第14話 1枚のDVD/サミット

「それはね、ダンとフランクだよ」


「はぁ~ ピザ屋であんなに儲けてんのに、勿体ないだろ…

 あぁ… 違う奴を、あの店舗に送るのか!」


「ちゃうちゃう、あの店潰そうと思って」


「それこそ勿体ねぇじゃん…」


「だから条件付きなんだってば」


「どーゆー事?」


「あの元宿屋は、その周辺では特に大きい物件なの

 その隣がもしも買えたなら、両方を潰して更に巨大な建物を建てるって寸法

 だから条件付きってワケ 隣が買えればね」


「なーるー・・・」


「でもさぁ、ティセの思惑通りにならなかったらどうするのよ?」


「絶対に買えるから 大丈夫」


「何でそう言い切れるのよ?」


「買主がハーランドだから」


「全然分からない・・・」


「まぁまぁ… 近い内に分かるからさ 決まったら教えるよ 次の病院はいつ?」


「2週間後だから… いつだ? 確か土曜日だったよ…」


「えーと… (カード型カレンダーをチェック中)

 2月の1日だね また前日で良いの?」


「うん、そうね」


「悪いんだけどさぁ、2~3日前にしてくれない?」


「俺は別に構わねぇ~けど なぁ嫁ちゃん?」


「私もそれで良いよ」


「おっけー! ところで、お金持ってる?」


「たんまりあるぜ」


「20万ちょーだい」


「ほらよ100万」


「ありがとさん お会計よろしく~ じゃあ行こうか」


「お会計・・・」


「失礼しますね」


「はい・・・」


 ティセとおばあさんは、酒場を出た


「足と腰はどう? 痛くない?」


「全然 痛くな~い!」


「良かったね 今日は帰ろうか」


 おばあちゃんの家


「母さん! 歩き回って大丈夫なのか?」


「ぜーんぜん 痛くな~い! これも、ティセ様のお陰だよ」


「と、言うワケで、おばあちゃんは私の部下になりました

 条件面も合意に至りましたので、御報告させて頂きます

 お給金は月20万固定 昇給アリ お食事つき(拘束時) 宿も一応あり

 そんなんなりましたけど」


「え~!? そんなに貰って良いのですか?」


「はい、良いのですよ 何なら、お子さんも部下にしましょうか?」


「えーー!? それって、可能なのですかね・・・」


「ちなみにその子は、深淵には潜れますの?」


「はい、潜れますよ」


「最高到達地点は?」


「確か… 第19階層だったかな…?」


「違いますよ 第20階層だって」


「そうなの? 第20階層だそうです」


「そんなに下に行ってるなら、相当稼ぐんじゃないの?」


「いやいや… お母さんの付き添いで行っただけですから」


「なんだ… ソロだったら?」


「第8階層だったかな?」


「最低でも第10階層には行ってくれないとな… ふ~ん… 武器は?」


「双剣です」


「双剣⤴ カッコイイ!」


「何歳?」


「17歳です」


「今はお家にいるの?」


「深淵に遊びに行ってますよ」


「ダンジョン(深淵)って、遊びに行く所なんだ・・・」


「母さんに連れられて、小さい頃から行ってますからね」


「へぇ~ マスターの奥さんも深淵に潜るんだ 凄いね!」


「??? 家内じゃないですよ… そこにいる、私の母ですよ」


「えーーーー! おばあちゃんが潜るの!? 嘘でしょ?」


「私が潜ってたんですよ かなりブランクがありますけどね」


「はぁ… 武器は?」


「何でも使えますけどね 今、持って来ますね」


 おばあちゃんは、店舗の奥に入って行った


「お待たせしました 私の得物 【死人の大鎌】です」


「ぎゃーーー! カッコイイ~!! 採用! あっ!もうしてたか…」


「母さん… 大丈夫なのかよ…」


「し~んぱ~いないさ~! ほら、見ておきなさい

 フォンフォンフォンフォンフォンフォン…」


「ただいま~」


「おっ、帰ってきました お帰り」


「あれ… おばあちゃん… ???」


「おかえり 深淵はどうだった?」


「いや… それどころじゃないでしょ!」


「ばあさまは、ティセ様の部下になったのよ」


 おばあさんは孫に、経緯を話した


「それで大鎌を振ってたのか…」


「ティセ様がね、お前もどうかって言ってくれたから…

 どうだい… 部下にしてもらうかい?」


「おばあちゃんを元気にしてくれたんだから、

 御恩はお返したいと思う… お願いします!」


「採用!」


「本当に良いのですか?」


「イケメンは全員採用してるの」


「いけめん?」


「お給金は、一応試用期間と云う事で、月額10万

 働きを見た上で、翌月は15万 食事付き(拘束時) 一応宿アリ

 それでどう?」


「もちろんです それでお願いします」


「あの~ 本当にお給金は・・・」


「かぁー! これだから商人は… 私も商人だった…

 来月末に出す予定のお給金を、先払いしておくから それで良い?」


「それなら安心です…」


「ちょいと待ってね… はい、2人分で30万ね

 その代わり、来月末のお給金は出ないよ 分かるよね?」


「それくらい分かりますよ~ 丸丸2か月出ないんですよね」


「そう、次のお給金は再来月の月末 忘れないでよ」


「ありがとうございました~♪」


 その後… 少々会話を交わし・・・


「・・・その段取りでね ここに連れて来るから じゃあね~」


 

 その日の夜・・・ ハルヨシ村 兵舎


「ノア様、フェデラル不動産から問い合わせが届いております」


「問い合わせ? どんな内容だ?」


「バザール内のA列8の物件ですが、購入希望者が来店したようです」


「購入希望者… 販売したらよかろう」


「そちらの物件は賃貸でして…」


「賃料は幾らだ?」


「月額17万です」


「ふむぅ… 17万か…」


「同じような大きさの物件だと、どのくらいで取り引きされてるのだ?」


「バザール内の同程度の大きさでしたら… 相場は500万ほどです」


「そうか500万… 買主は名が知れた者なのか?」


「えー… 今、確認します あー… あっ!」


「どうした?」


「購入希望者は、ハーランドのようです…」


「ハーランド!? 一体どれほど儲けているのだ… どんどん大きくなるな

 よし… 500万で返答しろ それでも買うと言ったら、売って良い

 もしも買わないと言ったら、450万まで下げて良い それでやってくれ」


「承知致しました そのように返答致します」


 

 時は少し経過し・・・

 現実世界 2月1日(土)午前8時半 江東区 マンション


「私はきんを捌いてきますね」


「俺らは病院に行って来るぜ」


「いってらっしゃい・・・」


 現実世界 午後15時過ぎ 江東区 マンション


「ガチャガチャ ドンドン! バン! ティセ!ティセ! いねぇぞ…」


「ティセ! どこ~? ティセ! あっ!・・・ ドアにメモが…」


「テーブルにDVDが置いてあるぞ!」


「あなた… ドアにメモが… これ」


「"テーブルに置いてあるDVDを見るべし 長いけどね

 観終わったら連絡して ちせ"」


「まぁ… 観てみるか…」


「そうね…」


 ジークとクラハは、ティセが残したDVDを再生した・・・


「〇月〇日 午前7時過ぎ 家の裏の〇〇さんのお宅にお邪魔します」


「すげぇな… フルテロップで色付き 無言部分はカットしてんぞ…

 こんな技術持ってんのかよ…」


「シーッ!」


「おじいちゃんの具合はどうなの?」


「もうボケちゃってね… 夜中に出歩いたりして大変なの…

 ご飯は食べてないって怒ったり… もう嫌になっちゃう…

 言っちゃ悪いけど… 早く〇んでくれって… 考えちゃうの…」


「おじいちゃん ちせが遊びに来たよ」


「はぁ~? 兵隊さんですか? 敬礼!」


「違うよ 裏のちせだよ!」


「そうですか・・・ では、そのようにお金を払って・・・ なんで?」


「完全にボケてます・・・ 家族の方にナイショでこれを飲ませます

 はいおじいちゃん、ニャン玉スープですよ~」


「これはありがたい… グビグビグビ! ひゃーっこいねぇ!」


「クックック… 明日が楽しみです…」


 翌日・・・


「翌日になりました… またまた裏の〇〇さんのお宅にまたお邪魔しま~す

 こんちは~ おじいちゃんに会いに来ました」


「ちせちゃん! じいさんが!じいさんが!」


「突撃してみましょう・・・ おじいちゃん! おげんこ?」


「おぅ~ ちせちゃん よう来たね さぁこっちに座りなさい」


「何じゃコレ!」


「嘘でしょ・・・!?」


「最近はどうなんだ 学校は楽しいかい?」


「そうね、趣味を見つけてね そっちが楽しいね」


「そうか、良かったな 趣味ってのは・・・」


「信じられねぇ…」


「・・・・・・」


「じいさんは今度、ジムでも行こうと思ってな

 スポーツウェアーてのを買おうと思ってるんだ」


「(10分ほど喋って)そうなんだ 元気だね じゃあ帰るね」


「え~ もう帰るのかい… また来てね~」


「うん、じゃーねー・・・ クックックック!」


「やらせだろ… どうせ…」


「・・・・・・」


「〇月〇日 午後16時過ぎ 〇〇さんのお宅にお邪魔します」


「こんにちは~ 〇〇ちゃんいますか~」


「あら、ちせちゃん いるわよ 上がって」


「こんにちは 〇〇ちゃん 元気?」


「げへんきだよ… ちへちゃんは… げへんきーなはのー?」

 (げんきだよ ちせちゃんは げんきなの?)


「ちせは元気だよ!・・・ お母さんにインタビューします」


「〇〇ちゃんママ 脳性麻痺って、どんな症状ですか?」


「受精から生後4週までの間に、何かの原因で生じた脳の損傷みたいなの

 〇〇ちゃんの場合、四肢麻痺と言って凄く重い方なのね

 合併症を引き起こす事もありえるから、少しも油断できないの・・・」


「〇〇ちゃんが元気だったら、一緒に何をしてみたいですか?」


「〇〇ちゃんがしたい事なら、何でも叶えてあげたいな・・・」


「すみません… お水をもらって良いですか?」


「ちょっと待っててね グスン・・・」


「(小声で)その隙に飲ませます はい、あーんして」


「ごくごくごく・・・」


「(小声で)全部飲んでくれました…」


「はい、お水ね」


「すみません、頂きます ゴクゴクゴク!」


 その後・・・ 少々会話して


「〇〇ちゃん また来るね」


「べへいばはいまふぁふぃてね(バイバイまたきてね)」


 ティセは家の外に出て・・・ 


「〇〇ちゃんママの願いは、いつかきっと叶うでしょう…

 クックックック!」


「〇月〇日 午前15時過ぎ 〇〇ちゃんママから、鬼電が掛かってます」


「(小声で)これからお邪魔します


「ピンポ~ン こんにちは~ ちせで~す」


「ガンガンガン! ドン!バン! ちせちゃん… 上がって!」


「おじゃましまーす 〇〇ちゃ~ん」


「ちせちゃん こんにちは!」


「〇〇ちゃん 本当の元気になったね!」


「私は、ちせちゃんのお陰だと思ってるよ ありがとうね」


「なんなんだよ・・・ この感動巨編は・・・」


「そんな事って・・・ 歩いてる!」


「ちせちゃんのお陰 私もそう思ってる いつもありがとうね…(号泣)」


「〇〇ちゃんママは、〇〇ちゃんのお願いを叶えてあげてね

 昨日、約束したんだから」


「そうね… なんだって叶えてあげる」


「〇〇ちゃん、今度ゆっくり遊ぼうね」


「ちせちゃん、約束だよ」


「うん、またね~」


「バイバ~イ」


 〇〇ちゃんの家を出たティセ


「クックックック!」


 それ以降3名 トータルで5名のケースを見た2人

 

「それでは私に連絡を入れて、そこで待っていたまえ ニヤリ」


 プツン


「涙で前が見えねぇ・・・ グスッ」


「ホントよね・・・」


「最高な大将に出会えた…」


「あなた… 早くティセを呼ぼうよ!」


「泣き顔見られるじゃねぇか…」


「さぁ、連絡して!」


 ジーク夫妻は、ティセを待っていた・・・


「ちょっと~・・・ 遅いんじゃない!」


「ティセ~ ぎゅ~ってして!」


「はいはい! ぎゅ~っと!」


「ジーク氏、何で後ろ向いてんのよ?」


「何でって・・・ 感動してんだよ!」


「さっきね、"最高な大将に出会えた"って言ってたよ」


「最高な大将か~ 馬車馬のように働いてよね!」


「当り前だってーの!」


「お腹すいたから、ご飯食べにいこーよ!」


「おぅ… 高級な焼肉でも食いに行くか!」


 

 都内 焼き肉屋 店内


「それじゃ、このポーションのお陰って訳か…」


「そう、あの時のおばあちゃんを覚えてるでしょ?」


「そりゃあ、インパクト大だからな…

 何がどうすりゃ、ばあ様を仲間にすんのかって… 意味が分からねぇし」


「おばあちゃんに試したらピンピンになったから、ヤバしと思ったの

 その後でライラックの酒場で会ったでしょ

 タイミング良くあそこで2人に会ったから、クラハさんに飲ませたってワケ」


「しかしまぁ、他所ん家のばあ様でよく試せたな… その度胸がスゲェよ」


「これが【エニィポーション】だよ

 簡単に説明するけどanyって単語は、肯定文と否定文で真逆になるみたいなの

 ネットで調べたの 肯定文だとしたら"何でも"とか"どれでも"ってなるみたい

 否定文だと"何も~ない" なんだってさ… 私の頭じゃよく分かんない…

 でも、だとしたら… "何も~ない"ポーションってよく分からないでしょ?

 だから鑑定してみたの そしたらさ、"症状なら回復する"んだって

 "症状なら回復する"って説明も、中途半端なのよ…

 それで、色んな症状の人に試してみたの 効果は抜群だったってワケ

 これより高い薬って、他にもたくさんあるんだもん 意味不明でしょ?」

 

「HP全回復とか、完全回復薬じゃないのかな?」


「体力(HP)の回復じゃないし、体の不具合が回復だけど "完全回復"でもないの

 目や歯でも悪ければ治るし、先天的も後天的も関係ないみたい

 正し、無い部分は治せないみたい 歯が抜けたとか指や腕や足を切断したとかね

 そんな状態は治せないんだから、【完全回復薬】って事でもないの…

 これを作った人は、効果の設定と名前を間違えてるのかも知れないよ

 本当のところは、分からないけどね」


「あそこまでの症状が改善するんだぜ

 これってば相当な物でしょ どんだけ銭積めば買えんのよ」

 

「1本の値段 当ててみなよ」


「私はねぇ… これまでのティセの稼ぎを計算して・・・

 全部で3億かな? だから、1本約4200万ちょい」

 

「トータル3億?それはねぇな DVDで5本 ばあ様と嫁ちゃんで2本

 計7本トータルで7000万だとして、1本が1000万じゃねぇーかな?」


「ブブー 2人共不正解 正解は、1本700でした」


「700? そんなワケあるか! マジで?」


「ティセ、買い占めようよ これはホントにヤバいよ!

 金や銀より儲かるって」


「ダメダメ!」


「えー!? なんで~?」


「目立つからだろ?」


「それもあるよ」


「他に何があるのよ?」


「今はどの店でも底値なの 店売りが700 買取りが300

 安定しているこの値段を、このままキープしなきゃいけないの

 だから、ちょくちょく買ってるの 値を崩さないようにね

 今のところ7本使って、ストックは128本あるよ」


「さすがだな 冷静にやってんだな…」


「もっと大々的にやりたいのが本音よね・・・」


「異世界ってだけでシャレになんねぇのによ・・・

 この薬は… バレたら大騒動だろ 神をも超えてんじゃね?」


「私はサンプルが5人じゃ少ないと思ってたんだけどね…

 バレたら騒ぎになるのは想像つくけど、困ってる人を助けてあげたいじゃん」


「ぎゃははは!」


「何よ急に 怖いじゃない…」


「いや… ロックをコキ使う良い方法を思いついてよ… ぎゃははは!」


「やばっ! ロックさん忘れてた!」


「ぎゃははは! 忘れられた男」


「夜って言ってたんだ…」


「ここに呼んでやるよ 今電話する」


 時は遡り・・・

 8月1日(異) 午前9時半過ぎ タカミ村:長老の家


「・・・そんなワケで、何回も指示変えちゃってごめんね」


「ええんじゃ しかし大変じゃったな 知らんけど」


「まぁね 長老さんたちで最後でしょ?」


「そうじゃな… 名残惜しいが、これも時の流れじゃろ」


「あいつら(エドワードたち)は?」


「家で待機しとるぞ

 今回回収した魔石じゃが、タロー(エドワード)の家に置いてあるぞ」


「分かった あいつら連れて私たちが先に出るからね

 その後で出てよね よろしく」


「おぉ、気を付けてな」


 ティセはエドワードたちと魔石を回収し、長老より先に出発した


 

 8月1日(異) 午前10時 泡沫国ジュリア:王宮 サミット当日

 開催当日までの2日間は、希望する国家の首脳と個別会談が可能 

 サミットには随伴者が1名認められている・・・


 国家         出席者

 魔導王国ドルー  主:魔女王      :ヴァティス魔女王

 ドゥーラン王国  主:ドワーフ     :ワイゼン王

 連合国家ガイエン 主:獣王       :ガルフ王

 ファフ王国    主:エルフ   :サリト王

 妖精の里ルルン  主:ピクシークイーン :エヴァンス女王

 泡沫国      主:人間        :ザースマ卿(準男爵)

 ワンダ村     主:小人族       :ポタリス族長

 

「それでは時間ざます サミットを始めるざますね」

 開催を提案した私から言わせてもらうざます

 ダスティに殺されかかったざますから 文句も言わないと気が済まないざます

 奴隷で儲けようと言ったのはガルフ… 貴様ざます

 お飾りの王様は、謝り方も知らないんざますか?(ザ)」


「なんだとコノヤロー! 平民如きがガイエンとやるって言うのか おら!

 ダスティみたいな小者の手綱も握れねぇようなら、王の代理なんか辞めちまえ…

 お飾りの王様ってのは、自分の事を言ってんだろうが!

 貴様には人望がねぇ~んだよ だから狙われたんだろ アホか…(ガ)」


「ダスティは我が配下ざますが其の実、かなり前から我が国家を捨てているざます

 ここにいる皆が知っているざますよね? 

 エヴァンスとサリト以外、ダスティと通じている事は裏が取れているざます

 三文芝居はいい加減にしてほしいざますね…(ザ)」


「そんな事はないわよ~ 言い掛かりはよしてくれない(ヴ)」


「棒読みの言い訳はよせよ…

 お前らがノアの深淵を欲しがってんのは、お見通しなんだよな~

 エドワードとエドワルドも消えたようだし…

 奴隷だなんだと回りくどい事やってる暇があるなら、

 "ハルヨシ村が欲しいです"って素直に言って、盗りに行けば良いだろ

 私は泡沫国と言うよりノアと構えるつもりは毛頭無い 

 ヤツにヘソを曲げられたら、お先真っ暗だ(サ)」

 

「そもそも、貴様(ザースマ)が設定した穀物の価格がおかしいのだ…

 "買えなければ飢えて〇ね"と、言ってるのと同じではないか…

 その高い買い物代を捻出する為に、奴隷なんぞアコギな商売を始めたのだぞ

 せめて半値に下げろ さもなければ… 争いは避けられないかも知れんぞ

 こちらが手を組んだら、貴様の国は滅ぶ… それでも良いのか?(ワ)」

 ラスト(泡沫国国王)は、この事(穀物の価格操作)を知らないんだろう?

 知る訳が無いか… 知っていれば、そんな事許すはずがない…

 時の英雄も、こんな小物に操られたんじゃ一巻の終わりだ(ワ)」


「ラストも馬鹿よね… こんな業突くに良いようにされてさ…

 貴方は王の器じゃないのよ 強欲も大概にしないと、痛い目をみるわよ(ヴ)」


「おい、ザースマ ノアは(穀物の)ぼったくり価格の事を知ってんのかよ!(ポ)」


「知ったからと言ってどうなるざます? どうにもならないざます

 一家臣が、政を知る訳が無いざます 教えるつもりもないざます(ザ)」


「やっぱりノアは知らねぇのか… (ポ)」


「ははぁ~ん なるほどな… 貴様(泡沫国)もノアから深淵を掠めようと…

 嫌がるノアの領内に奴隷商を無理やり捩じ込んだのもその為か…(ワ)」


「バカも休み休み言うざます この現状で、掠め取る必要性がどこにあるざますか?

 彼の地は(ハルヨシ村の深淵)、我が国に莫大な恩恵をもたらしているざます

 手に入れたところで、余計な手間が掛かるだけざます

 面倒な管理は、ノア卿にお任せするのが適任ざますよ あっはっはっは!(ザ)」


「話にならないわね…(ヴ)」


「同盟から抜けたければ抜ければ良いだけの事ざます

 こちらからお願いしている訳ではないざます

 正し、抜けた国家は敵とみなすざます よ~く覚えておくざますよ(ザ)」


「ノアも実際は、こんなのに仕えているなんて夢にも思ってないだろうな…

 なぁ~ みんな… ノアを独立させて、泡沫国を潰そうじゃないか!

 偉そうに講釈たれるなよ 強欲の塊のクセに… (サ)」


「それは"宣戦布告"ざますか? それとも"忠告"ざますか?(ザ)」


「さあな、テメェで考えろ!(ポ)」


「ぶっちゃけると、深淵が欲しいのは確かに事実よ…

 そう考えさせたのは貴方のせいなのよ… ザースマ…

 以前の価格に戻してくれたらそれで良いの 考え直しなさいな

 ノアにまでソッポ向かれたら… 貴方本当に終わるわよ(ヴ)」


「内政不干渉の原則を知らないざますか? 余計なお世話ざますね 

 とっとと国に帰り、戦争の準備でもするざますね あっはっはっ!(ザ)」  


 こうして、サミットは閉幕した・・・


 王都:ジュリア ノア軍 秘密の詰所


「これは大変な事になってしまった…」


「宰相閣下… どうかなされましたか?」


「儂はここ最近、サミットに出席できなくなったんでな…

 今回は何とか隠れて聞いてたんじゃが…

 サミットでな… あーでこーで・・・・・・」


「ええっ!? それは本当でございますか!」


「儂も一足先に泥船から逃げたいんじゃが… こちらの動向も気になる…

 今日中に手紙をしたためるから、後で送ってくれんか?」


「承知致しました…」


「何かあれば逐一報告するんでな… 万が一に備え… 

 "態勢だけは整えておけ"と、それだけは先に伝えるのじゃ」


「畏まりました… すぐにお伝え致します…」


 

 8月1日(異) 午後12時50 ハルヨシ村:兵舎近隣

 ハルヨシ村に到着したティセは、太陽園を訪れた


「ピーコーちゃん ピコピコちゃん!」


「ティセーーーーー!」


「どん! へぶー ぐーーーーくぅっ・・・ タックルすんなー ガルル!」


「ティセ~ 持って来た~?」


「乱暴者にはあげません!」


「ヤダヤダヤダ! うわぁ~んわんわん… 」


「ピコが悪いんじゃない… なんでお腹をどんってやるのよ めっ!」


「うわぁ~んわんわん… チラッ… うわぁあああああ チラッ…」


「あっ!園長先生 ピコは嘘泣きしてま~す」


「なんでバラすのよ!」


「あぁ~あ… もうシロップは終わりだね… 残念だよ」


「嘘なの… ごめんね…」


「園長先生聞きました? 嘘だって…」


「ピコは悪くなっちゃったのね… バイバイするの?」


「うううぅ~わーーーん(泣)」


「(小声で)ティセさんに構ってもらいたくて、やってるの…」


「もう悪いことしない?」


「しない・・・チーン ずるずる うぅぅぅ」


「ほらシロップ」


「あああありっがががと てぃてぃせ~… グスグス…」


「みんなで仲良く分けるんでしょ?」


「はいぃぃぃぃ・・・・」


「飲んできな」


 ぴゅ~


「園長先生、最近忙しくてあまり来られないかも知れないから、

 今回は沢山作って来たの ごそごそ」


「えーー! こんなに?」


「こっちは新作のオランジシロップなの

 これは、バナ~ネチップス バナ~ネを乾燥させたお菓子ね」


「あまりにも多いから、作るの大変だったでしょ… ありがとうね!」


「良いの良いの! バナ~ネチップスは、多分探して食べると思うから

 見つからない所に隠してね」


「そうね… 隠しておきましょう…」


「それじゃあ、また来ますね」


「はーい! また来てね~」


 ティセは太陽園を出た


「さぁ次だな…」


 エドワードたちを連れティセが向かったのは、おばあさんの家


「おばあちゃん 遊びましょ」


「は~あ~い!」


 おばあちゃんは、孫と一緒に出てきた


「おばあちゃんには、本当は別の仕事をしてもらおうと思ってたの

 でもね、あの大鎌をカッコ良く振り回す姿を見たら、

 こっちの方も良いと思ったの」


「なんですかね?」


「こいつらを鍛えて欲しいの タロー・ジロー・ヨシオ

 期限は一応1か月 月末に最初のチェックをしますよ」


「この方たちを鍛えるの? 私が? あらら それは大変ねぇ」


「おばあちゃんや孫ほど強くしてとは言わないよ

 いっぱしの冒険者くらいにはして欲しいの どうかな?」


「は~い ばあ様にできる事なら、お手伝いしますよ」


「ありがとうね おばあちゃん!孫はどう?」


「自分にできる事を、精一杯頑張ります!」


「修行するならどんな感じになる?」


「そうですね 深淵にでも入りましょうか?」


「えー!? それって大丈夫?」


「おばあちゃんなら大丈夫ですよ すぐに勘を取り戻しますから」


「ほんまですか?」


「ティセ様は心配性ですねぇ おほほほ」


「孫! ちょいと」


「はい」


「深淵で見つけた物は、一度全部持ち帰ってね

 こっちで必要な物を選別して、不要な物は全てあげるから

 換金しても良いしお店に並べて売っても良いからさぁ

 魔石は最初から全部あげるから、入場料や食費・必要経費はそれで賄ってよ

 エニイポーションだけは手に入れたら全部頂戴 それで良い?」


「そんな好条件で良いのでしょうか… 感謝致します!」


「頑張れば頑張るほど稼げるぞ 期待している!」


「なんと優しい… 女神さまのようだ…  頑張らねば!」


「これがギルドの登録料 こいつらに適正があるとは思えないけど…

 良さげな職につかせてやってよ 多めに5万ね 残りはあげる」


「なんて幸せ者なんだ… 気を引き締めねば… 頂戴致します!」


「ちょくちょくお店には顔を出すから じゃあ頼むね」

 

 ティセはハーランドの店に向かった


「ティセ、あいつらの引っ越しは終わったんか?」


「魔石以外殆どないもん 終わったよ」


「そうか 不動産屋とノア様から連絡が届いたで」


「何だって?」


「先に不動産屋からな 衣服店が180万 書店が300万 玩具店が150万

 トータルで630万や OKしたで

 ノア様の方が500万や こっちもOKや

 合計1130万 安う収まったなぁ」


「そうだねぇ 上々の結果だよ」


「4つの店舗が手に入って、それはどうなるんや?」


「ハーランドの事だから騒ぐと思うけど、冷静に聞きなさいよ」


「何やの?」


「ダンの店潰して・・・」


「何でや!」


「ほらね・・・」


「・・・」


「私以上にその短気な性格は直しなさいよね!

 話の続きを遮ってまで文句を言うのは違うでしょうよ

 最後まで話を聞いた上で、納得できなければ文句を言えば良いの

 分かった?」


「そうやな… 仕切る上のもんが、こんなんじゃアカンな… ごめんな」


「もう一度言うよ ダンのお店を潰して隣の店舗も潰して、

 新しい大きいお店を建てるの バザールで一番大きいお店が誕生するワケ

 斜め向かいの3店舗も全部潰して、こっちは2番目に大きい店舗になるよ

 どう思った?」


「最高やな! 先走った俺はアホやな… ちゃんと最後まで聞かなアカンわ」


「そうでしょ? ダンのお店も、確かに凄く儲かってる 努力もしたよね

 潰すって事だけだったら、本当にもったいないよ

 でもさ、それ以上の事を私たちはしようとしてるんだよ 楽しみだよね」


「ホンマやな… 今に満足してたらアカンな まだまだ上を目指せるんや」


「そうだよ… ダンとフランクは、ジークさんたちの仕事を引き継いで、

 王都で仕事をしてもらう 店舗ができあがったら、戻って来てもらうの」


「その仕事は、ハルヨシ村でできひんのか?」


「できると言えばできる だけど、ジークさんは冒険者たちに相当顔を売ったの

 冒険者と商人って信用取引だからね

 ジークさんの仲間だと言っても、お客さんにとっては初顔でしょ 信用度は0

 そんな意味で、ジークさんたちはやる事が早いからね」


「そうか… ジークさんが顔を売る前やったら、こっちで仕事ができたんやな」


「そうそう たった3~4日でだよ それだけ早かったの」


「俺も見習わなアカンな そんでティセはこの後はどないする?」


「ダンとフランクにも、今の話をしないとね」


「そうか… 分かった」


「不動産屋さんに、お金は払ったの?」


「まだ払ってへん 今日中に済ますで」


「明日にも大工さんにお願いしたいから 頼むね」


「おぅ、任せとき」


 ティセは、ダンの店に向かった


「ダン、ちょっといい 大事な話があるの」


「どうしたんだい?」


「隣の店舗が買えたのよ」


「隣を買ったの!? 良かったね」


「隣の店舗とここの店舗を壊して、1つの大きい店舗を作ろうと思ってるの」


「ここを壊すのかい!?」


「そう、もったいないけどね

 店舗ができあがったら、バザールで1番のでかいお店だから」


「そうか… そう言う事情なら仕方ないね…」


「ごめんね」


「ティセが謝る事じゃないよ…」


「それでね、店舗が出来上がるまでの間、ダンとフランクは…

 王都で仕事をしてほしいの 良いかな?」


「王都で… どんな仕事なのさ?」


「ジークさん夫婦がやってる仕事なんだけどね、

 フィエスタで、金や銀の宝飾品を買い漁る仕事なの」


「そんな仕事分からないよ・・・」


「大丈夫 向こうでギルドに登録して商人になるの

 商人になったら、勉強がてら宝飾品を買っていけば良いのよ

 スキルで鑑定を覚えたら、もう安心だから」


「本当にできるのかい?」


「不安な気持ちは分かるけど、絶対できるって」


「分かった フランクとやってみるよ」


「おっけー! 頃合いを見計らって、お店は閉めてね

 生まれ変わる前の最後の姿を目に焼き付けて、お礼でもしてあげて

 店舗ができたらダン兄弟に、美味しいピザをじゃんじゃん作って貰うから」


「分かったよ もう少ししたら閉めるから 感謝を込めて労ってあげるよ」


「ジークさんたちが見つかったら、ここに連れて来るからね

 早々に王都に行ってもらうよ お金と必要な商売道具だけ纏めておいてね」


「分かった 私たちは、ここか上にいるよ」


「それじゃまた来るからね」


 店を出たティセは、賃貸中の宿屋に戻った


「あ~ 今日はいたね~ ほら、行くよ」


「あー分かった ぶーっぷっぷっ!」


「"ぶーっぷっぷっ"は、何て言ったのよ…?」


「"行くよ"って聞こえただろ?」


「お下品なのよ… 全く…」


「ママー ごめんちゃい! さぁ行くぞ!」


 ティセたちは、ダン兄弟を迎えに行った


「ダン、フランク 用意はできてる?」


「いつでも行けるよ」


「総額で幾らあった?」


「ごめん… 纏めただけで、数えてはいないんだ…」


「大丈夫 相当あるんでしょ?」


「あるよ」


「生活費・賃料・食費・購入費 沢山掛かるから

 お金は減る一方だけど、そんなの気にしなくて良いからね

 マジックバッグを必ず買ってね お金を・・・」


「ティセ… ダンちゃんは赤ちゃんじゃないんだぞ」


「・・・じゃあ最後 もしも・・・・・・ね、はい」


「ありがとう 頭に入れておくよ」


「ティセ、行って来るぜ」


「お願いね 家賃も忘れずに払ってよ」


「分かってますがな…」


 ジークたちは、レンタル馬車の方向に歩いて行った


 その日の夜 ハルヨシ村 兵舎


「すっかり遅くなってしまったな… 結構獲れたぞ!」

 獲れ過ぎて熱中してしまったよ 何かあったか?」


「ノア様! 大変でございます!!」


「ジュリアのアズディニより、宰相閣下からの手紙が届いておりまして…

 ノア様を方々探したのですが… 見付からずに…」


「それはすまん事をした… 

 今日は普段行かない北西の森に深く入ってしまったのだ…

 それでなんと書いて寄越したのだ?」


「他の者に聞かれてもアレですので、こちらです… お読み下さい… 」


 ノアは宰相テリーからの手紙を読んだ…


「何たる事… これは大問題だぞ!!!  しかし… どうしてこのような…」


「宰相閣下は、御存じではなかったのですか?」


「宰相閣下は長らく、サミットには同席を許されておらんのだ…

 前回までのサミットには、随伴者としてダスティが供をしていた

 いつからか王様も出席しておらんそうだ…

 どうやらザースマとやらに乗っ取られているようだ

 穀物の価格を意図的に吊り上げていた事も、今日知ったとある…」


「左様でございましたか…」


「しかし… 他国からの侵攻なら、王様なら命を懸けて護ってくれるだろうが…

 王様が操られてるとしたら… 味方に攻められる恐れは十分にある…

 味方も諸国も深淵を望むのであれば、我々に打つ手はない

 他国からの援軍も… 位置が悪すぎて期待は薄い…

 他国の王たちや閣下は、私に独立を勧めてるようだが…

 それでは味方の泡沫国が完全に敵国となってしまう… 残念だが進退窮まった…」


「恐れながら申し上げますが… 一触即発の危機ではございますが、

 今の段階では泡沫国が今日明日攻めて来る状況ではございません…

 ノア様が仰る通り、他国からの侵攻なら王都が懸命に防いでくれましょう…

 宰相閣下のお言葉通り、王都からの侵攻には備えておく必要がございます

 万が一の時は、深淵に潜めば時は稼げますし、期を窺う事も容易にできましょう

 何事も死んだら終いです… その時まで、我々をどうか導いて下さいませ…」


「ノートン… お主の言葉で、目が覚めたようだ…

 "最後の最後まで諦めてはならない"…

 先人たちの言葉の意味が、今になって初めて分かった… それが今なのだと…

 明日から有事に備えるとするか… 今はクタクタだ…」


「もう1つお伝えする事がございまして…」


「なんだ? それも大事なのか?」


「いいえ… 大事… なんと言えば良いのか…

 兎に角大変な事がございまして…」


「どうしたのだ…」


「それについて… ウィルから報告がございますので…

 只今呼んでまいります」


 ノートンは部屋を出て、ウィルを連れて来た


「ウィル 何があったのだ?」


「えーーー・・・あのーーー」


「言えない事なのか・・・?」


「いやそのぉ・・・」


「一体何なのだ・・・?」


「おほん… えー 本日、シェリルさんが…」


「亡くなったのか… とうとう…」


「違います… 本日、シェリルさんが深淵に潜りました…」


「・・・・・・はっはっはっはっ! これはやられたな…」


「ノア様… 冗談ではなく、本日深淵に潜られたのです」


「? シェリル婆がここを辞めて、何年経つと思ってるのだ

 しかも店番すらできないと聞いてるぞ それが深淵に潜っただと…

 見間違えたのではないのか?」


「私はお顔を拝見し、直接会話をしております

 名前も覚えていて下さいました… 間違いございません、シェリルさんです

 得物は"死人の大鎌"でございましたので、とても懐かしかったです」


「"死人の大鎌"だったのか!?」


「はい… そうでございます」


 ノアはさらに詳しく、ウィルから話を聞く


「本日の午後2時過ぎに潜られました」


「ソロか?」


「5名のパーティです シェリルさんとお孫さん

 あとの3名は、初見の者でございます

 名前は、たろー、じろー、よしお… です」


「5名のパーティー… はて… 聞いた事の無い名だな

 冒険者か… 冒険者だろうな…?」


「深淵から上がったのは、午後8時頃です…」


「午後8時だと! 6時間も潜っていたのか!?」


「はい、間違いございません

 上がって早々に、"これから、ワイルドボアのステーキを食べに行く"と言って、

 酒場に向かわれました」


「そんなバカな… 肉は喰えない筈だぞ… 何なのだ一体…」


 ありえない報告を受けたノアだった



 次回 第15話『コードネーム:GG』

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