第4話 「同じ人」

 Dさんが家族と一緒にアルバムを整理していた時のことだ。「おんなじ人がいる」と言ってDさんの父親が二枚の写真を指さした。「ここと、ここ」

 一枚目は、長野に旅行した時の写真。二枚目は、家の近くの遊園地に行った時の写真だ。父の言う通り、確かに二枚とも、同じ男の人が写っている。幽霊、というわけではなく、ごく普通の――半袖のシャツにカーキ色のズボンの、二、三十歳の男の人だ。カメラのレンズに気づいているのか、こちらをじっと見ている。

「やだ、ストーカーじゃないの?」

「でもストーカーって言ったって、わざわざ長野までついてくるもんかなあ」

 一応他の写真も調べてみたが、写っているのはその二枚だけ。顔も髪型も服装も全く同じだから、ただのうりふたつな人とも考えられない。

「わが家と波長が合うのかなあ」と、Dさんの父親はのんびり言うが、Dさんは煮え切らない。おかしいじゃないか、と思う。

 長野に行ったのは冬なのに、男はその時も半袖だった。

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