第15話 コードネーム:GG
2月某日 江東区 マンション
「お早うさん あっ!ロックさん どう、
「ティセ… 大変だ!」
「ジーク氏、どうしたのよ?」
「とりあえず… ニュースを片っ端から録ったんだ… 観てみろ」
ティセは、録画したニュースを見させられた
「東京は江東区の住宅街… ここに、神の遣いの少女が現れたようです」
「〇〇さんのおじいさんは、ずーっとボケてたの… 近所も迷惑しててさぁ
それが急にピンピンしてね 今ではジム通いしてんの 驚いてさ(笑)」
「この界隈で、具合が悪かった人が・・・ 急に回復してね~」
「家にも来ないかなーって お祈りしてるんですよね」
「金はもちろん払うよ 当然さ いつでもお越しくださいね」
「そりゃあそうだよ 寝たきりなんだよ 信じられないって」
「神の子かもって、家族で話してるの」
「金の問題じゃないって… そんな魔法ならさぁ 幾らでも」
「このように、体が不自由な方がご家族でおられるご家庭では…」
「中学生くらいだって、みんな噂してるんだよ」
「女の子だろ 知ってる子なら助かるんだけどね お願い 家にも来てね~」
録画したニュースを見終わったティセ・・・
「やっぱ早かったね… 秒でバレるとは思ったけどさ これはヤバし…」
「ティセ様、何なの?」
「ロックはちょっと黙ってて!」
「そりゃあ家族の体が治れば、話したくなるわな・・・」
「でもねティセ… ティセって凄く良い事をしたんだよ
DVDの最初のボケたおじいさん
家族の方がね 、"早く〇んでくれたら"とか言っちゃうくらいなんだもん
本人は苦しいだろうけどさ、精神的金銭的に家族も辛いんだから…
もしティセの所に来ても、知らぬ存ぜぬで通せば良いんだから
全然大丈夫だよ」
「ここはな、俺が思いついた案で解決だよ」
「どうするのよ?」
「要するに、注目されてるエリアを変えれば良いワケ
ロックが神の子…否! 神になれば万事解決 だろ?」
「そうね… それが良さそうかな…」
「ロックさん 神になる覚悟はある?」
「そりゃあありますよ その為に生まれてきたみたいな?
そんな感覚で今までやってきてますからねぇ」
「この際だから、お金貰っちゃっても良いよね?
お金ない人はタダだけど…」
「いいんじゃね?」
「私も良いと思う」
「お金貰えるの?」
「貰えるよ 私が考えるからね」
「ロックさんは、具合が悪い所ってある?」
「私って、健康な体が取り柄なんですよね 唯一悪い所は… 水虫です」
「テメェコノヤロー! 水虫で人の家にあがるんじゃねぇよ! ガルル!」
「えー… マジで最悪! 業者呼んで消毒させるからね!
ちゃんとお金払ってよね ムキー!」
「ちょっと見せて」
「えっ! 見るの? 恥ずかしいなぁ…」
「きめぇ~んだよ コラ!」
「はいどうぞ…」
「うわー… これ… 何年物?」
「かれこれ、12年くらいですかね?
水虫って2パターンあって、サラサラタイプとじゅくじゅくタイプ
ご覧の通り、私のはじゅくじゅくタイプです」
「気持ちわりぃ… じゅくじゅくがぐちゅぐちゅじゃねぇか!」
「あ~… せっかく治っても、靴と靴下履いたらまた(水虫に)なっちゃうよ…
あれは捨てちゃってよ」
「ティセ様~ あの靴高いんですけど~」
「知らんがな… それなら、水虫と共に生きる方が良いの?」
「テメェ~ 治さなかったら、出菌(禁)だからな! ガルル!」
「そうよ! ケチらないで、ちゃんと捨ててよね ムキー!」
「ティセ様、高級ブランドの革靴とのお別れが済みましたので一思いに…」
「はい、これを全部飲んで」
「はい… ゴクゴクゴク! ぴゃ~美味い!」
「どんな味覚してんのよ・・・」
「キモいから、直接かけちゃおう
お風呂場でびちゃびちゃびちゃ… 暫く安静にしてて下さ~い」
「は~い!」
「ねぇ見て! 泡がブクブク出てるよ・・・」
「色が・・・ うわぁ・・・ グロっ」
「ティセ様!トゥるトゥる~になりました~♪」
「完全に治ったみたいね… まさか水虫に効くなんて思わなかったよ」
「ティセ… これは革命だぞ
水虫って、治ったと思っても治ってなかったりって聞くからなぁ~
菌が完全に死なないとダメらしいぞ」
「それじゃあ、ロック家は水虫菌だらけだね
引っ越しした方が良いよ また水虫になっちゃうから
それか、ポーションを毎日飲むか」
「貴重なポーションが、水虫で消費されんのかよ… バチが当たれ!」
「もったいないの最上級よね」
「全然痒くない?」
「かゆくな~い!」
「ジーク氏、私が作ったDVD観せてあげてよ」
「おぅ待ってな」
「ロックさん、このDVDを最初の2人だけでいいから観て
話はその後でするから」
「観たらいいんですね?」
ロックは、DVDを視聴した
「うぁ~わんわんわん…(号泣) ぐすっぐすっ… うううう~
〇〇ちゃんガンバレ! よかった! よかったねぇ… あぅ~」
視聴を終えたロック
「ロックさん、感想は?」
「握手して下さい… ティセ様… ヒックヒック…」
「テメェ~ 感想を言えよコラ!」
「このDVD… 販売しません?」
「バカ言ってんじゃないわよ! できるワケないでしょ!」
「このように、症状や状態は治せるの 多分欠損はダメだと思うけどね
ロックさんも、水虫が治ったよね?」
「はい、感動です…」
「ティセは、計7人の症状を治したんだ テメェが観たその2人のようにな
そのせいで、さっき観たニュースの状況になってんだよ」
「そうなのか… その役目を俺… 私にやれって事?」
「そうよ… ロックなら、経営者とか芸能人とか知り合いがいるじゃない?
金持ちからは、お金を取って治療してあげるのよ
お金に困ってる人からは、当然取らないのよ 神なんだもん」
「ロックさんなら、上手くやれるよ どうする? やってみる?」
「やりま~す! ティセ様… その前に、お金を渡しておきます」
「
「はい、そうです」
ロックは、セカンドバッグから高級長財布を取り出した
「はいどうぞ」
「これって… クレイジーママンのウォレットじゃん! カッコイイ」
「お前らはこれだ」
ジーク夫妻には、新聞紙を折って作った手作り長財布を渡した
「このヤロ~… こんなの作ってるヒマねぇだろうが!」
「両方とも、152万入ってます」
「買い物のお金は、私の方から抜いて良いって言ったじゃん」
「いいのです… 買い物代は、私が全額負担しますので」
「だってさ 毎回いっぱい買っちゃおうよ ゲラゲラ!」
「そうだな こいつを破産させよう ぎゃははは!」
「バカだねぇ… この2人は遠慮しないよ」
「新しい任務で、更に稼げるじゃないか⤴
人ってな、気遣いの心があるんだ クラハ… 気にすんな」
「知~らない 後悔するからね」
ティセはロックに、コードネーム:混沌たる困難に抗う罪深き矮小で穢れし道化師
漆黒の外套を纏いし伏魔殿から覗く暗黒魔獣の鞣し皮で作りし異臭を放つ皮靴を
履きし破棄した悪臭で吐きし掃きし提案も破毀され覇気なき愚者が紡ぐ感動大作戦
略称:GG(ゴッドゲーム)を伝授した コードネーム及び略称命名:ジーク
「・・・こんな感じ 教えたパターンを、色々と組み替えたりしてね」
「なるほどですねぇ~ 勉強になります
でもティセ様、
「なんでよ? それがあるから、却っていいんじゃない!
「なんでです?」
「このバカチンが! "上手く使う"で、なんで分からねぇんだよ!」
「ジーク氏… 冷静に! 私が説明してあげるよ」
「優しさに助けられたな… ニャン玉キング」
「セレブからは、ガッポリお金を取ったら良いの
そうじゃない場合、
「それでどうなるの?」
「普通は、治療の対価でお金を貰うでしょ 分かる?」
「はい」
「それだと、治してもらった家族は、治療の後何が残るのよ?」
「何も無いですね… 強いて言えば、健康な体ですかね?」
「その通り! それじゃあ、治療の代金として
治療後のその家族に、何が残るのよ?」
「あははは! 簡単ですよ 健康な体!」
「何でよ! 健康な体と、
「バカかコラ!」
「あっ! そーゆー意味でしたか?」
「それだと、あんまり儲かりませんよ」
「金がねぇ層から、巻き上げようとするんじゃねぇよ クソ鬼畜が!」
「セレブからは現金のみ まぁまぁ持ってるなら、ケースバイケース
そこそこなら安めのアクセ 全然無いなら、無料かお気持ち程度
そんなんで良いんじゃないかな?
あぁ! お金持ってない芸能人やセレブって絶対いるでしょ?
そんなインチキセレブでも、物はいっぱい持ってると思うんだよね
お中元とかお歳暮で沢山貰うでしょ ビールやジュースの詰め合わせ
タオルケットや食器セットはブランドのやつ 石鹸や洗剤セットもありだな
要らない物とか持ってんでしょ?… 例えば、ブランド物の洋服や財布
ゲーム機、本や漫画・DVD、電化製品、
要するに、一般家庭と比べたらお金になりそうな物って眠ってそうでしょ?
ごっそりもらって、お店で売れば良いじゃん」
「ナイスアイデアですね! これはかなり儲かりそうですよ」
「私たちは早急に、"
さっき言った方法なら、金持ち以外のお客さん(患者)なら、大して損はしない
治療の対価として "
私たちは 税金や申告とかを気にしないで、"現金" を手に入れる事ができる
大金持ち以外だったら、ウィンウィンの関係じゃんか」
「さすがティセ様ですね~」
「ハリウッドスターだったら、1回で億いくんじゃない?」
「ぎゃははは! それな、最高!」
「ティセ、私聞きたい事があるんだけど」
「なに?」
「あのおばあちゃんの事なんだけど」
「うん」
「元々は、兵士たちの食事を作ってたじゃない
その前は兵士をやってたんでしょ?」
「そうだよ 女兵士の先駆けって言ってたから」
「若い時から、深淵に潜ってたんでしょ?」
「そうみたいね」
「足腰が悪くなったなら、あのポーションを飲めば良かったじゃない
食事係も引退して、お店番もできなくなっちゃって、
ほぼ寝たきりみたいな状態だったのに、何でよ?」
「私の想像だよ その前に質問 クラハさんは、ゲーム好き?」
「好きだよ」
「RPGは?」
「大好物だね」
「クラハさんは、RPGを6時間プレイしました
レベルも結構上がって、中ボスも倒しました
街へ帰る途中で、毒をくらいました 毒消しもMPもありません
やっとの思いで街に着きましたが、宿屋の目の前で残りHPは1
1歩も歩けません 何か無いかとインベントリを確認したら…
ファイナルブリトーが1個ありました 中ボス撃破の報酬です
ゲーム内で全部で4個しか入手できないレアな完全回復食です
〇んだら、貯めたゴールドが半分になります
街に帰ったら、ファイナルソードを買おうと思ってたのに~
持ち金は、武器の購入額と同じだけ持ってる 500万
クラハさんならどうする?」
「え~… 〇んだら持ち金が半分でしょ…
でも全部で4個しか手に入らない超レア食…
ちょっと考えさせて・・・」
「俺なら躊躇なく食うね 半分からまた貯めるのダルいじゃん」
「私なら薬草を買いますね」
「1歩も動けねぇって言ってんだろうが!」
「それなら、お小遣いをあげて買って来てもらったら良いだろがい!」
「できるならやってんだよ 脳みそがキャン玉かよ!」
「私って相当悩むタイプなのよね~
あ~分からない… ごめんティセ… 結論が出せない」
「それならクラハさんは、"ファイナルブリトー症候群"かもね ゲラゲラ!」
「なによそれ、病気なの?」
「ある種、ゲームに関しての症状なんだってさ
貴重なアイテムを使うのは勿体ないって、使わずにクリアしちゃう人の事」
「ぎゃははは! はいは~い! このおねぇさん、その病気にかかってま~す
全部のゲームで、その症状が出ております」
「・・・何よ! ティセならどうするのよ?」
「私も使うよ だって、ファイナルソードを買って先に進めるんだよ
また貯めるのって、時間のムダじゃん」
「本当に合理的ね それで、その質問で何が分かるのよ?」
「ごめん もう1つ聞きたいの
街に帰ってきました HPは1しか減ってない MPは満タン
クラハさんは疲れたので、プレイを一旦止めます
回復しますかorしませんか? するなら方法は?」
「私は回復しないで止める 1だもん 別にしないでしょ?」
「俺もしないな… タダ(無料)回復できるなら使うけど、
そうじゃなければ、1くらいなら気にしねぇな」
「私は回復しますよ 方法? 宿屋に泊まりますね
理由? 次に始める時に、万全な方がいいでしょ?」
「ちなみに私は、回復しないで止める」
「それで? ティセの想像とやらは何なのよ?」
「クラハさんの疑問ね 何でおばあちゃんはポーションを飲まないのか
答えは簡単 でも、可能性は複数あるって感じ?
A1.飲んだ事がないから、効果を知らない
A2.飲んだ事はあるが、飲まなくなった
A3.もったいないから
A4.効果は知ってるが、飲む必要がないから
ぱっと浮かんだのだけね もっとあるかも知んない
おばあちゃんの場合、候補は1・2・4 減らすよ
4飲む必要があるのに飲んでないから消し
答えは1か2だけど、私の予想は限りなく1だと思うよ」
「冒険者で潜ってても、効果を知らないなんて事ある?」
「そりゃああり得るだろ」
「何でよ?」
「ティセのゲームの話と置き換えて考えりゃいいのさ
何千時間とかやる人いるだろ?
相当やりこんだマゾゲーマーならいざ知らず…
嫁ちゃんがプレイしてだな、
ファイナルブリトーの味を知ってるのかって話し
俺とティセは知ってる ロックはキャン玉の味を知ってる
嫁ちゃんは、その味を知らないワケだ・・・」
「例えが分かりづらいわね…」
「全部のアイテムを、使った事あるのかって事じゃんよ」
「それは… あるんじゃない?」
「それはあり得ねぇ~な」
「何で言い切れるのよ! ムキー!」
「じゃあクラハさん、
ゲーム開始時に木の棒を持ってて、お金を貯めて鉄の短剣を買いました
モンスターが木の枝を落とした その"木の枝"を使うの?」
「使わない・・・」
「ぎゃははは! なぁ、言い切れるだろ?」
「・・・屁こきヤロー!」
「おばあちゃんは冒険者もやってたけど、全てのアイテムは使ってないはず
しかも、強ければ強いほど使わなくなるし、なるべく使いたくない」
「何で使いたくないのよ?」
「何の為に、冒険者をやるの?」
「お金稼ぎでしょうよ?」
「そう、お金稼ぎ だから使わないで持ち帰りたい
必要な分残して、なるべくたくさん売りたいじゃん
やっと深淵から家に帰ってきたよ~
"疲れたからエニイポーション飲~もお"ってならないでしょ?」
「あ~ なるほどね~」
「お金に糸目を付けない冒険者か、あんまり強くない冒険者
使う確率が高そうなのがこのパターン
正し、その冒険者が効果自体知ってても、
私たちほど汎用性が高いアイテムだって分かってる人はいないでしょ?」
「そうだろうな 知られてたら売値700なワケがねぇ~
ティセ、買値700で集めるのはどうだ?
ティセの言う通り、価格のバランスは壊したくない
だけど700なら店売りと同じだし、
冒険者は700で売れるなら御の字だろ?」
「それいいね! ジークさんたちも、冒険者から直で買取りできるし…
どこかに買取り屋作ったろか? エニイポーションのみ ゲラゲラ!」
「それじゃあ700で買取りを始めるぜ
買取り屋をもしもやるなら、鑑定持ってるやつを置かないとダメだぞ
それプラス、金銀も買い取れたら尚いいな」
「あの~ティセ様」
「なに?」
「私の仕事なんですけどね、何か取っ掛かりとでも言うのですかねぇ…
どんな感じで始めたらいいんですかね?」
「そうねぇ… スポーツ新聞買って来て 2部 プリンとバニラのアイス
牛丼のテラ盛とおみそ汁 ポテチはコンソメね グミのグレープ味
飲み物は… 午前からのアフタヌ~ンティー アップルティー 箱でね
アイスコーヒー それでいいや」
「俺は唐揚げ弁当特盛 フランクフルトとナゲット たばこカートンでな ライター
柿の種 ブラックの無糖を大量に レモンサワーとビール」
「私は~ テリヤキバーガー3個 アイスコーヒー アイス チョコ5種くらい
たばこはカートンね ライター 日本酒 ビール それでいいや はい、鍵」
「ティセ様… 嘘ですよねぇ~ あははは!」
「異世界を行き来してんのに冗談とか危ないじゃん だから嘘じゃないよ」
「え~… そうなんですか?」
「ロックが買い物代持つって言ったじゃない」
「あの~ そうだけど… 気遣いの心…」
「テメェ~ 早く行って来いよ そうか… やりたくないって事か
じゃあ引退か? 異世界引退だな だ、そうです」
「そっか… 残念だねぇ じゃあバ・・・」
「その先はダメ~ 言っちゃダメ! ティセ様… メっ!
行ってきま~す ぴゅ~」
ロックは買い物に行った
「やっと行きやがった… 手間取らせやがる…」
「ロックはバカだけどさぁ… イジメすぎじゃない?」
「そんなワケねぇだろ ギャラは俺らやティセの倍なんだぜ
しかもがめり放題 インチキしたって分からねぇ どこがイジメよ?」
「えっ! そうだったの? それって私聞いてた? じゃあいいや」
やっとロックが帰って来た・・・
「テメェ~ 遅すぎだろ~! コノヤロー!」
「私は靴が無いんだぞ! お前の靴、一足も無いじゃないか! どこに隠した!
そんな訳なので、クラハので行ってきたのだ ざまーみろ
あの… ピュオールのブーティでな お陰で変なおじさんだ! ムキー!」
「あぁ~… あのブーティ… もう履けない… 弁償しなさいよね! ガルル!」
「新聞と牛丼とおみそ汁とアップルティー頂戴」
「はいはい ただいま~ どうぞ」
「残りは、冷蔵庫とダイニングに置いといて アイスは冷凍庫ね」
「は~い」
「俺らのがねぇ~じゃねぇーか?」
「お前らのは、玄関の外に置きっぱなしじゃ
欲しけりゃ取りに行け! 誰かに盗られるぞ」
「コノヤロー! ガルル!」
「何よ! ムキー!」
ティセは牛丼を完食し、新聞を読んだ 先に戻って来たのはロックだった
「ジークさんたちは?」
「あいつらは外でたばこを吸ってますよ」
「タバコ吸ってなかったじゃん?」
「クラハが病気になったので、止めてたみたいですよ」
「せっかく止めたのに、また吸っちゃうんだ 依存性が高いのね」
「確かにポイ捨てや副流煙なんかで、人様に迷惑をかける不届き者もいますよ
寝たばこで火事になったりしたら、大変です 当然体にも悪い
人様に迷惑って意味では、タバコよりも断然お酒ですね
酒のトラブルは、日本全国どこでも必ず毎日ありますから
アル中でしょ ぼったくり キャバクラやホスト 酔っぱらいのケンカ
これら全部、お酒が原因… と言うか切っ掛けでしょ
みんなでお酒飲んでわいわいしてたら、確かに楽しいんですよ
だけど自制が利かなくなったりトラブルの大元は酒で、タバコの比じゃないです
私の個人的な意見ですけどね」
「とあるマンガでさ、お酒を飲んだのに酔っぱらわないの 何でだと思う?」
「お酒を飲んだのに酔わない・・・ 何ででしょう?」
「正解は、酔う成分が毒だけど、毒の耐性があるから よね?」
「クラハさん、大正解!」
「毒の耐性がある訳ないでしょうよ!」
「ティセはマンガだって言ってんだろ! このキャンタマン!」
「随分遅かったじゃん」
「キッチンでご飯食べてたの それでね」
「ティセ、スポーツ新聞を買ったって事は、それに何か重要な事があるんだろ?
どんな悪巧みなんだよ? おじさんに教えなさいよ」
「新聞見てみそ 〇付けてるから、すぐ分かるよ」
「どれどれ・・・ ばさっ ばさっ ほう! ばさっ ばさっ あぁ!
ばさっ ばさっ えっ! ばさっ マジで! なるほど 流石ジーニアス!」
「何なのよ?」
「見てみろよ」
「なになに・・・ ばさっ ばさっ おぉ! ばさっ ばさっ あ~!
ばさっ ばさっ はぁ? ばさっ そんな! 流石プロフェッサーね!」
「スポーツ選手や馬に使えたら、凄く幅が広がるんだけどね…
問題はドーピング もしも引っ掛かったら、すんごく申し訳ないじゃん
確証が取れるまではムリ・・・ って最初は考えたんだけど…
スポーツ選手は却下 一切禁止
理由は、主力選手が怪我した時… 代わりに違う人が出てくるでしょ?
活躍の機会を奪っちゃうのは、やっぱ違うでしょ 怪我は自己責任だし
引退したらどうぞ使って下さいよって事で
つー事でセレブ枠は、有名芸能人の一択
新聞の一番最後の人 ロックさんの知り合い?」
「誰ですか?」
「
「会食は1回しましたけど挨拶だけで、会話はしてないです…
彼がどうかしましたか?」
「見てみろよ…」
「・・・・・・えっ! そんな!?」
「意識があるって事は、ポーションは何とか飲ませる事ができるんじゃない?
ICUから一般病棟へって書いてる 一般病棟って事は、多分個室だよ
病院の前はファンで溢れてるし、病室に入るのは激ムズだよ
そんな中出向いて治して、お金をもぎ取って来れる?」
「ティセ様は世代じゃないから… 私たちの… カリスマなんです…
即金とはいきませんけど… 何とかします」
「じゃあこれ エニィポーションね 上手く飲ませてよ」
「ありがとうございます! 行ってきます」
ロックは飛んで行った
「金は取れねぇだろ?」
「取らなくても良いじゃん」
「ティセは… 最高だよ♡」
「知ってるよ! ナイショだぞ! ゲラゲラ!
取っ掛かりとしては、最上級の人だよ ここから広がるからクックック!」
「ハーランドが言ってた、"禍々しいオーラ"ってこの事か マジでヤベェ~」
「じゃあ何で、"お金をもぎ取って"なんて言ったのよ?
"お金は要らない"って言えばよかったんじゃない?」
「クラハ氏、まだまだ甘いねぇ~」
「なんなのよ、ムキー!」
「お金を取らなくても良いって思ったのは本心
助けられるんだから、そんな事はどうでもいいの
一度でもロックさんに甘い事言っちゃうとさ・・・」
「今後、金持ちからも取れなくなるって事だろ?」
「そう ロックさんって、そんな性格だと思うの
ただ今回は、"
お金は問題じゃなくて この人が釣れるのが、最大のメリットなの」
「私は全然分かんない?」
「俺なら分かるぜ 先ずはロック界のカリスマだ 業界に大きな影響力がある
アメリカで "キンリンファンク"とコラボしたMVは3億再生突破
ハリウッドで役者デビューもした しかもSF界の重鎮スッテンハンバーグ監督
2作目はホラー界の巨匠、ステーパン・クィーン監督作品だ
慈善事業にも積極的に取り組み 30以上の子ども食堂をオープンさせた
海外には合計10の学校を建設 趣味は釣り 特にカワハギが好きなんだぜ」
「そんな情報、どこから仕入れるのよ・・・」
「ティセは知ってたのか?」
「知ってるよ パパが好きだから」
「俺らより、上の世代だもんな」
「フォーク時代なら、"パチ恋"よね
すぅきぃ~だから~♪ きみにも~♪ つ~げ~たいよ~♪
プ~ロ~トコルの~こども~♪」
「シティポップ時代の"敵"もいいね
みたことがあぁ~る~♪ ヘ~ッドショ~ットォ~♪
まちこがれた~て~きでぇ~♪ ゆびがふるえたぁ~♪」
「すげぇな!? パパはセンス良すぎだろ! ぎゃははは!」
「ティセって歌が上手いのね 羨ましいわ…」
数日後・・・・・・ マンション
「ティセ様~ ティセ様~」
「寝てるのにうるさいわね~ もう!」
「ティセ様はどこにいる?」
「テメェ~みたいに、ティセはヒマじゃねぇんだよ!
義務教育に行ってんだよ! ガルル! ZZZ…」
「大変なんだ! 寝てる場合じゃない コラッ起きろ! ガッデム!」
「さっき寝たのに何なのよ! 全く! 何よ!」
「
「"助けてくれてありがとう" だろ! ZZZ…」
「違う! 違うんだ!」
「さっさと言えよ コノヤロー ZZZ…」
「黒幕の正体を… 知ってるって…」
「・・・・・・!?」
次回 第16話『青春時代のカリスマ』
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