第4話 「同じ人」
Dさんが家族と一緒にアルバムを整理していた時のことだ。「おんなじ人がいる」と言ってDさんの父親が二枚の写真を指さした。「ここと、ここ」
一枚目は、長野に旅行した時の写真。二枚目は、家の近くの遊園地に行った時の写真だ。父の言う通り、確かに二枚とも、同じ男の人が写っている。幽霊、というわけではなく、ごく普通の――半袖のシャツにカーキ色のズボンの、二、三十歳の男の人だ。カメラのレンズに気づいているのか、こちらをじっと見ている。
「やだ、ストーカーじゃないの?」
「でもストーカーって言ったって、わざわざ長野までついてくるもんかなあ」
一応他の写真も調べてみたが、写っているのはその二枚だけ。顔も髪型も服装も全く同じだから、ただのうりふたつな人とも考えられない。
「わが家と波長が合うのかなあ」と、Dさんの父親はのんびり言うが、Dさんは煮え切らない。おかしいじゃないか、と思う。
長野に行ったのは冬なのに、男はその時も半袖だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます