17話 夜ご飯


 馬車で揺られていく内に辺りは次第に暗くなり始めていく。日が落ちて来た証拠だ。


「……この辺りで一度野宿しようと思っていますが、双方は大丈夫でしょうか?」



 御者台に乗っていた若い女性が声をかけてきた。馬も疲れてるだろうし、何より御者さんの体力も心配だしな。



「はい、僕たちは問題ないです」


「俺らも平気です」



 両方の確認が取れた御者は馬車を止めた。俺たちは馬車から降りて軽く体を伸ばしてほぐす。



「うし、じゃあ準備始めるか」


「何からするんだ?」


「まずは、飯だな」



 俺は魔法袋から簡易的なキッチンを取り出した。その上に人参や玉ねぎ、じゃがいもなどを取り出していく。



「え、今から料理すんのかよ」


「おう、美味いの作ってやるから待ってろ」


「なんか手伝おうか?」


「いや、簡単なもんだからゆっくりしてろ」


「じゃあ、期待して待つことにする」



 自分で言ったが、そこまで期待されても困るな。まぁ、とりあえず調理を進めよう。


 まず、1番時間がかかる水洗いした米を炊く。その間に人参、じゃがいも、玉ねぎの皮を剥き包丁で切る。野菜を切り終えると肉を軽く炒めて切った野菜を投入する。


 ある程度火が通ったら水の入った鍋に投入して、特製のルーを入れて混ぜる。



「すげー良い匂いだな」


「だろ?」


 あとは米がしっかりと炊けていることを確認してっと。


「大丈夫だな」


 炊き立ての米をよそって、そこにルーをかけたらカレーライスの出来上がりだ。


「ほらよ」


「ありがとな………うん、すげー美味い」


「へへ。そうだろう、そうだろう」


 カレーライスを嫌いな奴なんていないからな。じゃあ、俺もーー



「………」


「なぁ、なんかめっちゃ見てくるんだけど……」


 リズは相変わらずだが、他のメンバーもチラチラと見てくる。俺はなんかやらかしてしまったのか?



「そりゃ、お前の料理が珍しいからだろ」


「あー、なるほど。そういうこと」


 納得だ。それで珍しいから見てきてるってことか。なら、気にせず食べるか。


「…………」


「……やっぱ、すっげー食いずらいな」


「だな」



 しゃあない。このまま見られながら食うのも嫌だし、渡してくるか。



「食うか?」


「……ありがとう」


「別に良いけどじっと見てくるのはやめてくれ。あれ、すっげー食いずらいから」


「……分かった」


 俺はリズに渡してスピナーの所へ戻ってカレーライスを食べ始める。しばらくすると、リズがこちらへ向かってきた。



「ありがと。美味しかった」


「そいつはどーも」


 リズが皿を返しに来た。


「………」


「ん? なんかあるのか?」


「………」


「あー、はいはい。なるほどな」


 リズがチラリと3人を見た。俺は新しく3枚皿を出してよそっていく。


「リズは、もう大丈夫か?」


「………」


 いらないと言わない所を見るに、ほしいけど遠慮しているような感じだな。俺はリズが使った皿に再びよそった。


「ほらよ。危ないから往復して持ってけよ」


「ありがと」


 そして、あちらにカレーライスが渡ると、何やらみんなで喋っていた。そして、話が終わったらしく、アリスがこちらへ頭を下げた。


 まさか、あいつが男の俺に頭を下げるなんてな。ちょっと驚いた。



「ついでに御者さんにも渡してくるか」


「お前はお人好しだな」


「俺はできる男だからな」



 スピナーにドヤ顔をしながらも御者さんに渡した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る