非日常3
『で、善行があるならもちろん悪行もある。』
『悪・・・行・・・?』
『悪い行いのことさ。
簡単にまとめてしまえば犯罪だったり他人を苦しめる行為のことだね。』
『それならわかりやすい。
俺には警察のお世話になったことがないから悪行はないってことか。』
『そうとは言い切れないよ。
君たちの概念で言う法というものに触れていなくても、
悪行になることはたくさんある。
例えば、他人にひどい言葉を吐いたり、相手を無視したり、
タバコのポイ捨てやマナー違反なんかも悪行だね。
小さな悪行で言えば愚痴や不平不満なんかも悪行として捉えられる。』
『愚痴や不平不満もかよ、、、結構厳しいんだな。』
『そうさ。
他者を思いやらない不誠実な行動が悪行につながるっていうイメージかな。』
『なるほど。で、その悪行が多いとどうなるんだ?』
『単純なルールからすると、過去に戻れる時間は、善行-悪行で決まる。
だから善行をいくら積んでいても、盗みを働いたり殺人を犯した人間は
悪行の方が多くなり、過去には戻れないんだ。』
『そうなのか。』
『ま、厳密に言えば過去に戻れる人間でなければ、
この話すら持ちかけられることは無い。』
『ふぅん。』
『で、君の善行から悪行を引いた時間が7年間になる、というわけさ。』
『なるほどな。』
『そして、過去にはこの意識の空間を通って戻ることが出来る。』
『この何もないまっさらな空間から?』
『そう。ここには時間の概念が無いからね。
指定した場面に意識を戻すことが出来るんだ。』
『にわかには信じがたいな。』
『でも今君はここにいる。信じざるを得ないんじゃないかい?』
『ああ・・・そうなんだろうな・・・。』
今のこの状況・・・信じろというのも無理があるように思うが、信じないというのも無理があるように思う。
だってそうだろ?現実離れしすぎている。
ま、夢ならいずれ覚めるし、本当なら20歳まで戻って人生をやり直せる。どっちに転んでもマイナスは無いんだから、このまま流れに身を任せてみるか。
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