古き跡
15話 厄日は続くよどこまでも
スピナーにボコボコにされた次の日。
俺はあいつの宿の前にいる。
別に好きでいるわけじゃない。それはボコボコにされた直後だった。
『今日はこのくらいで勘弁してやる』
『う、うっす………え、今日は?』
『罰として明日のクエスト、お前も来い』
『え、明日も?』
『なんか文句あんのか? 俺はお前のせいで四日も面倒くさいことになったんだぞ?』
『つ、謹んでお受け致します』
と、そんなことがあったので俺はスピナーを待っているのだ。
「お、おー。まさか宿の前まで来てるとは思わなかったな」
と、スピナーが驚いた声と共に現れた。
「まぁ、悪いとは思ってたからな。雑用をしっかりとやらせていただきますよ」
「いや、別にそんなんじゃーー」
「え、じゃあどういう」
「い、良いから行くぞ!」
そのままギルドとは反対方向へ向かってしまった。依頼書はもう受け取っているのだろうか?
街の外壁には様々な馬車が止まっている。近くの隣街や王都や帝都行きの馬車など。
遠出するつもりなのか? どこに行くのかすら聞かされていないので訳が分からない。
首を傾げながらスピナーを見ると、
「今日は依頼じゃねーよ」
「え」
「今日はアステラの遺跡探索に行くんだ」
「えぇ……まじ?」
よりにもよって探索系かよ。こういうのって大抵はなんもなくて無駄に終わることが多いから好きじゃないんだよなぁ。
しかも、アステラって結構遠いじゃん。馬車の移動だけで丸1日はかかるぞ。
「んだよ。なんか文句あんのかよ」
「いや、別にないけど。ただなんでそんなところに行きたいのかなぁって気になってな」
「………まぁ、ちょっと気になることがあってな」
「そうなん? じゃあなんで俺を連れてくんだ?」
「え? いや、だってそれはーー」
ん? なんか急に言い淀み始めたぞ? ははーん? さてはこいつ。
「お前、ボッチだから寂しかったんだろ?」
「は?」
「いや、いいんだ。皆まで言うな」
なるほどなるほど。確かにこいつと喋っている人を俺は見たことがない。そういうことならこの俺が可哀想なこいつと付き合ってやろうではないか。
俺は満面の笑みをスピナーに向けて、親指を立てる。
「さ、行こうぜ!」
「………やっぱ雑用させるか」
そして2人で馬車に乗り込むと、
「あ、すいません。僕たちも乗ります」
聞き馴染みのある声だ。その声を聞くと身体中から汗が噴き出てきた。なんでだろうね? まだ顔すら見てないのに嫌な予感がする。
「あ……」
そして、乗ってきた4人組の少女たち。そのうちの1人、リズと目が合った。そして、昨日会ったカーラとステラも俺を見ていた。
「ふぅ………悪いスピナー! 俺ちょっと用事思い出したわ!」
「逃す訳ないだろ?」
速い! 席を立とうとする前に肩を抑えられていた。
手から伝わってくる力からして、絶対に逃してくれないだろう。
俺は仕方なく諦めて座ることにした。
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