Twinkle スペシャル
牧場だったのだろうその場にジェシー達がいた。
アンリが柱に吊り下げられている。その姿は無法者たちに殴られたのか。メイド服は破れ裂け目からは血が流れている。
「アープ……お姉さま……」
爬虫類並みの陰湿な性格のジェシーから暴力を受けたのだろう、かろうじて意識を保っているアンリ。
ジェシー達は総勢15人、牧場の跡地には隠れるところも無い。
「こっちは15人からいるんだ。いくらヤツが早撃ちだからといってもカートリッジの交換が間に合うはずがない」
SAA(ステラ・アクション・アーミー)は6発のビーム弾しか撃てない。したがって15人を相手にするには2人でくるか、2挺拳銃で対応するしかないのだ。
「これでいいんだよな。アニキ!」
少し離れたところにビリーがいた。人質を取り、圧倒的な人数とこの有利な場所。自分の策に酔いしれ笑みを浮かべていた。
「アープが来たぞ!」
部下の声をする方を見るジェシー。
アープがゆっくりと歩いてきた。
ひとりだ。
腰にはTwinkle スペシャルが1挺だけホルスタにささっていた。
勝利を確信したのか最高の笑みを浮かべるビリーとジェシー。
「おねえちゃん」
アープに気づくアンリ。薄れゆく意識の中アープに姉さんが重なったのか涙が溢れだし頬を伝わり落ちていく。
「このド外道どもが〜」
怒りの表現のアープ。右手の指がゴキゴキと鳴っているのが聞こえてくるようだ。
「よーし! そこまでだ!」
ジェシーは圧倒的な有利からくる優越感が態度に現れていた。
「そこでSAAを捨てて! 手を挙げろ!」
SAAの銃口をアープに向けてジェシーが吠えている。
ゆっくりとした動作で手を挙げていくアープ。手を挙げた瞬間ジェシー達は一斉にビーム弾をアープの体に撃ち込むつもりなのだろう。
しかし。
「ブッぎゃ!」
それがジェシーの最後の言葉になった。
ジェシーの額にナイフが生えていた。アープが投げたのであろう。胸から次のナイフを取り出し投げる。アンリのロープを見事に切る。
落ちるアンリを助ける人影があった。
「大丈夫かい? アンリちゃん」
いつの間にこの場にいたのか?マスターがアンリを抱きとめていた。
「マスター。ナイス!」
姿が見えていたのか偶然なのかアープにはマスターが来ると信じていたのだろう。
弟ジェシーがなす術もなく倒された。その一部始終を見たビリー。最初の余裕ある態度はもうない。
「撃て〜!コイツら全員穴だらけにしてやれ!」
脱兎の如くアンリを抱えてその場から立ち去ろうとするマスター。
3人の男が狙っていたがそこまでだった。
1発。
ただ1発のビーム弾が光った。
アープの撃ったTwinkle スペシャルが3人の男達のこめかみを撃ち抜いたのだ。
「バカな! SAAで3人も人の体を打ち抜けるはずがない」
ビリーが驚くのも無理はない、SAAのビーム弾の出力では人ひとり撃ち抜くのが限界なのである。
「コイツは特別製のカートリッジなのさ」
Twinkle スペシャルの銃口からビーム弾が出る度に男たちが3人、4人とまとめて倒れていく。
単純にカートリッジのビーム弾の出力を上げれば威力は増すがエネルギーの放出に銃身がもたないはずだった。
「そうか、あの銃身か。ただ長いだけじゃあないんだな」
身を隠しアンリを庇いながらマスターがアープの決闘を見ている。
ビーム弾のエネルギーの放出に耐えれるだけの銃身の長さが12インチという答えなのだろう。
「で、でたらめだ」
最初からひとりだったかの様にビリーが立ち尽くしていた。
「さて、ビルダーだな」
ホルスターにTwinkle スペシャルをもどしビリーと対峙するアープ。
「貴様、連邦政府からいくら貰ってオレの鉱山を横取りにきた」
「それもあるが、お前は一線を超えたんだ。後は命のやりとりしかない」
アープは銀河連邦の話とは別にアンリにした行為が許せなかったのだろう。
「このアバズレが! もう弾は残ってないだろうが〜」
この場にもっとも相応しい態度と言葉だろう。アープのビーム弾はもう残っていないとSAAを抜きアープを撃とうとするが。
神速の速さで抜かれたアープのTwinkle スペシャルがビリーの頭を吹き飛ばした。
「撃った弾の数は数えときな」
事の成り行きを見ていたアンリとマスター。
「マスタ〜〜」
泣きじゃくりながらマスターにしがみつくアンリ。
「アンリちゃん、全部終わったよ」
「いいところをもっていくな。マスター」
優しい笑顔を見せるアープ。
アンリも気づき笑顔を返す。
保安官の活躍でフロンティアの平和は守られた。
悪党一派はアープに倒された。
次のアープの活躍は! それはまたの機会に。
ガンフロンティア おじさんさん @femc56
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