九鬼島 上陸
「九鬼島が見えてきたぞー」ダイナが帆先に立って叫ぶ
言われて俺等も帆先に行くと まだまだ小さくだが島が見える がどことなく禍々しさを感じる
近づくと島の前に二本の付き出た牙といいうか角のような岩が海面から突き出ている
その突き出た岩の周りに急激な渦が出来ているが ダイナは上手く操舵しい渦をすり抜けていく
「フーッ」緊張していたのかダイナが額を手で拭いながら息きを吐く
目の前には港は無く 白い砂浜だけだ 砂浜の近くで錨を下ろし
「何となく 港は危険かなと思って」備えてあった小舟を降ろし 海に飛び降りながらダイナが言う
砂浜に上陸すると 前の林には捻じれた木の幹に歪んだ人の顔が浮き上がっていて なにやら声みたいのをだしている
中に入ろうとすると 角の生えた 熊や狼が行く手を遮って来た さっきの木の声が合図だったのだろう 結界に守られているから危険は無いが 邪魔だ
俺とユカリが飛び出しそれらを倒して 道を開ける
ダイナの案内で港の様子を見に行くが 黒仮面に白の文字を書き込んだ奴らが人々を監視しながら船に荷を運ばせている
「兄貴!!」運び人の中にダイナが兄貴を見つけたようだ 飛び出そうとするのを抑えて様子を見ると 人の背丈ぐらいある木箱を港に係留している大型船に積み込んでいるようだ
キヨミに探索を頼み 俺達は一度船に戻る事にした
夜も遅くにキヨミが帰って来て報告を聞くと 黒仮面は白仮面より立場が上らしく黒仮面が白仮面に指示を出している また箱の中身は人を鬼化させる薬であり あちこちの国に密輸している 囚われた人達は粗末な小屋に押し込まれ 食事も碌に与えられていないとの事
「よし 潰そう!!」俺が言うと巫女様 ユカリ ヤヨイも頷く
月明りの中 結界を張り港へ向かう 先ずは攫われた人達の救出からだ
俺とユカリで気配遮断をかけ二手に分かれ 相手が声を出さないように鳩尾に拳を入れ表と裏の見張りを倒し 小屋の中に入り
「皆さん 助けに来ました」声をかける モゾモゾと人々が起き上がり俺を見る
[誰だ?]一人の若者が立ち上がって俺を見る
「俺だよ 兄貴!!」ダイナが俺の後ろから顔を出し若者に告げる
「ダイナ!! 何でこんな所に?」
「このお兄ちゃん達と 兄貴を助けに来たんだよ」
「馬鹿野郎!! なんて危険な事を!!」
言いながらダイナを抱きしめる若者
「攫われた人はここにいるので全員なのか?」俺が聞くと
「そうだ ここに全員押し込められている」若者が返す
「じゃあ 船を奪って逃げよう」俺の先導で港に向かうと 焚火を囲んで白仮面が見張りをしていた 俺とユカリで声を出す間も与えず倒す
全員が船に乗り込んだのを確認してダイナに船を出させる
「お兄ちゃん達は乗らないの?」ダイナが少し焦って聞いてくるが
「俺達は後始末をしなくちゃならないんだ だから先に行け」
「分かったよ ありがとう お兄ちゃん達」
「さて キヨミ 奴らの塒はどこだ?」振り返りながらキヨミに聞くと
「この道の行き当たりに丘の上に建てられた屋敷がそうでございます」
なるほど 見れば丘の上に屋敷が建っている
「もう悪い奴しか残ってないから 派手にやるか 轟雷!!」
屋敷が白い稲妻に包まれ やがて火の手が上がり始めた
それに向かって俺達は歩き出す 歩きながら見ていると炎は屋敷全体を包み込み
崩れ落ち始めた
[あの地下に本体が封印だれています ヤヨイ 準備はいいですか?」
ヤヨイは少し蒼ざめながらも「はい」と頷く
崩れ落ち 燃え盛る屋敷の中央に黒い影が現れた
まだ距離があるのに はっきりと影の存在が分かる 巨大で禍々しい影
「暴風」ユカリが風で影の周りを吹き払う
風の中に残ったのは巨体の鬼だった あれは魔神なのか?思っていると
「力はまだ完全に復活していないようですね あれが魔神の本体です」
巫女様が教えてくれる
近づくと 頭に二本の捻じれた角を生やし腕は六本 背中から無数の触手が伸びている 腰から下は地面に埋まったままだ
捻じれた角から火と雷の魔法を放つが ユカリが打ち消す
「凄まじい威力です ギリギリでした 主様」ユカリが珍しく弱音を吐く
間を置かず今度は無数の触手が襲い掛かる
躱しながら近づこうとするが 触手が行く手を阻む 触手を切っても切っても無限に襲ってくる
ユカリも焦り 苛立っているのが顔に出ている
油断した 触手が巫女様に向かって伸びて来る しまった 間に合わない
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