オクト国③
「じゃあ 二人はルイスの子供だったのか?」ルイーズが尋ねると
「「うん そうだよ ルイス父さんの子供だよ!!」」ハルとアルが声を揃えて答える
「あの時 助けなくちゃと感じたのは そういう理由か 二人共ルイスの面影があったからか」二人をマジマジと見ながらルイーズが呟く
村に連れてきた白仮面達を空き家に縛ったまま放り込む 今日はそれぞれの家に帰り
明日の夜にでも宴を催す事になった
「この収穫の時期に連れ帰って来てありがとうございます」村長から礼を言われるが
「たまたまですよ 気にしないで下さい」俺は頭を掻く
ルイスの家に入り 「先ずは兄さんの事から話してくれる?」ルイーズが床に座るやいなやルイスに聞いて来る
「ああ そうだな 俺が七歳の時に人攫いに連れて行かれたのは お前も見てただろう?」
「うん あの時の弱かった自分が許せなくてがむしゃらに鍛えたからね 母さんも あたいが15の時に死んじゃったからさ ずっと探してたんだよ」
「そうなのか? 話を戻すと 俺はセブ国に売られたんだよ ただ呪いを掛けられる前に逃げ出す事が出来たがね それで この国に辿り着いて親切な老夫婦に助けられて畑仕事や内職を手伝っていたのさ 老夫婦が亡くなって家と土地を引き継いでアルマと結婚して 二人の父親になったって事さ」奥さんとハルとアルを優しく見ながら言う
「そうだったのか とにかく兄さんが無事で良かったよ」
「あのね パパ ルイーズお姉ちゃんは私とお兄ちゃんを助けてくれたんだよ」
アルが言うと
「親子揃って助けられたのか 強くなったんだな ルイーズ!」
「それもこれも 巫女様とセイさんのおかげだよ」
「巫女様 皆さん 本当にありがとうございます この御恩は一生忘れません」
姿勢を正して改めて言われるとむず痒い
「これで ルイーズの旅の目的は叶ったんだろう 良かったね」照れ隠しに俺が言うと 「ありがとうございます巫女様 セイ様 ユカリ それにヤヨイも」目を赤くして 俺達に頭を下げる
その夜 いつものように後ろからユカリに抱き着き魔力を流していると ふいにユカリがこちらに向き直り
「夫婦とうのは良いものですね お互いの事を想いあって あんな行動が出来るなんて 私に心というものがあるのかは分かりませんが 咄嗟にあのような行動を取ってしまいました」
そう言うと眠りに落ちた
翌朝 白仮面達を衛兵に引き渡し 夜には宴が開かれた 沢山の村人からお礼を言われ 楽しい歌や踊りが披露された
楽しんでいるとルイーズが俺の隣に座り
「あたいは ここで新しく出来た大切な人達を守っていくよ 今日まで面倒を見てくれてありがとう セイさん」
少し目に涙を溜めて言われた
夜も更け 皆が眠りに就いた頃 キヨミが俺の耳元で
「主様 白仮面の仲間と思われる者共が村に向かって来ています 昼間に衛兵に引き渡したのも 即日解放されたようです 「篝火」の幹部と首領も一緒のようです 多分巫女様を狙ってるのと思われます」
「分かった」
そっと皆を起こしルイス達と巫女様を村長の家に避難させ 俺とユカリで殲滅に向かう
「ユカリ あいつらは生き残ってもまた同じ行動を起こすだろうから 加減無しでいこいう」
「分かりました 主様 村やあの人々の事を考えれば それが良いと思います」
キヨミの言っていた方向に向かうと白仮面と貴族の私兵が草原を埋め尽くしていた
「雷!!」「暴風!!」俺とユカリが唱えると 草原に激しい風と雷の音が鳴り響く
奴らは風に吹き飛ばされ 雷に打たれ 次々と倒れていく
誰一人動く者がいないのを確認し 「こうするしかなかったのかな?」俺が呟くのを
ユカリがジッと見つめていた
村長の家に行き全てが終わった事を報告し この国の結界を調査に行くための準備を始める
この国が魔王を封印している九鬼島に一番近いため 影響も強いのではないか それゆえ「篝火」みたいのも発生したのではないかとの巫女様の意見だ
ルイーズや村の人々に別れを告げ この国の封印の地へと出発する
「あんた達の事は一生忘れないからねー」ルイーズが大声で叫んでくれる
「無事 封印が終わったら またここに寄るよ 元気でな」俺も大声で叫ぶ
三日程歩いて封印の山に着いたが 賢人の世話をしているはずの山里の村の様子がおかしい 誰もいない 犬や猫さえも 鳥の声さえしない
疑問を抱きながらも 封印の祠に行くと 中には夥しい人骨と獣や鳥の骨が散乱している 驚いていると黒い影が横をすり抜ける 直後にドーンと音がする
巫女様の結界に何かがぶつかったみたいだ
シロも牙を剥いて威嚇している
巨大な黒い狼がシロと巫女様に向かって唸っている
自分の体当たりが邪魔されるとは思っていなかったのだろう シロと巫女様の周りをのっそりと歩き回りながら 様子を覗っている
シロは身体を低くし巫女様を地面に降ろし 黒い狼と対峙する
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます