第12話 ロックと言う名の男
「私の従魔 "雪ん子"だよ この子のスキルは"吹雪"(極小)
これでも問題ある?」
「えーっ!?・・・ 問題無い・・・ ですね」
「そうでしょ さぁ… 風用(吹雪)の魔口作ってみそ」
「あのね… 実はね… 元々何々用って本当は無いんだよ…」
「知ってたよ と言うか… そんなんだと思ってた
だってさ、水用と氷用の違いなんて、そもそも無いと思ってたから」
「じゃあなんで…」
「正直に言うかどうかを確かめたかったの ただそれだけ」
「そうなんだ… ごめんね…」
「別に謝らせたいワケじゃないの 本来の目的は別にあるの」
「本来の目的って何だい?」
「私さぁ… 魔口の形状が嫌でさ… ただ長方形の枠があるだけでしょ?
これを、別の物で魔道具にしてもらいたいなって考えてるの」
「別の物… どんな物なの?」
ティセは、絵に書いて使い方を説明した
「うん、出来るよ 加工した【魔石】が取り付けられるなら、形は問わないから」
「やっぱりね… 今度現物を持って来るから、それで作ってよ」
「分かった これからもアイデア欲しいな…」
「良いけど… 今後も"私の要望を聞いて作ってくれるなら"が条件」
「良いよ! それは任せてよ」
「私はティセ よろしくねポックル
そうそう… 吹雪用だと効きすぎると寒くて凍えちゃうから、
出力を変更できるように調節できない?」
「できるよ 3段階? 5段階?」
「最低で5段階で できそう?」
「それは… やってみるよ」
「トミーさんに"吹雪用"って言って回してあげて
使い方も教えて良いからね」
「優先的にこっちね あの形の物を10個は予約しておくから
レン氏、払ってあげて」
「ありがとう… グスン…」
ティセたちは魔道具工房を後にし、護姻環の修理職人の元を訪れた
「こんにちは~ ・・・・・・・・」
そして・・・
「ハルヨシ村に戻るか」
ティセたちは王都を後にし、ハルヨシ村に到着した
道中、馬車で寝てしまったティセは、賃貸の宿屋で寝かされていた
「むくり… 寝ちゃったか… 今何時だ… 23時過ぎ…
腹減った… ご飯食べに行くか… むにゃむにゃ… お金持って…」
ハルヨシ村 ライラックの酒場
「ふぁ~・・・ 1人で~す」
「あいよ… ちょっとまってね…」
店内は超賑わっていた…
「さっきまで満席でね… 今空けたけど、相席で良いよね?」
「良いよ…」
「どうぞ 注文は?」
「兵隊アナグマありますか?」
「あるよ ありなし?」
「なしで…」
「はいよ!」
同じテーブルで食事をしていたスキンヘッドの男が、ティセに話しかけてきた
「お嬢ちゃんは、旅でもしてんのかい?」
「違うよ 王都のギルドに行って、帰って来たの」
「じゃあ職に就いたんだな? 何の職だ?」
「色々と迷ったんだけど商人にしたの」
「商人って事は、スキルの鑑定は持ってんのかい?」
「さっき登録したばかりだよ・・・ まだ何にも覚えてないよ」
「そりゃあそうか!ごめんな それで何の商売を始めるんだ?」
「まだ決めてないよ 選択肢が多くてさぁ 色々やってみたいかな?」
「欲張りなお嬢ちゃんだな… 俺らが食えなくなっら雇ってくれよな」
ホール係のエルフが、食事を運んできた
ティセは食事を摂りながら、男の話を聞く
「俺たちはここにいる10人でパーティーを組んでいる冒険者だ
自己紹介が遅れたな 俺は"勇戦団"リーダーのフォルだ!
職は戦士をやっている
戦士でも"タンク"って言ってな、敵の攻撃を引き受ける"壁"の役割だ!
他には・・・」
フォルは勇戦団のメンバーの紹介をしてくれた
勇戦団メンバー
フォル 戦士LV22 (タンク)※リーダー 大盾・大剣
ローズ 戦士LV22 (アタッカー)剣
ミラー 狩人LV23(アタッカー)斧
ベイカー 狩人LV21(アタッカー)槍・弓
ゲイル 商人LV24(近接) フレイル
カレン 魔法使いLV15(後衛 攻撃)杖
テス シスターLV17(後衛 回復)杖
ルダ ネクロマンサーLV16(アンデッドを使役し、戦闘に参加させる職)
ダンカン シーフLV18(斥候 基本戦闘には参加しない)
デニス リフターLV27(攻撃不参加)
※リフターとは"荷物持ち"の呼び名
※行き帰りの食料や各種アイテムの携行 ドロップ品や戦利品等の運搬等
リフターの能力がパーティーの収入を左右する、とても重要な職業
「以上が勇戦団のメンバーだ!
ここ数年は、この村(ハルヨシ村)を拠点にしてるんだ」
「勇戦団・・・ なんか聞いた事あるような・・・ ああっ、思い出した!
ちょっと前の話しだけど… 奴隷商の仲間みたいなのが、
しつこくみんなに聞いて回ってて、あの時フォルさんキレてたでしょ?
その時私もここで食事してたの それをここで見てたんだから
"俺ら10人とやるってか~"って… 暴れだす寸前だったよね?」
「おいおい… そんなところ見られてたのか…
あの野郎、奴隷商を探してるんだっつってしつこくてな…
毎日聞きに来やがるからよ~ ぶっ飛ばす寸前だったんだよ」
「マスターも同じ事言ってたよ」
「そうだったのかい… 今となっちゃあ、恥ずかしい話だな…」
「なんで王都じゃなくてハルヨシ村で仕事してんの?
ジュリアの方が、色々とあって便利だと思うんだけど?」
「そりゃあ簡単な話だ ゲイル、説明してやってくれ」
「よし、俺が教えてやろう 確かに便利は便利なんだが、全部が高いんだ
食料、宿、諸々全てだ この村の3割から4割程高いな」
「へぇ~ 王都ってそんなに高いんだ…
みんなはどんな事やってお金を稼いでるの?」
「主に魔物討伐の依頼と深淵だな
討伐達成の報奨金とドロップ品や戦利品の売却だ 肉や素材も売れるぞ」
「ドロップ品や戦利品って、どんな物があるの? もぐもぐ…」
「魔物ってな、自然界に元からいる動物と魔王が創り出した魔物
大まかに分類したら2種類いるんだ
魔王が作り出した魔物を倒した時に、稀にアイテムを落とすんだが、
それが【通常ドロップ品】と【レアドロップ品】を落とす事があるんだ
それが【レアドロップ品】だと、高値で売れる
スキル書や魔道具だと激アツだ 物にもよるが数十万の儲けになる
まぁ当然だが、毎回レアアイテムをドロップする訳じゃないからな
武器や防具、装飾品を身に着けた、人型の魔物もいる
そいつらを倒して、身ぐるみ剥がして売っぱらうんだよ それが戦利品だ」
「今日は何か、良い物が取れたみたい みんな楽しそうだから もぐもぐ…」
フォルはニヤニヤしながら、ティセに小声で話す
「今日は"ゴールドナイフ"を手に入れてな、武器としては大した物ではないんだ
ただ、(純)金で作られてるのが特徴でよ 貴族や金持ちが観賞用で高値で買うんだ
今回はそれだけじゃねぇんだな
魔道具の"マジックバッグ"をゲットしたんだ」
「"マジックバッグ"って、ホントにあるんだ!?
アイテムがたくさん入れられるバッグでしょ?」
「なんだお嬢ちゃん、良く知ってるな!
これがあると、リフターの負担が軽くなるんだ なっ!デニス」
「そうだな… リフターは食料やら戦利品を工夫して多く運ばなければならない
持てる数が多ければ、それだけ戦利品を多く持って帰れるからな
パーティー全体の収入に関わってくるんだよ
"マジックバッグ"だけでも何十種類とあってな
今回手に入れたのは"ポーチ"と呼ばれるタイプのバッグだ
どれだけ大きい物が入るかは分からんが、12個のアイテムが収納できる
バッグとしてのランクは小さい物だし、収納数も少ない方だがな…
商人をやるなら、"マジックバッグ" は必須だぞ!」
「ポーチ… それ幾らくらいの価値なの?」
「7~8万くらいだな」
「それさぁ、譲ってくれない?」
「譲れって、なんぼで?」
「10万で」
「お嬢ちゃん… 金持ってんのか?」
「あるよ ゴソゴソ… はい10万」
勇戦団全員の視線が、ティセに向けられた
「あぁ… そうだね… 確かに10万… 本当に良いのか?
あとで返せって言われても… 無理だぜ?」
「言わないよ」
「そうか… 俺たち引いちゃったけど、感謝するぜ」
「ありがとう! じゃあまたね! お会計は任せた」
「おぉ、やり口が上手いな・・・ 気を付けて帰んなよ
俺たち勇戦団は、この村で稼いでるからな
宿も飯もここにいるし、またこの村に来た時には訪ねてこいよ」
「それじゃあまたね!」
食事を終え宿屋に戻ったティセは、すぐに寝てしまった…
翌朝・・・ 宿屋
「ティセ様… ティセ様… 起きて下さい!」
「むにゃむにゃ… 寝てますけど何…? レンちゃま…」
「ちゃま…? ティセ様がずーっと寝てるので、心配になっちゃって…」
「大丈夫だよ…」
「なら良いのですが… ティセ様から預かってたお金が足りなくて…
もしかしたらドロボーが入ったんじゃないかって・・・」
「ガバッ!… 幾ら足りない?」
「10万くらいです…」
「あぁ… 夢じゃなかったようね… ドロボーは私だわ…」
「ティセ様がドロボー???」
「夜中に目が覚めてね お腹すいたからライラックの酒場にご飯食べに行ったの」
「そんな… 夜中に1人で行ったのですか…?」
「帰ってきたら兵隊アナグマ食べようと思ってたんだけど、
食べれなかったから…」
「10万も使ったのですか?」
「これよこれ マジックバッグ これを冒険者から買ったの 10万で」
「それって騙されてません?」
「大丈夫だよ 帰り道で試したから」
「とにかく、夜中に1人で出歩くのは止めて下さい…」
「へいへい・・・」
ティセたちは、タカミ村へ向かい…
タカミ村 付近
「ん…! タカミ村方向から馬車… スタン!」
「はっ!」
「今すれ違った馬車は、タカミ村に行くのではないのか?」
「あの馬車は、長老の友人だと聞いておりますが」
「長老の友人・・・」
「スタンは実際に、その人物を見た事があるのか?」
「私は見た事がありませんが※、
アレハンドロやフェルナンドが顔見知りだと聞いております」
※スタンはピコと一緒にいたティセを一度井戸で見た事はあるが、
馬車の一行がティセだとは知らない
「顔見知り・・・」
ティセサイド・・・
「こんにちは、長老さんはいますか?」
「やあ、また来たね ちょっと待っててね」
衛兵は、長老を呼んできた
「おぉ、ティセ お帰り」
「今回も儲けたのかのぅ?」
「まぁね」
「それは良かったのぅ… そんでな… 大事な話じゃ…」
ティセたちは、長老の家に伺った
「ラングさんたちは、家に戻ってて良いよ
ドルフさんはお家を用意して貰うから、ラングさんの家にいて」
「分かりました」
ラングたち3人は、自分の家に戻った
「長老さん、さっきの人にお家を1つお願いできる?」
「それは用意させよう… そんで本題じゃ…
つい先ほど、ノア様が来られてのぅ… 村民全員の移住を提案されたんじゃが…
ティセはどうするのじゃ? 私らは、問題無いがのぅ…」
「移住か… 別に良いんじゃない? 移住したら?」
「お前さんたちはどうするんじゃ? ハルヨシ村に住むのか?」
「そーだねぇ… すぐに行くかは分からないけど、
多分私たちもハルヨシ村に行くよ」
「私らが全員移住したら、ノア様の兵士は全員引き上げるんじゃぞ
食事も出なくなるから、自分たちで用意せねばならんからなぁ…」
「そうか… そんな心配があるのか…
ここをそのまま貰っちゃうって手もあるんだけど、どうしよう…」
「少し返事は待ってもらってるからのぅ… 早く決めんとイカンぞ…」
「リミットはどのくらい? 最長で」
「そうじゃのぅ… あまり待たせるのは… 7日が限界じゃろうな…」
「分かった 7日以内に決めるから… 待っててよ」
「早よ決めてな… 知らんけど」
「ドルフさんのお家よろしくね ラングさんのお家にいるから、伝えてあげて」
「あぁ、手配しておく」
ティセは長老の家を出て、秘密の部屋に帰った
「移住かぁ~ 自分でも提案しておいて さぁ、どうするか…
ハルヨシ村まで速い馬の馬車で約1時間前後… 超時間のムダだよなぁ…
でも… 誰もいないホーム(拠点)が手に入るのはとても魅力だけど…」
ティセは連日思案する日々を過ごした…
現実世界・・・ 1月16日 東京江東区… マンション
「はぁ~ 久々の我が家… 戻って来たねぇ~ 文明の最先端へ」
「さむぅ… 日本は真冬なのよね… 私は早く異世界に戻りたいよ…」
「ねぇ~ 聞いてた? どうすんのよ?」
「それは、ティセが決めるべきだろ? ボスはティセなんだから」
「そうよ 村を手に入れたとして、ハルヨシ村や王都と比べて
私はタカミ村にメリットは感じないんだけど」
「メリット… それは私も無いと思う…」
「ハルヨシ村や王都以上のメリットが無ければ、
タカミ村に固執する必要はねぇって事だろ?」
「そう…」
「ティセがメリットを見つけられない以上、タカミ村は不要だって事だよ
無人の村があるのに "捨てるのは勿体ない"って、それだけの事だろ?」
「そうかも知んない… 多分その通り…」
「俺たちが国盗り合戦してるなら、確かに勿体ないかもな
だけど、状況はそんなんじゃないだろ 俺たちは陣地取りはしてねぇ
タダだろうと勿体なかろうと、タカミ村に拘る必要は全く無いんじゃね?」
「そうだね… 何かに使えるかもって考えたけど、今回は何も浮かばなかった
1年着ない服は断捨離しても問題無いって事だね」
「それだそれ! 良い例えするねぇ
アレだ… 結婚式で貰った皿は使わねぇって事だ」
「アレもよ… 大根の葉っぱと人参の皮は、勿体ないから料理して食べるけど、
次からは面倒で捨てちゃうってやつよね…?」
「はぁ~?」
「えぇ~!? 違うの?」
「ゲラゲラ!」
「ぎゃははは!」
少し癒されたティセだった・・・
ティセたちが現実世界に戻る、ほんの少し前… ハルヨシ村 兵舎
「ノア様、宰相閣下より手紙が届いております」
「直接か?」
「はい 中は見ておりません」
「どれ、見せてくれ…」
ノアは手紙を読んだ
「ふむ… ん~ん… ・・・」
「大事でございますか?」
「宰相閣下と分かった上で、ダスティ配下の者に難癖をつけられたとある…
私と宰相閣下が、ダスティを操った… 云々とある…」
「とんだ被害妄想でございますな…」
「そうだな… 八つ当たりも甚だしい… こちらとしては笑い話だがな
奴隷制度に賛成した者たちは、枕を高くして寝る事ができんのであろう…
自業自得だ… バカバカしい…
自らの間違いを認め、早々に止めれば良いだけの事
フィエスタではまだ、奴隷の売買をしているのか?」
「エドワルドも王都から消えて以降は、再開したとの報告は受けておりません
今現在、奴隷商いないはずですが…」
「今の時点で新たな奴隷商がいないのであれば、そのままで良いのだ…
止めなければ新たな奴隷商も、ダスティのような末路を辿るのは必然ではないか
それすら想像できなければ、領主たる資格や素質は無いも同然
同情の余地は欠片もないが、哀れなのは家族と領民だ…」
「そこまでして
「領地経営とは、兎に角金が掛かるものだ そこに異論はない
しかしな… 領民は領主の一挙手一投足を、細かく鋭く良く見ておる
金を得る方法は様々あるが、後ろ指差される方法で大金を得たとて
領民にそっぽを向かれたんでは本末転倒ではないか…」
「仰る通りで・・・」
現実世界・・・ 1月17日 東京江東区… マンション
「病院は何時に終わるの?」
「病院ってね、予約の時間は決まってるけど、終わる時間は読めないのよ…
すっごく待たされる事もあれば、あっさり終わる時もあるからね~
正直分かんないの」
「じゃあどうする? 直ぐに(異世界に)戻りたいか、日時を決めるか?
私はすぐに戻りたいんだけど…」
「寒すぎて… 私も直ぐに戻りたいけど… あなたはどうする?」
「俺? ゴールドマスター探さなきゃならんでしょ」
「それじゃあ… 〇〇宝飾社の社長にしたら良いんじゃないの?」
「ありゃ駄目だ クリーンすぎるから 〇×社は?」
「私大っ嫌い… ダメダメ! 角の▽△堂の社長さんは良いんじゃない?」
「ビビりっぽい顔してんじゃん 途中で辞めちゃうよ」
「何でそんなに、宝飾屋さんの社長さん知ってんのよ?」
「親父が病気で〇んだ時に、色々と処分したんだよ
貧乏人は色んな所に査定に出すワケよ そんで知り合ったりするのさ」
「あ~なるほどね! ・・・今思ったんだけど、宝飾屋さんって老舗が多そうだし、
そんなところの社長さんって、儲けられてもインチキってしないんじゃない?」
「まぁ… 確かにそうよね」
「個人で経営してるディスカウント系の社長さんなら、
喜んでやってくれそうじゃない? お金の亡者っぽい人、よくいるじゃん
ぽっぽ(盗られる)されても無限に稼げるんだからさぁ
多少は目を瞑ってあげても問題無いんじゃない 現金化できないとダメなんだよ」
「はいはいはいはい! それならうってつけのヤツを知ってるんで、
そいつにアタックしようと思いま~す!」
「成功確率は?」
「え~… 2万%かな?」
「ほぼ確って事ね おっけ~♪」
「あなた… それってまさか… ロックじゃ…」
「えっ!? そうですけど???」
「ロック?」
「ロックっちゅうのは、俺らの2コ上のパイセンなのよね
嫁ちゃんの熱烈なファンでね ぎゃははは!
こ~いごこ~ろ かなわない今っ~♪」
「あなた、マジで言ってんの? 一緒に仕事できると思ってんの プンスカ!」
「ティセの言う通り、現金化できなきゃ俺たちは詰むんだぜ
昔の事でゴチャゴチャ言ってる余裕は俺たちには無いんだよ」
「そうだけどさぁ…」
「そこはクラハさんに我慢して貰って… その内慣れるかも知んないじゃん」
「慣れるかもって…」
「ダメダメ! これはもう決定~ ティセ、この路線でいきますよ」
「私は何でも良いよ 早く現金化してよね」
「分かった 病院終わってからロックの勧誘するんで、明日の夜に連絡する」
「時間決めてよ」
「そうだな… 21時までに連絡する
信用させるのに、実際に向こうに連れて行く必要もあるだろ?
それは、明後日19日の朝9時にするか… それで良いかいな?」
「ええで 頼んだでんがな!」
「へんな関西弁…」
現実世界・・・ 1月18日 午前9時過ぎ 東京某病院 駐車場
ジークサイド
「あー、しもしも… テメェ~ 早く出ろよ!」
「あ~! 誰にそんな口きいてんだコノヤロー!」
「今、江東区の〇〇にいるから、秒で来いよ!」
「バカかよ… 俺は大阪だっつーの 行ける訳ねーだろがい!」
「大阪だぁ~ あ~あ… あれか! 起業家たちが集まったりするやつだろ?
他の社長は本物だけどな テメェだけが紛い物だろうが‼
クリエイターチューブで、撮影かなんかやってんだろ?」
「そうじゃコラー! お前と違ってこっちは大忙しなんじゃ」
「芸能人と(商売の)お付き合いができて、お鼻が随分と高くなってますなぁ」
「当り前じゃ! 己とは出来が違うんじゃ! 可哀そうな奴だな!」
「そうだな… 俺は… テメェと違って… 嫁ちゃんと結婚したからなぁ
ぎゃははは! 己と違って… 俺ってかわいそうだよな…」
「ムキー!!! 言わせておけば わなわな… もう切るからな!
一生掛けてくんな!!! ボケが! ガッデム!」
「ここで切ったら、一生後悔すんのはテメェだぞ… それで良いのか? あ~!」
「後悔なんてする訳無いだろがい!」
「俺は今、病院にいるんだよ」
「病院… お前が〇ぬんだろ?」
「嫁ちゃんが〇〇なんだよ…」
「えっ・・・!? ははぁ~ん! 下手なドッキリか?」
「俺が嘘付いてるってか… 特別に会わせてやるから秒で来い!
そんな仕事… テメェのギャラ(取り分)は幾らなんだよ?」
「ギャラは5万だけど… 付き合いとか知り合いを増やすって意味が…」
「セレブとか… 今までの付き合いで充分だろ? これ以上は要らねぇよ
その仕事より、美味しい話やるって言ってんだよ! 手付けもやる
四の五の言ってねぇで早く来い! リミットは18時だ それ以降は認めねぇ
場所は… ショートメールで送るからな 以上!」
「おい!・・・ おい!・・・ 切られた・・・」
現実世界・・・ 1月18日 午後16時半過ぎ 江東区 マンション
トゥルトゥルトゥルトゥル…
「来てやったぞ」
「開いてるから入って来い!」
ガチャッ!
「テメェ~おせぇんだよ! ガルル!」
「時間に間に合ってるじゃねぇーか!」
「とりあえずこれを見ろよ じゃらじゃら…」
「これは…
「それは手付けでやる」
「
「てめぇにやった物だ 傷付けようが、俺には関係ぇねぇ~」
ロックは、置かれた全ての宝飾品を調べた
「
「刻印なんてねぇよ でも
昔の日本製だと、刻印がねぇってのはざらにあるみたいじゃねぇ~か
そんでこれは、嫁さんの診断書だ 偽造なんかしてねぇからな」
「・・・・・・」
「クラハは、どこにいるんだ?」
「奥で屁~こいて寝てるよ 今日は病院だったからだろ」
「・・・・・・」
「そんな理由があって、俺たちは
「これはどうしたんだ? 盗んできたのか?」
「ドロボー疑惑から入るのは何なんだ?
そんなんじゃねぇけど、これからやるのは違法な取引だ」
「その違法な取引の片棒担げって言うのか?」
「御名答 その通り! 脳みそがありんこのテメェでも、
「誰がありんこの脳みそじゃ! コラっ! それくらい知っとるわい」
「税金だ課税所得だ確定申告だ消費税だって、色々と面倒だろ
それらを端折って、闇で売り捌けって事だ」
「誰がそんな事やるかー! こちとら、カリスマ起業家の1人になってんだぞ…
バラ色の人生が始まりかけてんのに、おしゃかにできる訳無いだろがい!」
「バラ色の人生ってのは、年商幾らを指すんだ? 言ってごらん…」
「そりゃあ… 1億以上か… 年商なら5億か…?」
「ぎゃははは! そんな事だからテメェは、いつまで経ってもレベルが低いんだよ
そこにある麻袋 全部で6袋ある 中身見てみろ」
「じゃがいもか落花生だろ… はっ!!! これは…」
「僅か1か月ちょいの成果だ 最初は不慣れだったからな
慣れた今じゃ、スピード感が違う もっと増やせるけどな
途中から純銀もって話になったから、あーだこーだ・・・」
「何を言ってるか、全然分からん…
そんな危ない橋を渡れる訳ないだろがい! 嫁も子供も居るんじゃ
もしも捕まったら、どうやって飯を・・・」
「ふぁ~… アレ、ロックじゃない⤴ 久しぶりねぇ~
相変わらずカッコ良いね=(洋服)急にどうしたの?」
「それがさぁ~ あの件を伝えたら "お前の嫁なんてどうでも良い"ってさ…
意外と冷たいよね~ 俺、凍えちゃったよ…」
「そんな事言って無いだろ・・・」
「そっか~ 私なんてどうでも・・・」
「言ってない!言ってない!言ってません!」
「でも… やってくれないんでしょ?」
「やるとかやらないとか・・・」
「どっちなのかが、問題でしょ・・・」
「この人決断力が無くて、ダメだったね?
嫁ちゃんごめんね… 違う人にやってもらった方が良いかもね…」
「そうか… ロックならって思ったけど… ダメか…
バラ色の年商5億を目指して頑張ってね… もう一生会わなくて、せい…」
「待て待て待て! やってろうじゃないか… せっかく頼って来たんだから…
仕方ないかな? 正し、取り分はキッチリもらうそれで良いだろ?」
「ロック、、、ん~ま(投げキッス) ありがとうね♪」
「ロックさん… 今までナマ言ってすんまそんでした!
これからは心を入れ替えて、更なるリスペクト云々で、何とかしたいっす」
「なにそれ… 感謝してんの?」
「トーぜんでしょ… そんじゃ、細かい話は明日の朝9時に、ここに来いよ
そんで、このマンガ読んでおけ そーゆー世界だって大まかな背景だけ…
異世界ってこんな所かって分かればそれで良い 分かったか?」
「急に偉くなりやがった ガッデム!」
「じゃあ遅れんなよ 早く帰れ!」
「ムキー! 帰る!」
バタン!
ロックは帰って行った
「嫁ちゃん、上手くいったぜ」
「あんまり怒らせない方が良いんじゃない?」
「心配すんなよ、大丈夫だって」
現実世界・・・ 1月19日 午前8時44分頃 江東区 マンション
「藁人形みたいな嫁さんと豆みたいな子供の為に、テメェが〇んでも良いように
隠し財産作っておけよ 路頭に迷わないようにな ぎゃははは!」
「ムカムカー! 誰が藁人形と豆じゃコラ! 作ったるわい!」
「その覚悟、非常に良いねぇ~ ここからは本気モードだ…」
「ねぇロック、昨日渡したマンガは読んでくれた?」
「一応読んだけど… それが?」
「これから行く世界は異世界 本当の話なの」
「はぁ~? クラハ?」
「そんな反応なのは、分かってる 分かるよ… 初めての時はそんな感じ…
緊張しないでね…」
「なんか… 言い方がイヤらしい…」
「テメェ~コラ! 人の嫁でエロい想像してんじゃねぇ~」
「これから来るのは、私たちの雇い主でボス…
彼女を怒らせないでよ お願いだから」
「ボス~?」
数分後・・・ ティセが到着した
「おはよ~ 準備は?」
「整ってるぜ」
「こちらさんは?」
「かの有名な、変態パイセンのロック様です」
「誰が変態じゃワレ~! この
おねえちゃん… 大人が黒い話しをしてるからねぇ~
近所の子? お菓子あげるから食べたら帰んな ね!」
「アレっ… 説明してない感じ?」
「バカかテメェは! ボスだって言ってんだろ ガルル!
ティセ様って呼べ 俺らの大将様だぞ 頭が高けぇ~んだよ!」
「ジーク氏… そんなに怒らないであげて…
100人中100人は、そんな感じになっちゃうだろうからさ」
「ありがたきお言葉… 慈悲深きその寛容な御心… 感謝に堪えません…
この不届き者の処罰… 〇刑にしましょう」
「ま~た 大げさに…」
「ロック… ブンブン!(クラハは首を振った)」
「えっ!? 本気で〇刑なの?」
「今回だけは、〇刑にしないであげましょう…
「はい、昨日見せました!」
「ロックさん、感想は?」
「え~… 凄いなって思いましたけど・・・」
「それだけ? おみやげを渡さなかったの?」
「昨日渡しました… この人バカなのかな… アハハ!」
「向こうの世界は、〇と隣り合わせ…
少しも油断できないけど、夢が詰まった ファンタジーワンダーランド
ここに辿り着いたのは、宝くじ以上の幸運 掴むも離すも己次第
ロックさんはこのチャンスを逃せば、再び訪れる機会は一生ありません
1回だけ連れて行きます 行きますか行きませんか どーっち?」
「行~く!」
「そんじゃ行こうか」
名簿に"ロック"と書いて、ティセたちは風呂場から異世界へ行った
タカミ村 ラングの家の前
「コンコン!」
「ティセ様!お戻りになられましたか…」
「レン氏とドルフさん呼んできて」
「はい、只今」
ティセの部下 3人が集まった
「こちらがロックさん」
3人は自己紹介した
「これから王都に行くから、みんな準備して」
準備を済ませ出発した・・・ 道中
「これで7人だね… 馬車を何とかしないと、これ以上増やせないよ」
「特大の馬車買っちゃいましょうよ♡」
「2台にするよりかは、そっちの方が良いか? ゲラゲラ!」
「あの~ 馬車って買える物なの? おねぇちゃんが?」
「ギロリ!(レン)」
「ひゃー 怖いー!」
「ロックさぁ… まだ分かって無いの? ティセってばボスなのよ」
「そうは言ってもね~…」
「ジーク殿… この者(ロック)は、我が主を愚弄しているのか?(レン)」
「そうかもね~ 〇しちゃおうか?」
「ティセ様から許しが出たら直ちに…」
「みんな、ロックさんをいじめないの! 段々と分かって来るから」
「そうですか…」
しばらくして・・・
「さっきの村の出来も素晴らしかったけど、ほら日光とかにあるじゃない
ホニャ村って 江戸時代のさ あれみたいなオープンセットってな感じ?
イメージはヨーロッパなのかな? だいぶお金掛かってるよね?」
「あのなぁ… 仮に風呂場からホニャ村に行けるんだったら、
それをスゲェと思わないんかなぁ~ この人は… 逆にスゲェわ」
「えっ!? 何が?」
「・・・・・・」
車内は微妙な雰囲気で時間は過ぎ… 王都に到着した
「私たちは魔道具職人の所に行くから、買い物(
時間は… (異世界時間)14時にホウセンカの酒場に集合 そこでご飯ね」
「おっけー! オラおっさん! 買い物に行くぞ!」
「ムカー!」
ティセたちは2手に分かれた
ジークサイド
「俺ら夫婦の役目は、街で
テメェでもできるだろ?」
「そんなの簡単な仕事じゃないか!」
「俺らにできない事が、テメェの役目だってんだよ
それが、
「・・・一番リスクがあるじゃないか!」
「小遣い程度で裏帳簿つけてんじゃねぇか! 俺は知ってんだよ(嘘)」
「なんでそれを…!?」
「おねぇさん、ここにあるの全部頂戴」
魔道具工房 ティセサイド
「こんちは~ ポックルさんいますか~」
「あ~ティセさん いらっしゃい! 今日はどんな御用で?」
「この前 "現物持って来る"って言ったでしょ それで持って来たの」
「はい、言ってましたね どんな物ですか?」
「ごそごそ… これなんだけど これをあーしてこーして…」
「これ… 何ですか?」
午後13時56分 ジュリア フィエスタ ホウセンカの酒場
「おまたせ~ 注文は?」
「まだだよ ティセは何にする?」
「兵隊アナグマあるかな~?」
「なにそれ? 美味しいの?」
「脂身は凄いけど美味しいよ」
「私は脂身大丈夫だから食べてみるかな?
レンちゃん、私とティセは"兵隊アナグマのソテー 両方無し" ね あなたは?」
「はい」
「俺っちは… やっぱワイルドボアのステーキだな 無しで」
「ワイルドボアのステーキ1つね」
「はい」
「ロックは…?」
「メニュー分かんないでしょ! 教えろよ!美味いの!」
「大概何でも美味いだろ…」
「一番高いやつ!」
「遠慮を知らないヤツだ…」
「レンちゃん、一番高いやつ1つだってさ」
「はい…」
レンは注文を済ませた・・・
「どう、調子は?」
「順調順調! もう麻袋1つ半ってところだ 問題が1つあるんだ・・・」
「何よ?」
「買い物はいつも順調なんだけどよ、それだけに持ち運びが大変なんよ…
何とかならんかねぇ~…」
「しゃーない… この前買った"マジックバッグ"をあげるよ」
「マジックバッグ⤴ なにその最高なアイテム」
「全部で12個入るって言ってたかな?
多分だけど麻袋も1個でカウントされるから、
最高で12袋までいけると思うよ
私のアイテムも入ってるから、家に着いたらアイテムだけ返して」
「そんで、バッグは貰っちゃって良いワケ?」
「良いよ 違うのを後で買うから みんなの分も買おうか?」
ティセの部下たちは、大いに喜んだ!
「じゃあさぁ、機能性とか加味して、後で交換しても良き?」
「別に良いけど」
「あざーっす!」
テーブルに料理が運ばれてきた
「兵隊アナグマのソテーのお方」
「ワイルドボアのステーキのお方」
「10種キノコのクリームパスタのお方」
「ビッグベアの煮込みのお方」
「コカトリスとビッグベアーの睾丸シチューのお方」
「・・・・・・」
「すまし顔のテメェしか残ってねぇだろ! 睾丸野郎! ぎゃははは!」
「一番高いのを選んだんだから、ちゃんと食べなさいよね… グロっ…」
「ねぇ、おねぇちゃん… これって食べても大丈夫なの? ねぇ…」
「確かコカトリスって、鶏と蛇のやつだから大丈夫じゃないの? もぐもぐ…」
「鶏と蛇って… それって大丈夫じゃないよね? ・・・・・・」
食事を終えた一行・・・
「なんか気持ち悪いかも… 〇ぬんじゃないのこれ…」
「高級料理のキャン玉食っといて、バカ言ってんじゃねぇー!」
「さぁ… マジックバッグ見に行きますか」
ティセたちは、魔道具エリアに来た
「色んなタイプがあるのね~ 楽しいね」
「ホントね、コレかわいいよ!」
「キャッキャ キャッキャ!」
「私はこれがいいなぁ~」
「テメェ~ やるやらねぇを決める前に、
買って貰おうとするんじゃねぇよ! キャン玉ヤローが!」
「おねぇちゃんは、"みんなの分買おう"って言ってたじゃないか! ムキー!
私はコレで…」
「卑しいヤツだ…」
全員がマジックバッグを購入し、ジーク夫妻の拠点に到着
「疲れた~ 恥ずかしながら、戻って参りました… ふぅ~」
「こ、こ、こんな部屋を借りてるのか… 贅沢者め!」
「早く我が軍に貢献して、借りてみやがれ!
キャン玉野郎には勿体ない部屋だろ! ぎゃははは!」
「ムキー!」
「2人って、ずーっと喧嘩してんのね…」
「昔っからそうなのよ 原因は、私が女神だからなんだよね…
いつもの事だから気にしないで」
「・・・」「・・・」「・・・」
「クラハさん、私のバッグからアイテムを出して」
「アイテムね、ちょっと待ってね ごそごそ ごそごそ はい… なにそれ?」
「これは"魔道具のクーラー"だよ」
「これがクーラーなの?」
「そう 私の従魔出すね… はい、雪ん子」
「キャー、カワイイ! 雪ん子だってさ~」
「雪ん子の雪ちゃん、これに魔力込めてよ」
雪ん子は、魔道具に魔力を込めた…
「クラハさん、ここに魔石のセンサーがあるから、手をかざしてみて」
「こう?」
ぶお~~~~~~~~~~
「おぉ~ 涼しい!!!」
「もう一回手をかざすと、止まるから
寒すぎる時は、このアタッチメントを付けると風量が調節できるよ
マックス充電したら、7~8時間持つってさ
雪ん子は従魔にした方が良いね
雪女とかジャックフロストは吹雪が強力すぎるから絶対にダメだよ」
「私はぜーったい従魔にする 明日にでもする 今日かも…」
「みんなの分揃えてるから」
みんな喜んでいる
「仲間じゃねぇテメェが喜ぶ意味が分からねぇ…」
「雪ちゃん、戻って良いよ」
雪ん子は、護姻環に戻った
「みんなはあっちの部屋で、クラハさんに従魔について詳しく教えてあげて」
ティセは部屋に残った、ジーク・ロックと話を始めた
「ロックさん、時間的には短いけど、異世界はどうだった?」
「そりゃあもう… 実際目にしたら… 感動って言うんですかね…」
「それは良かった 異世界でのお金稼ぎは超順調なの
今日は寄らなかったけど、ハルヨシ村って所で2店舗経営してるし、
ここジュリアでも、何かはやりたいって考えてるよ
問題は、現実世界でどう儲けるか…
今日見てもらった通り、こっちの世界では金と銀が激安だからね
それを2人に買い漁ってもらってるところなの…
これを現金化して、両方の世界で成り上がるって寸法なのよ
宝くじ・スポーツくじ・数字選択式・サッカーくじ…
最高当選金って幾らよ… 12億? たかだか12億、笑っちゃうね
現有資産で5億は優に超えてるよ 今日の分抜きでね
この話を聞いて芋引くようなシャバ憎・・・」
「やーる!」
「おっけー! 売却するには、みんなで現実世界に戻らないとダメなの
グループで出入りするってルールだから
現実世界では学校にも行かなきゃいけないし、異世界では店舗経営
やる事は際限なくあるワケ クラハさんの病院の件もある
大まかなスケジュールは変更できないから気を付けて
それと注意点が幾つか…
私の部下や領民にとっては、私たちの方が異世界人
知られないようにするのは当然だよ
クリエイターチューブや動画撮影・写真は禁止
SNS・ブログ・メール・誰かに知らせる行為は一切禁止
もし約束を破ったら、ロックさんを・・・」
「ぎゃー!!! ぜーったいに言いません!」
「よろしい…」
「何か質問はある?」
「あの~ 言いにくいのですが… 私の取り分って、お幾ら万円ですかね?」
「どれだけ欲しいのよ?」
「えーっと… 3割…」
「分かった 半分あげる」
「おいティセ、半分はやりすぎだろ…」
「良いってば 5割ね 正し、インチキはしないでよね
きっちりと調べられるワケじゃないから、確認のしようがないけどさ
だけどロックさんを信用して5割あげる どう?」
「うぅ… ぐすん ぐすん… ティセ様… うぅぅぅ…」
「感動して泣いちまった…」
「今の金の価格は、グラム1万4千後半… どんどん上がってる
今後もっと上がるよ 恐らく1万7千円台… 2万円を超えるかも…
とは言え、勿体ないから売らないとか止めてよ
次々と仕入れるから、じゃんじゃん売っちゃって良いから」
「分かりました… ひっく… じゃんじゃん売ります グスン…」
「じゃあ、今日はこれで終了 帰ろうか」
「そうだな」
「異世界に来る時は今日みたいに、ジークさんのマンションから来るよ
その為に、マンションの鍵預かってるの
出入りもグループ単位だからね ドアに貼ってる名簿に名前を書いたでしょ
名前が書かれたこのメンバーで、移動しなきゃなんないのよ…」
「分かりました…」
こうしてロックは、ティセの仲間になった
次回 第13話『ティセ、おばあちゃんを部下にする』
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