第18話 新デス畳の不可解な態度
和室の引き戸とともに吹き飛ばされた“中型免許”は、ごく短時間ではあるがリビングのすみで気を失っていた。
目ざめたときには、和室のなかで
「ぜ、“善人だが浅慮”ォォ……」
かの人の名をくり返しながら、おのれの無力をなげいた。
むろん、
“中型免許”はキッと、新デス畳を鋭くにらみつける。
「おまえたち、どうしてこんなことするんだ! おれたちが、なにかしたってのか。おまえたちの、
最後にはすがるように
「なぁ、少なくともおまえは、言葉がわかるんじゃないのか……? わかるんなら答えてくれよ、教えてくれよ……」
床をたたき、背をまるめ、涙を流す。
相手が人間であれば、あるいは心を動かされたかもしれぬ、
が、少しののち、デス畳が身じろぎをした。
「タミ」
低い声で、いかにも
「行け」というジェスチャーにも、見える。
と、そのときだった――
「悪魔よ去れぇぇぇ!」
という絶叫と、ブリブリという
これを聞いた“中型免許”は、
「このくそでか
とさけび、急ぎ地を蹴ったが、その際にちらりと新デス畳を見た。
やはり
「しかし、あの殺気のなさ、本当におれたちを散々に殺しつくしたデス畳なのか……。あの距離で、無防備に気絶していたおれを殺すどころかおそいかかる気さえなかったようにも見えたが、かと思えば対話に応じる態度でもなく、なにを考えているものか……。ええい、いまは“悪魔ばらい”だ。無事でいろよ!」
和室にひとり残るデス畳の、あきれたような、あきらめたような、ふうというため息らしき音が、聞くものもないまま床板へと吸いこまれて消えてゆく――
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