セブ国
ラミア達に見送られ 次の国セブ国に向かう
巫女様の話によれば セブ国はエルフが治める国で人間とはあまり良好な関係では無いらしい 昔はその美貌と長寿で人間に捕らえられ奴隷として売買されていた過去があり その遺恨が残っているとの事
前使徒のゲンにより 人族 亜人族間の差別は無くなったが それでも安心して暮らせるように自分達の国を建てたらしい
道中 いくばくかの魔物が出てきたがルイーズ ユカリに任せてゆっくりと旅は進む
人間嫌いとはいえ 流石に巫女様に失礼な態度はとれず すんなりと国境を超え
街に入ると荷の積み下ろしを人間族が行っていた エルフたちはそれを見てニヤニヤしている 人間の女の子が躓いたところにエルフからの鞭が飛ぶ
それを見て男の子が素早く女の子を庇う
「痛い!!」男の子は叫ぶがエルフは二度目を振るおうと鞭を構えた
「止めろ!!」ルイーズが飛び出しエルフを殴りつける
「手前 何しやがる!! 人族のくせに生意気な!!」怒鳴りつけるエルフ
そんな事 お構いなしに男の子に近寄り
「大丈夫か? 怪我はしてないか? 偉いなボウズ」心配するルイーズ
「ありがとうございます 大丈夫です それよりこんな事したら お姉さんが・・・」男の子が言ってるのを遮って 「食らえっ!!」エルフがルイーズ目掛けて鞭を振るう
「させない!!」ユカリが薙刀ですくい上げるように鞭を根元付近で切る
「「き 貴様!!」」 エルフが笛を吹いて警備隊を呼ぶ
と言う訳で 俺等は今 この国に国王の前にいる
「巫女様だからといって 何をしてもいいわけではありませんよ」
金髪碧眼の国王が巫女様をジロジロ見ながら いやらしい笑みを浮かべて文句を言うが 「奴隷制は禁止のはずですが」目も合わさず巫女様もはね付ける
「虐げられてきた 負の歴史が書き換えれぬなら 新しく上書きするしかないでしょう」ニヤニヤしながら俺達を見回す
「そのむさ苦しい男は 直ぐにでも死刑にしろ」俺を見ながら言うと
衛兵達が俺に剣を向けて立たせようとする
「無礼者!!」ユカリが言うや 国王の右足の膝から下が吹っ飛ぶ
「グアッ」短く叫ぶ国王
何が起こったのか分からず 動揺する衛兵達
「貴様か!?」衛兵の一人が俺の首に剣を当てるが その衛兵の右足も吹っ飛ぶ
「お前等 無礼にもほどがあるぞ」ユカリが言うと
残りの衛兵達の右足も吹き飛ぶ
「貴様 反逆者だな 我等エルフ族を舐めるなよ!! ハッ」
国王は何か魔法を発動しようとするが 何も起こらない 何度も試すが発動しない
「あんた馬鹿? 精霊に見放されて魔法なんて使える訳無いじゃん」
俺の胸元から出てウィンディが話す
「ウ ウィンディ様!!」国王が口をポカンと開けてウィンディを見る
「先代が土下座して頼み込むから あんた達に魔法を授けて ゲン様に頼んで差別の無い世界にしたのに それも忘れて 今度は自分が人族を貶めるなんて 精霊王が何も知らないと思ってたの?先代は何も教えなかったの?」
ギロリと国王を睨むウィンディ
「そ それは・・・」口ごもる国王
「あんた達の魔法が使えなくなったと知られたらどうなるかしら? あんた達のアドバンテージが何も無くなるわね そしたら人族との戦争よ どっちが勝つかしら?」
「クッ 殺せ そいつらを皆殺しにしろ!!」国王は狂ったように大声で叫ぶ
部屋の外に控えていた衛兵や 後ろに立っていた魔法兵が現れて 俺達を攻撃しようとするが衛兵はユカリやルイーズによって一蹴され 魔法兵にいたっては頼みの魔法が発動しない
脚の痛みか状況を察してか国王の顔色はどんどん悪くなる
「あんた達が魔法を使えなくなった事は黙っていてやるから 今すぐ人族を解放しなさい 奴隷なんて もっての外」
ウィンディに言われ 頷くしか無い国王
王宮に一泊する事になり それなりの待遇を受け 寛いでいると
「何故 私は主様と部屋が別なのですか?」ユカリが不満顔で言うが
「賓客に相部屋とかしないだろう それだけもてなされているって事だから文句を言っちゃ駄目だよ」何故かユカリのご機嫌取りをしながら説明する
人族の解放宣言は夕刻には発布された
結構な騒ぎになったらしい 反対派が動き始めたとキヨミから告げられる
「それと この国は奴隷制の為か「篝火」の同士が多いのが現状です それらの動きも活発化しております」」
暫くはこのゴタゴタは続くんだろうな
「そう言えば あの国王夜中 精霊王様に祈ってたわ もう無理なのにね」
ウィンディが懐から顔を出して言う
翌朝 城下町に出ると人混みの中から 昨日の男の子と女の子が走り寄ってきた
「お姉ちゃん達 昨日は大丈夫だった?」
「心配してくれたのか? ありがとう」ルイーズが二人の頭を撫でながら微笑む
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