第16話 青春時代のカリスマ
「黒幕の正体を… 知っているって…」
「・・・・・・!?」
「ガバッ! ティセの事バレたの!?」
「いや… 分からん…」
「正体を知ってるから、何だって言ってんだ?
100パー(%)ブラフ(ハッタリ)だ バレるワケがねぇ
そんなのに引っ掛かってんじゃねぇよ!」
「会わせてくれって言ってんだ… 直接会って話したいって…」
「絶対ダメよ… そんなの…」
「会えなきゃどうなるんだ? シカトしとけばいいんじゃね?」
「公表するって…」
「えぇっ!」
「・・・・・・」
「私は… どうすればいいんだ?」
「ティセが戻ったら話すか… でも、バレるワケがねぇ 絶対にブラフだ」
「まさか、会わせるんじゃないでしょうね…」
「会わせねぇよ… 嫁ちゃんとロックは、ティセを連れて買い物でもしてろよ
先方は何か御用でもあるんだろうから、俺が会って
「本当に大丈夫なのか…?」
「うるせぇ! テメェがミスってなきゃ大丈夫だろ!」
「・・・・・・」
「日時は… 2月〇日…
真夜中でも早朝でも、連絡後 即来てもらう
場所は・・・・・・ 部屋は、連絡入れた時に知らせる
それで良い 伝えておけ」
「それで良いんだな? 連絡入れるぞ?」
「あぁ… それでいい…」
暫くして・・・ 授業が終わりティセが来た
「2月〇日の日曜なんだけど、買い物行かねぇか?」
現実世界 2月〇日(日) 午後14時過ぎ 東京:銀座
「ティセたちは、このアンテナショップで買い物してる 連絡は入れたのか?」
「これから向かうって言ってた」
「俺は行くぜ 終わったら連絡を入れる」
「分かった… 上手くやってくれ」
ジークは、待ち合わせの場所へ向かった
東京:帝王ホテル
「コンコン!」
「ガチャ!」
「どーぞ こちらへ」
「バタン! ガチャ!」
「ドカッ」
「名乗ったらどうです?」
「・・・
「俺はジークです よろしくです」
「偽名だろ?」
「ぎゃははは! お互い様じゃねぇ~か 何言ってんですか?
"
「・・・・・・」
「それで、御用件はなんでしょうか?」
「発言は気を付けた方が良いぞ この会話… 録ってるかも知んねぇぞ?」
「どーぞ どーぞ ご自由に♪」
「・・・神の子に会わせてくれ!」
「何を言ってるんですか? 神の子って誰です?」
「しらばっくれるなよ!」
「怖い怖い… お巡りさんに言いますよ!」
「・・・・・・」
「もういいですかね? こっちは忙しいんですけど」
「ちょっと待て! 待ってくれ!」
「なんなのです?… 会いたいとか言われても… 目的を言ってくれません?」
「神の子に、やってもらいたい事がある…」
「俺のパイセン散々脅しておいて、お願い事ですかい?
テレビや雑誌で知ってるあなたの姿とは全然違いますねぇ~
業界に長くいると王様になっちゃうんすかね?
欲しい物は秒で出てくるから、思い通りにならないと駄々っ子になっちゃう
大したもんだ 男とはこうあるべきだね 勉強になります」
「・・・・・・ふははは! 俺を怒らせようとしてるのか?
なぁ、そうなんだろ その手には乗らねぇよ…」
「はぁ~? こちとら忙しいって言ってんでしょ
俺がそんな事してどーすんの? 何かメリットあんの?」
「えっ!? そりゃあ… 目的は金だろ! 雑誌に売り込んだり…
隠し撮りとか… 動画を上げるとか…」
「それやってなんぼ稼げるの? 5万?10万? この部屋代にもならねぇよ
人生のパイセンには申しワケねぇけど、礼儀がなってねぇなぁ~」
「金目的じゃなけりゃ… なんなんだ?」
「??? 何言ってんの? 御用があるのはそちらでしょ
目的を言いなさいよ もう… 帰ってくんない?」
「あら? そうだった… 目的は、仲間の子供を救ってくれ…」
「子供を救え…」
「その子は、生まれてすぐに心臓に障害があるのが分かった…
日本ではできない手術だって言うんだ…
海外でやるって言っても、成功確率は2割って話しでよ…
何とか金をかき集めた 手術は成功した・・・ その子は今5歳だ
去年の暮れ、〇〇〇〇病だって分かった…
難病指定されていて、治療法がない病気だ
金は集めた… 頼む、治してやってくれ!お願いだ!」
「あんたさぁ、"正体を知ってる"って脅したんだろうが!
知ってるなら、直にお願いすりゃあ良いんじゃないの?
もしも知らねぇのにブラフかましてるヤツを何て言うか知ってるか?
嘘付きクソ野郎って言うんだよ!」
「・・・・・・助けて下さい」
「俺が言いたいのは、敬語にしろって事じゃねぇんだよ… 順序がチゲェだろ!
"助けてくれて、ありがとうございました"が、先じゃねぇのかよ!
王様じゃなく皇帝だな! 謙虚さが微塵もねぇ プライドが邪魔してんのか?
あまり幻滅させないでくれよ… あの日のカリスマはどこに行ったんだ!
・・・・・・何故このホテルを選んだか、教えてやるよ…
忘れもしねぇ 2004年の夏 音楽堂のGIG ゲストのバンドは10組
その頃俺は中坊でよ、夏休みで日比谷は悪そうなのばかりいたな…
そこらじゅうで喧嘩してた あの盛り上がりは、一生忘れられねぇ 最高だった」
ジークは上着を脱いだ
「それは!?」
「伝説のGIGのTシャツだよ 中坊で3800円はきつかったな… 高けぇんだよ
でも後悔してねぇぜ 俺は、あのシーンのド真ん中にいたんだからな」
「クソッ! カリスマを泣かせるんじゃねーよ!・・・
神様の子に伝えてくれ "助けて頂き、誠にありがとうございました"ってな」
「伝えておくぜ マンジィー(
その後ジークは、殆どの部分をボカシして状況を話した
「・・・と言う事で、こちらの大将を表に出すワケにはいかねぇ~
一部分は慈善事業だが、それでも金は必要だ 開発費が掛かってますからねぇ」
「俺なら政府も動かせるぞ… それじゃ駄目なのか?」
「お国が絡んだら利権やら何やらで、めんどい事が起きるのはほぼ確でしょ?」
「個人でやるよりも、スピード感が違うぞ」
「金だけ引っぱれません?」
「さすがに厳しいだろ?」
「伺ってみたらどうです? 間違いなく政府は動かねぇ 簡単じゃねぇよ
今の仮初の神はロックですけどね… もう1人の神はマンジィー
あんたがなればいいんじゃね?」
「俺が神になるだと・・・」
「元々ロックの神だ 矢面に立つワケですヨ メディアや様々な媒体のね
ごちゃごちゃ言われますよ 宗教だインチキだ詐欺師だとか 色々ね
その覚悟があるなら会社作って、政府と直で取り引きしたら良いでしょ?
もしも契約できりゃあ総取りだ さっきも言ったけど、政府は動かねぇ」
「俺はなんでもいい 金は全部渡す 必要経費もこっちで負担する」
「OK!話が早い 会社は早々に立ち上げて、上手く立ち回って下さい
必要経費は、受け取った治療代から抜いて良いぜ 特別サービスだ」
「それで・・・ 仲間の子供の件だが・・・」
「そこに薬が1本ある それでは問題です」
「問題… 何故・・・」
「うちの大将が好きでね しょっちゅうクイズ出すの それのマネ」
「・・・・・・」
「薬を持って帰ったマンジィーは、家に着いたら子供が大怪我していました
この薬を飲ませたら、回復するのに・・・
自分の子と仲間の子、どちらに先に飲ませる?」
「それは… 仲間の子…」
「なんで? 自分の子供が痛がってんのに?」
「そりゃ… 我慢してもらって…」
「不正解! 正解は、一刻を争う方が先 でした」
「そんなの分かるか!」
「子供の状態見たら、多少は分かるだろ
捻挫くらいなら我慢してもらってもいいだろうけど、
血ぃ~噴き出して倒れてても、我慢させんの?」
「どっちを選んでも、難癖つける手法だろ?」
「そんな事はないさ 状況で判断できる事もあるだろって一例じゃんよ
判断できないってのは、こんな問題だよ
介護施設の老人と、養護学校の子供 どちらを先に助ける」
「・・・・・・」
「老人は先が短いから先? 子供は未来があるから後?
全員救いたいって想い当然あるだろうよ 俺も答えが分からねぇ
今日はAちゃんに飲ませるから、B君は明日ね
翌日、飲ませる前にB君は亡くなりました
親御さんはとても怒ってます 前日飲ませてくれたら、〇ぬ事はなかった!
そんな事があり得るんだからな」
「・・・・・・」
「神になるんだったら、その覚悟は持っといてくれよ
ちなみに、その子供の親は何の仕事をしてんの?」
「サベイランスでギターをやってる佐牟田だ」
「あらっ!? これは大物! 残念だけどセレブじゃん 1億でいいや
安すぎかな? でもいいや1億ね」
「・・・分かった そのくらいだと思って、持って来ている」
「中身を拝見・・・ まぁ、全部チェックしなくても、
インチキなんてしねぇだろ してたらクズ認定な 毎度あり!」
「それで薬は貰えるんだな」
「勿論 あっちの部屋に10本ある そこの1本と合わせて持って行ってくれ
10本はプローモション用 それを上手く使って、政府に取り入って下さい
無理だと思うけど良い結果待ってますよ 個人的に必要ならロックに伝えて下さい
収入によって治療代は変わりますけどね ご連絡お待ちしております
部屋に泊まります?」
「いいのかい?」
「はい、いいですよ」
「音楽堂は見れるか?」
「もちろん!」
「それじゃあ、お願いするよ」
「チェックアウトは、明日の午後12時 カードキーはそこにあります
それでは失礼します ごゆっくり」
ジークは部屋を出て行った
マンジィは、眼下に見える音楽堂を暫く見つめていた・・・
数日後・・・
「結局政府は乗らなかったってよ マンジィーさんガッカリしてた…」
「俺は端から期待してなかったぜ」
「あんなに奇跡を見せたのに・・・」
「別にいいだろ その代わり、依頼は殺到してんじゃねぇか」
「そうだけどな・・・」
「今日マンジィーは、どこに薬をやるんだ?」
「最優先で北海道の病院と沖縄の女性・・・残りは、都内の養護学校の子供と…
大物が1人 演歌歌手の小熊助三郎 即金で2億 状態は非公表」
「日本の端から端まで、ご苦労なこった 俺らの神は、これで本物の神になった
ポーションはそこにある 早く持って行けよ
俺たちのやる事は、これがメインじゃねぇからな
・・・誰かもう1人、マンジィーとの繋ぎが1人欲しいな…
とは言え、口が堅く信頼に足る人物がいねぇな…」
「マンジィーさんのように、ティセ様に感謝してる人がいいんじゃないか?」
「!? ナイスアイデア キャン玉2個分の脳みそで、よく考えついたな」
「誰がキャン玉2個分の脳みそじゃ! コラ!」
「ティセがこっちに来たら出掛けるぞ」
数十分後・・・ ティセが到着した
「ただいま帰ったぞ~」
「ティセ、お願いがあるんだよ」
「何さ?」
「ティセの友達の〇〇ちゃん DVD何回観ても泣いちゃうんだよ…
その後の〇〇ちゃんが心配になっちゃってさ… すんげぇ~気になるのよ」
「あ~ 私も~ ちゃんと歩いてんだもん ティセ~ 私も会ってみたい」
「ティセ様! 私もお会いしたいです!」
「テメェはマンジィーの仕事があるだろ!」
「〇〇ちゃんに会いたいの? 別に良いけど」
「そんじゃあ戻るか」
現実世界 2月〇日(日)午前 10時過ぎ 江東区某所
「ピンポ~ン♪ こんにちわ~ 〇〇ちゃんいますか~」
「ちせちゃん、こんにちは いるわよ 上がって」
「おじゃましま~す」
「あっ!ちせちゃん! あそぼ!」
「うん、いいよ!」
「ちせちゃん、こちらの方は?」
「鴨鍋輪公四郎さんと、奥さんの鶴椿豆奴さんです もう1人が禿杉田水虫男さん」
「はじめまして~ え~… かもなべわ… こうしろうです…」
「はじめまして あー… つるつばきまめやっこ… どすぅ~ おおきに・・・」
「あのー… はげすぎた… みずむしおです… 近い内に必ず改名します…」
「実は… ちせさんから動画を… 拝見しまして それでお伺いしました
旦那様は御在宅でしょうか?」
「はい… 今日は日曜日ですので… いますけど…?」
「お話を伺ってもよろしいですか?」
「今呼んできますね… どうぞお上がりください」
〇〇ちゃんの父親が、2階から降りてきた
「パパ~! ちせちゃんと2階で遊んでいい?」
「良いよ~ 遊んできな~」
「は~い」
ティセと〇〇ちゃんは2階へ行った
「それでご用件は何でしょうか?」
「〇〇ちゃんがお元気になられて、凄く感動したんですね」
「ありがとうございます! こんな日が来るなんて、夢のようです…」
「口が堅いとお見受けしまして、〇〇ちゃんパパと〇〇ちゃんママに、
お願いがあって参りました」
「何でしょうか?」
「その前に質問してもよろしいでしょうか?」
「何でしょう?」
「ちせちゃんが "神の子" だと分かってますか?」
「・・・・・・分かってます それしか考えられませんから…」
「〇〇ちゃんママはどうですか?」
「私も… 確証はないけど… そうじゃないかと…」
「でも… メディアには黙っててくれたんですよね?」
「そんな事言えませんよ… 助けてくれたのに迷惑は掛けられません…」
「マンジィーの活動はご存じですか?」
「当然知ってます 私も妻もファンですから」
「あの活動も、こちらの仕切りでやってるんですよ」
「えっ!? 本当ですか?」
「はい本当です "一番最初に助けたい人は誰ですか"って質問で
彼女が答えたのは… "〇〇ちゃん" だと言ったのです…」
「あぁ… ちせちゃんは… 本当に神の子だ!」
「うぅ… ちせちゃん… グスン… ありがとう…」
「話は飛ぶのですが… 失礼ですが御主人のお給料って… 教えてもらえません?」
「手取りで30ちょっと… ボーナスは年に2回ですけど?」
「すると・・・ 年収は400ほどですね?」
「そうですね・・・」
「このお家はローンですか?」
「はい… 35年です」
「35年・・・ そりゃあ大変だ!
禿杉田パイセン! お願いします」
「は~い どさっ どさっ どさっ どさっ」
「ここに1000万あります これは今年の分です
今のお仕事を辞めてもらって、私たちの仕事手伝ってもらえません?
今年以降も、年俸1千万お支払いしますよ ボーナスは無いけどね」
「何をするのですか?」
「いや~ 簡単な仕事ですよ…
定期的に我々が持って来る薬を、マンジィーに渡す役割です
それ以外のヒマな時は、都内各所の具合が悪い人に薬を飲ませる
ただし… 目立たないようにね ただそれだけ」
「治療のお金はどうするんですか?」
「当然頂きますよ 慈善事業も兼ねてますが、非営利団体じゃないんでね
お金持ちからはおケツの毛まで毟り取り、貧乏人からはお気持ち程度頂戴します
完全無料ってのは極僅かですよ 本当に何もなければ無料
それでも不要な物って、どのご家庭にもあるでしょ?
そんな物一切合切でもいいんです… タオルセットやビール券みたいな贈答品ね
因みに… この前マンジィーが入院した件は?」
「知ってますよ…」
「あれを治したのも我々なんですよ」
「えーーー!?」
「後日、本人から聞いて下さいよ」
「本人に会えるのですか?」
「会えるどころか、仕事仲間ですよ」
「ぎゃーーーー! 最高!」
「年俸1000万で、やりますかやりませんか どーっち?」
「や~る!」
「それでは、そのお金はどうぞ お納めください
〇〇ちゃんパパと〇〇ちゃんママ それぞれの呼び名を考えて下さい
今後は、その名前で活動して貰います」
「呼び名か~… 例えば"マンジィー"みたいなものですよね?」
「そうですよ」
「ママはどうする?」
「私はねぇ… "キャンディ"がいいかな? パパは?」
「パパはねぇ… "サンダース軍曹"が良いな♪」
「すみませ~ん… "サンダース"は、既にいるのでダメなんです~
ママさんの”キャンディ”はOKですよ」
「そうか… やはり人気の名前は取られてるか… ガッデム!
でしたら… "ダン"か"フランク"はどうです?」
「えっ!? あの~… さっきの"サンダース"は何となく分かるんですけど…
"ダン"と"フランク"は、何か選んだ理由があるんですかね?
先に言っときますけど、既にいますので却下です」
「なんてこった… この2つもダメか… マイゴッドよ…
"ダン"と"フランク"は兄弟でしてね とある飲食店の創業者なんですよ
伝記を読みましてね 尊敬してます」
「そんな感じの理由なんですね… 次の候補を考えて下さい…
嫁ちゃん… ダン&フランク兄弟をスマホで調べてみて下さいな」
「分かった… 調べる… えぇーーーー!… 失礼…
ダン&フランク兄弟は… 〇〇〇〇〇の創業者だって…」
「マジか… ティセは天才かよ… 天才だったな… だからあの兄弟はピザか…」
「不思議だったのよねぇ… 何でピザなのかって 幾らでも候補はあるのに…」
「でしたら… "ハーランド"はどうでしょうか… お願い…」
「えーと… ダメです! 理由は?」
「f〇〇k!! 知ってるでしょ 〇〇〇〇おじさんを?」
「知ってますけど… 次は? 嫁ちゃん、調べてみて…」
「ちょっと待ってね… 調べる… ぎゃーーーー!… 失礼…
〇〇〇〇〇〇の創業者の本名だって… ハーランド・☆・サンダーズ」
「〇〇〇の創業者かよ! それで揚げ鳥… 味は本家に勝ってるじゃねぇか!」
「ティセって、そう言う遊びするのね・・・ 普通は言うでしょ?」
「気付けるかって事だろ… ティセ様からの挑戦状なんだ・・・」
「あの~ アンソニーで・・・」
「はい決定ね… 明日辞表を出して、1か月後円満に会社を辞めて下さいよ
兼業はダメですからね
〇〇ちゃんと長い時間一緒に過ごして、たくさん遊んであげて下さい
薬を運んだりなので、娘さんを連れてっても良いですからねぇ~
仕事のより詳しい内容は、こちら禿杉田水虫男… 改め、
神になり損ねた男 ロックからお聞きください
この後ロックと一緒に、マンジィーの所に行ってもらいます
よろしいですかね?」
「マンジィーに会えるのですか!?」
「はい」
「やった~! え~と… 家族で行っても…」
「う~ん・・・ OK!」
「ぎゃーーーー! やったぜ♪ 写真をSNSにアップしてもいいですか?」
「仕事に関しては、完全NG! 絶対にダメ!
画像に関しては、マンジィーから許可を取って下さい」
「分かりました~♪」
「おや… もうこんな時間だ ティセ! ティセ!」
「は~い」
ティセたちが2階から降りてきた
「もう時間だから、お仕事しないと…」
「そっか~ 〇〇ちゃん もう時間だから帰らないと…」
「ちせちゃん… もう帰っちゃうの…?」
「〇〇ちゃんと遊びに、また来るからね」
「本当に来る?」
「うん、また来るよ バイバイ!」
「ちせちゃん、また来てね~ バイバ~イ!」
ティセたちはロックを残して、〇〇ちゃんの家を後にした・・・
その帰り道・・・ 車中
「それでどうだったの悪巧みは? 上手くいった?」
「あれれ~ バレてました~? まぁ、上々ですかね」
「まぁ~ね 良かったじゃん
私は関知しないから 現実世界の事は任せるよ」
「感謝感激雨あら、そう? あざっす! 自分頑張るっす!」
このような体制を整えた事により、ロックが神になることはなかった・・・
現実世界ではこれ以後マンジィーが神となり、日本全国駆け巡った
そんな神を、アンソニー一家が一生懸命サポートした
やらせや詐欺師などとアンチから叩かれたが、本人は一切気にする事は無かった
業界人からの依頼も数多く受け、空き時間には様々な施設や病院を訪問した
金持ちからは大金をせしめ、貧乏人からはお気持ちだけ頂戴する
それにより、現実世界で金銭に困る事は一切無くなったジークたちだった
時は遡り・・・ 8月5日(異)午後23時過ぎ ハルヨシ村:ライラックの酒場
「ティセはとっくに寝てるぜ 大工のおっさんに、毎日細かい指示出してんだよ
それ以外にもやる事が多くてな もっと人を使えれば良いんだけどな」
「別に構いやしねぇよ 俺たちがもう少し早く深淵から上がれば良かったんだ…
契約も今日で終わりだから、打ち上げはしたかったけどな… (フォル)」
「いやいや、仕方ねぇって ところで先日から"エニィポーション"も
買取りを始めたんだ 持ってたら700で買取るからな
他の連中にも伝えてくれよ」
「買取りよりだいぶ高いじゃないか? そんな物いくらでも流すぜ(ゲイル)」
「大将からの指示なんでね 持つべき者は常連さんだな ありがたいねぇ~」
「ジーク様… 今日深淵で、"たろー"にソックリな者を見たんですぅ
もしかしてあいつ、深淵に潜ってますか?(レン)」
「"タロー"だって!? レンちゃんの見間違いだと思うよ?
あいつはタカミ村にいるんだもん 深淵なんて潜ってないよ(嘘)」
「ソックリだったんですけどねぇ~… 私の見間違えか…(レン)」
「ティセ様は、王都に戻るのですかな?(ラング)」
「いや、戻らねぇ 拠点は深淵があるハルヨシ村の方が良いってよ
王都にはダン兄弟が行ってる 金銀の買い付けは2人に任せてるぜ」
「しかし2人は"ぴざ屋"の主人 店の営業に穴を開けてしまうのでは?(ドルフ)」
「店舗は改築してんのよ 完成するまでの間、王都で仕事ってワケだ」
「修行してる間に、色んな事が進んでるのよ ティセは凄いよねぇ~(クラハ)」
「ティセ様は、次に何をするのでしょうか?(レン)」
「何だろうな? 聞いてねぇけど何をするにしても、手が足りねぇからな・・・」
「手が欲しいなら、普通に領民たちを雇えば良いじゃないか?(フォル)」
「一般の領民か? どうだろねぇ~ 安心して使えるかねぇ~?
金を持ち逃げしたり、悪さするんじゃねぇの?」
「"人による"としか言えねぇが、利用する者は多いぞ
店番だろ… 給仕、深淵の手伝い、狩り… とにかく色々だ (フォル)」
「常識的にそれが手っ取り早いのは分かってんのよ…
問題なのは信用度と忠誠心なんだよ…」
「俺たちにできる事なら、何でも言ってくれよ
俺ら勇戦団は、驚くほどヒマだからな ガハハハ!」
「頭に入れとくよ 何かあったらお願いするぜ」
「報酬は弾んでくれよな」
「俺らの大将(ティセ)をなめるなよ⤴ ぎゃははは!」
同刻・・・ ハルヨシ村:兵舎
「ノア様、タカミ村からすべての物を搬出し(物資の移動・引っ越し)、
先ほど全てこちらに到着致しました」
「そうか、ご苦労だったと労ってやってくれ」
「はっ! それでは失礼します」
部下は出て行った
「ふぅ~… これで一旦落ち着いたな・・・ 一安心だ」
「(あれからずっと気になっていた"シェリル婆"を訪ねてみるか…)」
翌朝 8月6日(異) 午前8時頃 ハルヨシ村:商店
「邪魔するぞ」
「いらっ!? ノア様!? こんな早いお時間にどうなさいましたか?」
「先日ウィルから、シェリル婆が深淵に潜ったと聞いたのだ…
だが、とても信じられなくてな… 真相が知りたくて悶々としてたのだ
確認がてら、久し振りにシェリル婆に会いたくなってな 来てしまった」
「左様でございますか ノア様が来て下さるなんて… 母も喜びます!
ありがとうございます」
「シェリル婆は起きているのか?」
「はい、呼んできますので 少々お待ちください」
店主はおばあさんを呼びに、2階に上がって連れてきた
「これはこれはノア様⤴ お久しゅうございます♡」
「本当だなシェリル婆 とても元気そうで何よりだ 具合は悪くないのか?」
「はい、すっかり良くなりました♪
年甲斐もなく調子に乗って、深淵に潜りましたの おほほほ!」
「本当の話だったとは驚きだ… その調子なら、また働けるのではないか?
シェリル婆が望むなら、いくらでも仕事は用意するがどうだ?」
「ノア様のお気遣いに言葉がございません… しかし… 申し訳ございません…
ばあさまは新たな主に仕えておりますので、お気持ちだけ頂戴致します…」
「新たな主…!? その主人とは、どのような御仁なのだ?」
「とても聡明で可愛らしい御方でございます
このポンコツな体も、その御方に治して頂きましたのよ
若いのに私のようなばあ様を、逐一気遣ってくれてまして…
ノア様や先代様(ノアの父親)のように、慈愛に満ちておられます
目立つ事を望まない御方ですので… すみませんが・・・」
「そうか・・・ しかし、良い御仁に巡り合えたようで何よりだ」
「はい… 老い先短いばあさまが、どれほどのお役に立てるか分かりませんが…
人生最後の御奉公 精一杯尽くしたいと存じます」
「シェリル婆がそこまで惚れ込むとは… 思わず嫉妬するではないか⤵
はっはっはっはっ! その御仁が羨ましいぞ!」
「はい、私には勿体ない御方でございます」
「・・・・・・少しで良いので、手合わせをお願いできるだろうか?」
「はい、ようございますよ」
ノアとシェリル婆は、手合わせを終えた・・・
「ヒマがあれば遊びに来てくれ メルゼインや子供たちも喜ぶ」
「私もお会いしとうございます 必ずお伺い致します」
「いつ来てくれても構わない 待っているぞ では失礼する」
ノアは兵舎に戻って行った
次回 第17話『未来からのお届け物』
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