オクト国
夕食も終わりの頃 ユカリの膝の上で寛いでいたキヨミが
「そう言えば ルイーズ様は 町に着くと酒場の人間や行商人にルイスという男を知らないか?」と尋ねて回っていらっしゃるようですね
多分 生き別れた兄を探しているのだろう
「「おいしいー こんなの初めて!!」」楽しそうに食べるアルとハルの世話をするルイーズを見ながら 力になれればいいなと思いながら俺も食事を終える
次の日 快晴の中オクト国に向けて出発する
国境付近に来るとハルとアルの緊張が高まる
「ねえ ルイーズ本当に出れるのかな?」ハルが両手でルイーズの手を握りながら彼女を見上げる
「大丈夫だよ 呪いも消えたし心配は無いよ」優しく答えるルイーズ
いよいよ国境の門に来ると意を決してハルがオクト国側に飛び込む
暫くジッと立っていて 急に俺達を振り返り
「本当だ!! 頭も痛くないし ダルさも無い アルもこっちに来てごらん」
緊張しながらハルを見ていたアルもオズオズと目を瞑りながら一歩を踏み出す
「「本当だ!!何ともない」二人は手を取り合って喜んでいる
さて国境も抜けたし 先ずはハル達を家まで送っていくかな
道の両側には作物が実り 山の色合いは秋そのものだ
気持ちの良い風景の中 夕方ぐらいに村に着いた 畑で作業をしていたハルぐらいの子供がハルとアルを見つけて走ってきた
「おーい ハルとアルじゃないか?セブ国から逃げられたのか?」
「ああ フィル 呪いが解けたから他の子達も帰ってくると思うよ」
オクト国で攫われた大半の子供はセブ国に売られたらしい しかも呪いのせいで隣国なのに逃げるに逃げられなかったから 子供を攫われた人にとっては嬉しい報せだろう 子供の奪還の為 セブ国に入った大人達は捕まえられて 呪いを受けたそうだ
「ねえ フィル あたし達のパパとママは元気にしてるの?」アルが聞くと
「ああ 実は俺の親父もそうなんだけど お前達の親父さんも「篝火」の連中に連れ去られたんだ」
「何だって!!」
「何でも 魔神が降臨した時のための城を作るらしい それで健康な男衆だけを連れて行ったんだ 逆らえば女 子供達を殺すと脅して」
「何て 奴らだ!!」ルイーズが怒りの声を上げる
[どこに 連れて行かれたのか分かるか?]フィルに聞くと
ここから 三日程歩いたとこるにある 断崖の上らしい
「今回は「篝火」の掃討という事で 巫女様とヤヨイはこの村で待機していて下さい 俺とユカリ ルイーズ キヨミで行って来ます 俺達の足なら行って 掃討して帰るのに7日もあれば大丈夫でしょうから」
「分かりました ご武運を」
「シロ しっかり巫女様を守るんだぞ」
「私も頑張ります!!」ヤヨイがrシロの首を抱きながら力強く言う
「ユカリ キヨミ ルイーズ 疲れていないなら すぐにも出発しようと思うがどうだ?」
「問題ありません」「大丈夫だぜ」「ニャー」それぞれの返事を聞き
「なら行くか アル ハル 巫女様の事を頼むぞ」
「「うん!!」」
「この道を真直ぐ行った山を越えれば断崖に着くよ」フィルが教えてくれる
山の麓に近づくと 山道への入り口付近に白い仮面に黒い模様を入れた者が数名
見えた
「「篝火」のメンバーでしょう 山に入る者を警戒しているのでしょう」キヨミが皆に教えてくれる
「あたいに任せてくれないか?」ルイーズが不敵な笑みを浮かべて肩を回す
「なあ あんた達 あたいこの山に入りたいんだけど?」
仮面を一人捕まえて 鷹揚に聞くと
「駄目だ!! この山の持ち主から誰も入れないように言われている 帰れ!!」
「ふーん それでも入りたい時はどうすればいいんだい?」
「どうもこうも無い 帰れ 帰れ!!」
「じゃあ お前をぶちのめせば問題は無いんだろ?」
ルイーズが仮面の腹を正面から蹴り飛ばす
「「テメエ 何しやがる」」他の白仮面がルイーズを囲む
「情けないねー 女一人にワラワラと集まってきて」
言いながら 白仮面に拳を叩き込み 後ろにいた白仮面の胸に蹴りを入れる
木の間から弓を射ようとした二人をユカリが手首を叩き矢を落とし首筋を強打して昏倒させる なかなかの連携だ
こいつらも魔神が再度強固に封印されたと知れば諦めるだろう
取り合えず縛って木の根元に転がしておく
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