三通目 製氷機

 世界のどこかにあるレストランの氷は一級品だ。パリッと冷たくみずみずしい。ただの氷ではあるが明らかに他の氷とは違う。口に含めば清流の源水を飲んでいるようだし、噛めば古代に出来た氷山を砕いているような味わい深さがある。酒に入れてかき混ぜる音さえ心地よい。

 しかしあまりにも美味すぎるせいか、あそこのレストラン、製氷機に人間を入れている。しばらく待って開けるとその氷とともに干からびた死体が出てくる、などと妄言を吐く者まで現れた。真に受ける者など一人としていなかったが、周辺地域でやたらと行方不明者が多かったのは事実であるらしい。



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