第91話余波
溜息をつかずにはいられない。
今日はアニメ後の週一で流す放送の収録だ。
今季アニメで一緒である、武林未央那と共演するのだが
これまたなんとも言えない圧力を感じながらの収録となっている。
眼光鋭い許嫁と眼圧が高い彼女に囲まれる異様さに
ゲスト声優のドン引き状態から入るのだ。
今週のアニメの感想会やゲスト声優にどんな感じで役を演じたのかをふわっと話しながらリスナーの手紙を紹介してと、番組的には何も燃える要素は無いはずだがまあ炎上する火元はいつだって武林ちゃんなのだからこまってしまう。
彼女はコンビニのレンジ麺を食べましたみたいな話をするのだが
これは乗っかってトークを広げるべきか、悩んでしまう。
最初に食べたほうのレンジ麺太郎ではなく後に食べたあの味がわすれられないのだが、これは共有も共感もできない話題となってしまうし、コンビニで普通に手に入るアレは流石に美味しくないのでトークが乗らなそうだ。
武林ちゃんのトークに乗ってしまうと許嫁が怖いのもあって、彼女のトークは広げずに相槌を打ちつつゲスト声優へと話を振るなどして何とか乗り切った。
主役の武林ちゃん以外は男性声優多めなため、ゲストと話すのはいいのだがずっと見つめる彼女の圧がすごすぎる・・・。
収録なのでもう少し空気を読んでほしいなと思っていると何故か今回レンジ麺太郎の試食がラジオで出るとか何を考えてるんだスタッフ。
ニンニク臭が猛烈に漂うアレはここで食べるものじゃないだろって話だが、某番組のやらかしの余波が何故かウェブラジオまで及んでいるらしい。
僕の分だけ半熟卵がのり、銀シャリおにぎりが添えられていた。
すると、武林ちゃんが、「あれやってください♡」などとリクエストしてその悪乗りをゲストも参戦したことによってウェブCMの寸劇をやらせられる羽目になった。
よだれをたらしそうな勢いですごく喜んでいる武林ちゃんとゲスト声優である。
こいつら悪ノリしすぎだ。
当然収録音声にアニメのアイコンと吹き出しがでるが、
実際のリアル写真映像もだすらしく。
入念に反射写りしていないかチェックは欠かせない。
まさかスタジオで味わえるなんてと談笑しながら食べるレンジ麺太郎も悪くないだろう。
僕が席を立とうとすると、僕が使った使い捨て食器をガンミしてる武林ちゃんは露骨すぎではないかと思う。
収録が終わると自分が食べた容器は自分で回収する。
ずっとまえにうっかり回収し忘れた時に争奪戦で大げんかになったみたいなことを訊かされて以来、忘れずに回収はもはや当たり前になっている。
人のゴミであろうともグッズ化してしまうのはやめていただきたい。
レンジ麺太郎はクオリティーが低い。
そんなものを食べてしまうと無性に本物が食べたくなってくる。
今日のゲストである新人声優の岩井陸に声をかければ即OKの返事が返ってくる。
一度解散したふりをしないと武林ちゃんが無理やりでもついてくるのでもちろん社長に送迎されて、店で落ち合うことになった。
声優二人で突然太郎に行って入れるのだろうか。
そういう疑問がわいてくるのだが、そこはなんというか
太郎に絶大なコネクションを持つ友人がいるのでメッセージを飛ばせば即席が確保されるのでありがたいことである。
野口君は一緒に行っていい?という本気さが伝わる返信を送ってくるのだが、まあ、席も確保してもらったため断れない。
こうして、新人声優と野口君とでレンジ麺太郎の味と本物の味は違うんだ的な話を熱く語った。
あまり地声で話さないようにしているので声でバレたことはない。
男性が太郎を食べるということは普通のことなので、長蛇の列には男性もしっかりと並んでいる。
騒ぎにならないのはそこはマナーのいい太郎常連者が新参者を厳しく圧をかけているおかげでこうして平穏無事にラーメンをすすることができるのだ。
そりゃアイドルの食事シーンを生で拝めるという特別プラチナチケットをちょっと騒いで台無しにしたくないわけで常連客による鋼の掟がすでにネットにも流れるほどである。
一度も行ったことがない人でも、その掟だけは知っているというほどのインパクト。
野口君はいつも富士山のようにそびえる野菜をうっとりとした表情で見つめ、写真をとり攻略していく。
新人の岩井くんは、少な目チャレンジである。
初太郎参加の人は先ずは自分の胃のキャパを知ることが大事だ。
普通のラーメンよりも麺量が多い通常ラーメンの野菜少な目から試すべきだろう。
男性は大盛ラーメンくらいは食べられるのでそのくらいで胃袋の間隔をつかみ残さないようなサイズ感と野菜の量を調整しながら自分太郎マスターを目指すのが鉄板だ。
野口君よりも少ない野菜量で頬張ると、ガツンと来るこのたまらないニンニクのライヴ感と背油の甘味で味付けされた野菜これだけで十分ご飯のおかずの主役を張れるくらい味が強い、これだよ!!これ!!
初対面な野口くんと岩井くんは太郎という共通ワードで
とても楽しく会話ができていた。
なんてすばらしい食べ物なんだと太郎を食べ進めたのであった。
***************************************************
感想や応援、評価の★3レビュー等ご協力お願いします!
この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます