第10話 帰り道
最近は、車庫を作らず、家の前に車を止めてあるだけの家も多いみたいだけど。
公道をきついライトで照らすのは、やめて欲しい。
白の普通車と同じ色のミニバン四台、角に子ども用の自転車二台をとめてある家を見ながら、私は眉をひそめた。
今日はまだマシだけど、先週は、住宅地から坂道をおりてきた車に感知照明が反応して、白い光に目を射られて、ものすごく痛かった。
車が大事なら、屋根付き、もしくは倉庫みたいな車庫を作ればいいし、家の前を車に走られるのが嫌なら、坂の上り口近くになんて、家を建てなきゃいいのに。
このままだと事故を起こしかねない。
お隣の、安沼さんの若夫婦の家もそうだけど、隣家のことを考えず、商業施設、もしくはそれ以上に強い照明を使う家が増えて、私はウンザリしていた。
しかも、何故か、坂道をのぼったところにある家には子どもが五人いると噂されており、家の塀を不夜城みたいに照らして駐車場を経営している安沼さんちは三人だった。
幼稚園は忘れてしまったけど、小学校に上がると、学校から節水を呼びかけるシールを配られたりするし、省エネが求められている時代に、これは一体なんなんだろう?と思ってしまったりする。
今日は小雨が降っていたので、月も星も出ていなかったけど、彼らの照明の使い方は、夜型の私も辟易するくらいだった。
本当に、駅前や、外環沿いより明るいって、なんなんだろうね?
と思っても、何も出来ない無力な私は、頭の中で、彼らの家に塩を撒き、大きな手で鉄槌を下し、考えられる限りの抗議の言葉を口にして、「三人以上産むとものすごく貰える!」と子育て世帯の人が言っていた子育て手当の使い道を考えながら、ささやかな門灯がついただけの、我が家という名のボロ屋に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます