第4話

 ご主人様の話ではご主人様の治癒魔術は後天的に身に付けたらしく、異世界からこの世界に来た時に発現した才能らしい。ご主人様は世界を渡った事が影響したんだろうと考えているようだ。

 発現する能力は人によって様々と考えられていて、昨日訪ねてきた男も異世界人だが彼が発現したのは発火魔術なんだとか。


 ご主人様はその能力を見込まれて治癒術師としてどこにも所属せずに働いている。どこにも所属しないのはなるべく元の世界に帰る方法を探す事に注力したいかららしい。

 私を買ったのも身の回りの事を自分でやる時間が勿体ないからと言っていた。買われてすぐにこの家に来た時、この家はゴミ屋敷だった。私はただご主人様が面倒くさがりなだけだと思う。


 ご主人様は大抵、図書館に行くか、仕事をするか、部屋に籠って本を読むかしているのであまり顔を合わせない。

 私は一人の方が気楽だからいいのだが、ご主人様は「一人の時間が多いのは淋しくないか」と聞いてきたことがあった。

 そう聞きたくなる気持ちは分からなくない。実際ご主人様に買われてから一度のおつかい以外で外に出ておらず、ご主人様以外と話をする事も無いんだから。

 私はそう聞かれて「そうでもないですよ。ご主人様と話せるだけで充分です」と答えた。


 ご主人様はどうやら納得いっていない様子だった。御世辞だと考えたらしい。仕方ないので「淋しそうと思うのなら一緒に居る時間を増やしてくださいよ。カードゲームなんかなら付き合えますよ」と言った。

 ご主人様は「分かった」と答えた。


 後日、さっそくご主人様は時間を作って私に構ってきた。一人の時間が恋しかったが、仕方ないので付き合って一緒にカードゲームをして遊ぶ事になった。


 ポーカーというゲームをした。異世界のカードゲームだ。実に白熱した闘いになった。私がキングのフォーカードを揃えた時にご主人様がエースのフォーカードだった時は悔しくて仕方なかった。私もご主人様も夢中になってしまって長い事遊んでしまった。

 

 楽しかった。

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