第9話 節分

 今日は節分だけど、私は鰯があまり好きじゃない。

 でも季節の物だし、最後まで買おうか迷ってやめた。

 家にビーフシチューのルウがあったので、牛肉二百五十グラムを買って帰りたかったのだが、母が入院して猫を一匹で留守番させることになったので、暖房器具を見に、先にヨドバシへ行ったため、百円弱安い方は百九十グラムしか残っていなかった。

 他は、オーストラリア産が一つ残ってて、二百十グラムくらいあったけど、色が悪く見えた。

 余っている野菜を先に食べきってしまいたかったので、大根は買いたくなかったし、大根おろしがない鰯を食べるのはちょっと嫌だったので、私は、「ビーフシチューには贅沢な」宮崎県産熟成黒毛和牛カレー用を買った。

 隣のお肉屋さんコーナーにはカレー用のお肉はなかったし、値段ももっと高かった。

 (解凍)と書かれたレバー百グラム百九十八円が欲しかったけど、ニラを買って帰るのが面倒だったし、牛乳まで持って帰るのは無理だった。

 分不相応な買い物をしたせいか、レジの女性に思いっきり見られてしまったけど、お肉だけビニール袋に入れてくれてた。

 せっかくだもの、美味しいものが食べたい。

 買い物も自炊も手前がかかるし、物価もどんどん高くなって、今度はトマトが上がるらしい。

 さすがに持てるかな?と思うくらいの重さになったけど、私は食材の入った買い物袋を何とか肩から下げて、電車に乗り、地元へ着いた時には小雨が降っていたけど、折り畳み傘をさして、自宅へ歩いて帰った。

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