セブ国②
「僕達もう奴隷じゃなくなったから 街を案内してあげるよ」
男の子がルイーズの手を引っ張って先導してくいく
「あ そうだ僕の名前はハル こっちは妹のアルだよ」
ハルが言うと「昨日はありがとうございました」アルがペコリと頭を下げる
「「「こちらこそ よろしくね!!」」」女性陣が声を揃えて挨拶する
「ハル 服を売ってる店を知らないか?」流石にこれまでの旅で服はボロボロだ
あるなら下着も欲しい
「あるよ こっちだよ」ハルに案内されて古着屋に連れて行ってもらう
なかなかに大きい店だ 店内に入って物色していると店員がハルに声お掛ける
「何だ? いい仕事でも見つけたのか?奴隷から解放されたと言っても急に仕事が見つかる訳でもないだろう?」
「今日はこのお兄さんの案内をしてるんだよ」ハルがぶっきらぼうに答える
店内を見ているとトランクスとタンクトップを見つけたが 下着で中古は抵抗がある 「店員さん これの新品は売ってないのか?」ダメ元で聞いてみると
「あるけど 高いよ」 まあ今の俺の身なりを見ればそう思うだろう
取り合えず五着づつ買って 何かの動物の皮で出来たズボンとライダージャケットみたいな上着も買う
「皆も欲しい物があれば買うと良いよ」声を掛けるが
「「これが正装なので 大丈夫です」」巫女様とヤヨイは要らないようだ
ユカリには「主様にお仕えするのに この衣装以外ありえません」
と言われてしまう
ルイーズも「この服が気に入ってるから いいよ」だそうだ
「じゃあ ハルとアル案内してくれたお礼に服を買って上げるよ どれが良い?」
奴隷じゃなくなったと言っても 粗末な身なりじゃ気分も変わらないだろうからね
二人共モジモジしているが「どれでもいいよ」と促すとそれぞれに服を持って来た
店内で着替え 会計を済ませ店を出る アルは女の子だからか綺麗な服を着てご機嫌そうだ ハルも何だかしゃちほこっばって歩いてる
通りを広場に向かって歩いていると 人々が群がっている場面に出くわした
痩せたギョロ目の男が何か熱弁を振るっている
「奴隷制は解除されたが みな騙されてはいけない 我らの反乱の意思を感じての場当たり的な施策だ この世に希望は無い 今こそ世界を倒して新しい世の中を作るべきだ お前たちの道の先の門をを照らす我等「篝火」と共に力を合わせて進もうではないか」
「そうだ そうだ あんたの言う通りだ」多分サクラと思しき奴が声を上げる
そこへ エルフの衛兵がやって来た
「今すぐ 解散しろ でなければ反乱罪で捕らえるぞ」隊長らしきのが怒鳴る
「見たまえ諸君 この国では自由な言論さえ許されていないのだ まがい物の奴隷廃止であり 結局は奴らの天下なのだ」
「拘束しろ!!」隊長が叫ぶと
「「拘束!!」」 「「火球!!」」と衛兵達が魔法を唱えるが 何も起こらない
蜘蛛の子を散らすように逃げていた人々も自分達の身に何も変化が無い事を不思議に思い 辺りを見回している
[何をしている 早く攻撃せんか!!]隊長が焦りながら隊員に叱責するが
「隊長 魔法が発動しません」一人の隊員が静かに申し出る
「何? 馬鹿な! 火球!!」隊長も魔法を発動しようとするが何も起こらない
ざわついていた人々も異変に気付き
「おい あいつら魔法をつかえないんじゃないか?」と言い出す
「そんな 馬鹿な? 「拘束」「火球」」隊長はなおも魔法を発動しようとするが何も起こらず 冷や汗をかきだす
それを見ていた人々は手に木の棒や石を取り 衛兵に向かって行く
「大丈夫だ 奴らには隷属の呪いが掛けてある 我々に危害を加えられない」
隊長は余裕で見守っていた
「グギャー!!」衛兵の一人が気の棒で殴られ悲鳴を上げる
それを合図に人々が衛兵を取り囲み殴り倒していく
魔法が使えなくなった事をまだ彼らは知らされていないらしい
口をパクパクさせながらエルフの衛兵達も隊長も人混みの中に沈んでいく
「呪いが解けたのなら あたし達 お家に帰れるのかな?」
アルがハルに聞いている
「どういう事だい?」 俺が聞くと
「僕達 隣のオクトの出身なんだ 2年前に誘拐されてこの国に連れて来られたんだ 一回逃げようとしたんだけど 国境を超えると頭が痛くなって 動けなくなっちゃたんだ」
「隷属の魔法ですね」巫女様が言う
「こんな小さい子に 何て事を!!」ルイーズが憤る
「ここの用事が済んだら 俺達が送ってあげるよ」俺が言うと
「「本当!! 嬉しい!!」」声を揃えて俺の手を両側から握る
何故か ユカリが後ろから抱き着く
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