16話 地獄の旅路
馬車が走り出してから、1時間。チラリと目を向けるとリズが俺を見ていた。めっちゃ気まずい思いをしていると、スピナーが小声で話しかけてきた。
「おいグレン。お前本当に何やったんだよ」
「いや、まじでなんもやってねぇよ」
「嘘つけ。絶対になんかやったろ。じゃなきゃあんな見てこないぞ」
と、言われてもなぁ。あいつが突っかかってきた疑いは昨日否定したしなぁ。
「まぁ、気にしなければ良いか。俺たちは俺たちで旅を楽しもうぜ」
「……それもそうだな」
「飯作ってきたんだけどお前も食うか? どうせ食ってないんだろ?」
俺は魔法袋からおにぎりを取り出した。おにぎりからは湯気が立ち昇っていて出来立てであることが分かる。
「……ありがとよ」
「あいよ。よく噛んで食えよ」
「子供扱いすんじゃねーよ!」
軽くポカリと横腹を殴られた。これは照れ隠しだな。若干顔を赤くしながら食ってるし。
「……美味い」
「そりゃ良かった」
さて、俺も一口。
「うん、ちゃんと美味いな」
この米のもっちり感がたまらないな。二口目を頬張ると中の具が見えてきた。
「お、シャケか」
「……」
やべぇ。リズがじっと見てくる。いや、よく見ると俺じゃなくておにぎり見てるな。
ここら辺ではあんまり流通していない物だしな。珍しいのだろう。
「す、スピナーの具はなんだった?」
「俺は唐揚げが入ってた」
「………」
やばい。リズがまじでずっと見てくる。他のメンバー止めて! すごく食べずらいから!
「リズ、あなたは朝ごはんをしっかり食べたでしょ」
「知ってる」
カーラに言われても尚、リズは俺のおにぎりを見ていた。仕方ない。俺は新しいおにぎりを取り出した。
「く、食うか?」
「……良いの?」
「あぁ、まぁそんな目で見られたらな」
「……ありがと」
リズはおにぎりを受け取ると包みを取って早速口に入れた。他のメンバーは目を見開いて驚いたような顔をした。まぁ、見ず知らずの男から受け取った物をいきなり口に入れたら驚くわな。
「………美味しい」
リズはほんの一瞬だけ驚いたような顔をしたが、すぐにいつものような無表情に戻った。口に合ったのなら良かった。
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