっていく

「やめろ ユカリ 俺は大丈夫だ この世界で出会った大事な人達を巻き込むな」

ユカリを後ろから抱きしめ耳元で言う

「あ 主様!! で でも 主様は帰ってしまわれるのでしょう?」

「心配するな 俺はこの世界に骨を埋める お前とも まだまだ一緒だ」

「あ 主様!!」泣きながら俺の手を握る 頭上の魔力の塊も霧散していく


「セイ様」巫女様とヤヨイが俺達の近くに来て

「アレは どうなったのでしょう?」ヤヨイが聞いてくる

「アレは 何もない空間に閉じ込めたから 二度とこの世界には出てきません」

ユカリがヤヨイに悦明し ヤヨイも安堵の表情で頷く

それでも念の為 消えた場所を中心に陣を描き 結界を幾重にも張っておく

「ユカリはあんな凄い魔法が使えたんだな」俺が聞くと

「一本杉のお婆さんに教えてもらったんです 一度しか使えないから 奥の手として取っておけと言われて」

「そうなんだな 結局ユカリが倒してくれたからなー 俺 全然役に立ってないよな」そう愚痴ると

「いえいえ 世界を消滅させる者を止めたではありませんか」

巫女様が慰めてくれるが 世界を消滅させる者としてユカリを覚醒させたのも俺だし 何しに来たんだろ?俺


他の封印がどうなったか調べる為 逆回りに国を巡る事になった

オクト国にユカリ 巫女様 ヤヨイと共に空間移動し 残していた ウィンディやキヨミに無事を伝える ウィンディが「そんなドジをするなんて あんたらしくないわね」と煽る

「主様は私を守るために怪我をされたんですよ 主様を愚弄するなら その貧弱な羽をむしりますよ」ユカリがウィンディの羽に手を伸ばす

「大体 いつものように貴方が主様の胸にいたら 貫かれて死んでましたよ」

「ごめんなさい 言い過ぎたわ」ユカリがら逃げながら 貫かれた自分を想像したのか蒼ざめていた


祠を確認すると 新しい賢人が赴任していたが 彼が言うには突然 封印の石は黒い球に飲み込まれて消えてしまったらしい 一応ここも陣を描き結界お張り直しておく


ダイナにも無事な事を伝え ダイナの兄貴にもこちらが恐縮するぐらい礼を言われ

ルイーズにも挨拶してオクト国に別れを告げる


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る