第11話 ギガバザール:フィエスタ
「実は… ピコ様のパトロールに同行しているのですが、
その時間だけとても疲れるのです…
自分自身が何かに抗ってるような、そんな感覚ですな…」
「私も同じで… 大した事はしてないんですよ…
パトロールも村の中だけなので…
狩りをしてる方が楽なくらいで… 何ででしょうか?」
「ピコに付き合ってたら、そりゃあ疲れるけどね
(疲れるし抗ってる… 力が吸い取られてんのか?)
う~ん… 何かあるかも知れないね 調べとくよ」
「儂等共通しているのは、決してパトロールが嫌だと言う訳ではないので…
その辺りは、どうか差し障りの無いようなご配慮を賜りたく・・・」
「案ずるでない ゲラゲラ!」
そんなこんなで、アニメ的に月日が過ぎ・・・
半月後の早朝 タカミ村 太陽園
「じゃあ園長先生、行ってくるね ピコも待っててね」
「気を付けて行ってらっしゃい 早く帰って来るんだよ!」
「ティセ、ピコにおみやげ買ってきてよね!」
「時間があったらね それより、ちゃんと訓練しなさいよね(※1)」
「いつもちゃんとやってるでしょ! プンスカ!」
「はいはい… じゃあ行って来るね」
※1ピコは、チャーム(魅了)の能力がダダ洩れになっていた
ピコ自身は全く自覚が無く、そのような状態になっていたのだ
園長シスター・テクラの調べによって、その現状が分かった
ラングとレンが"疲れる"と感じたのは、
ピコから漏れ出したチャームを、意識せずに防御していたからだった
そのままでは危険だと感じたシスター・テクラは、
理由が判明した翌日から毎日、ピコにコントロールする訓練をさせている
ティセたちはタカミ村を出発し、王都に到着した
「ティセ様 こちらがジュリア内のバザールエリア
ギガバザール:フィエスタですぞ」
「ギガバザール:フィエスタ… 大層な名前が付いてるのね
ふ~ん… 確かに、ハルヨシ村の比じゃないねぇ~」
「近隣諸国の商人たちが集まっております
他国の物も数多く売り買いできますぞ」
「ほ~ それは凄いじゃん 色々見てみたいね」
「ティセ様… ジーク殿がお待ちですよ」
「そうね… ゆっくり見たいけど~」
「帰りにでも寄りましょう」
ティセたちは、ジークの元へ向かった
「ようティセ、ごきげんよう♪」
「ジーク氏… ごきげんなのはそっちでしょ…」
「まぁな 満喫中だっつーの!」
「良かったね・・・ クラハさんは?」
「屁~こいて寝てるよ」
「お疲れなのね… ここの家賃はいくら?」
「家賃? バリ高の45よ ぎゃははは!」
「45!? 高っ! タカミ村ならタダなのに…」
「ラグジュアリーな生活を掲げる俺らには、丁度良いつーの!
それに広さがあるじゃんよ お仲間御一行が泊まれんだぜ
お安いホテルっしょ ぎゃははは!」
「他の仲間たちは、王都に用は無いでしょうよ…」
「これから用ができるかも知んねぇ~じゃん」
「お店も深淵もハルヨシ村にあるのに?」
「あっちとこっちじゃ、役割が違うだろ? 向こうは借りてる宿屋もあるし」
「あっそ… そんで状況はどうなの?」
「毎日毎日、情報収集と
しっかし… ハルヨシ村でビビったけど、こっちはレベルがチゲェ~からよ~」
「順調って事?」
「ボスの仰る通りで~す ラングちゃん、レンちゃん、
隣の部屋に台車が2台あるから持って来てちょ」
「はい」「は~い」
ガラガラガラ… ガラガラガラ…
「スゴッ!!! こんなに集めたの!?」
「なんせフィエスタですもん 出回ってる量がハンパねぇからさ
手当たり次第に漁ってるって感じヨ」
「へぇ~ やるねぇ~」
「お褒め頂いて光栄でございます」
「これって、全部本物なんでしょうね?
偽物つかまされてるって事ないよね?」
「安心しろよ 俺と嫁ちゃんは… なんと… ギルドに登録しました~♪」
「登録したらどうなんのよ?」
「選んだジョブ(職)は… 商人 商人のスキルで【鑑定】っつーのがあるワケ
そのスキルを使えば一発ツモで、まがい物を掴む確率は0%なんですがな」
「偽物って多いの?」
「まぁ、あるっちゃあるな 個人売買なら多少気を付けなきゃなんねぇけど、
競売は問題ねぇよ 鑑定持ちは多いからな 偽物なんて出せねぇよ
純金が95% 22
「
「そーゆー事」
「分かりやすくて良いじゃん」
「ティセも商人になった方が良いぞ」
「そっか… 今日登録するかな…?」
「金製品が激安なのはティセも知っての通りだけどよ、
それに輪を掛けたように、純銀製品がバカ安いんよ…
ジャパニーズに需要があるのかっつー問題があるんだけどな…」
「デザインが良いなら売れるんじゃない?」
「そうかねぇ~…」
「それか… 溶かして、純銀のインゴットにしたら?
今の価格がグラム170円 だから…
1Kgのインゴットで17万なら悪くないんじゃない?」
「なんで銀の値段まで知ってんだよ…」
「
「確かにキロ17万なら、ほっぺたが落ちる美味さだな…
やるやらねぇはティセ次第だけど、どうするよ?」
「私はやった方が良いと思う だって安く売ってんだもん
だけど、
普通に売ってたんじゃ税金だって持ってかれちゃうし、勿体ないじゃん」
「裏家業の人材を探すって大変なんですよ… 僕ちゃん未経験なんで…
だけどいねぇと始まらねぇし、そこんとこはちょいと待ちねぇ」
「早く見つけてよね 宝石とかも知ってる方が良いな」
「条件が増えると、更に見つからねぇよ・・・」
「ふぁ~~~・・・ ん、、、ティセじゃん おはよ もう来てたの?」
「クラハさん、おはようさん つーか もう昼だってば」
「もう昼…? ご飯で出掛けるのもダルいから、レンちゃん何か買ってきてよ」
「何にしますか?」
「私はお肉ね ワイルドボアのステーキがいいな みんなは?」
レンは食事を買いに行った
「買って来ました~」
「レンちゃん、ありがと! これ、レンちゃんに似合うと思って あげるね」
「きゃ~ かわいい! これ貰って良いのですか?」
「うん、良いよ」
「あざーす!」
みんなは食事を済ませた・・・
「クラハさん、
早く探すようにジークさんのお尻ペンペンしといてよ…」
「そうね、やっとく 私の方も候補は何人かいるから、あたってみるし」
「いつ向こうに戻る予定?」
「1月の18日だったかな? 病院だからさ、その時に戻るよ」
「分かった 迎えに来るから」
「ありがとう~♡」
「ジーク氏、残金は?」
「まだまだ… 1000万以上あるよ」
「一応持って来たけど? 置いておく?」
「持って帰るのダルいだろ? どうせ
「分かった ラングさん、キャビンガレージからお金を出して、
買ってきた宝飾品を入れといて」
「はい、只今」
ラングは、金銭と宝飾品を入れ替えた
「また大金を持って来たねぇ~ 今回はお幾ら万円?」
「ラングさん、幾らだったっけ?」
「1200万ですぞ」
「だってさ」
「ぴゃ~ 1200万 2回で2700万かよ あの店舗どんだけ稼ぐんだよ」
「2店舗で1日100万以上売り上げてんだよ
ハーランドたちが頑張ってくれてるからね」
「国でも買っちゃうか? ぎゃははは!」
「それ、良いねb ゲラゲラ!」
「2人ともバカな事言ってんじゃないよ…」
「怒られちゃった ぎゃははは!」
「(スケールがデカすぎて笑えん… byラング)」
「(ティセ様なら、本当に買うかも♡ byレン)」
「何か美味しい情報は無いのかね?」
「あるぜ フィエスタじゃ競売もやってるし、魔道具も数多く売ってるよ
ハルヨシ村の数倍はあるんじゃね?」
「フィエスタはまだ見てないけど、ラングさんから聞いてるから知ってるよ
品揃えはどうだった?」
「あら、そう? ピンキリだったな しょーもない物も山ほどあったけど、
ヤバめなのは最低100万からみたいな感じだったな」
「ふ~ん お金稼ぎに使えそうな物だったら、買っても良いよ」
「ニキとネキに任せなさい!」
「・・・他には?」
「各地にデカめの深淵があって、それぞれモンスターやドロップ品が違うってよ
入場料無料のダンジョンも、方々にあるってな具合だ
なんでも… 先客に取られたお宝は、一定時間経過したらまた復活するって話し
一旦出なきゃいけないらしいけど、無限にお得じゃね?」
「深淵でどんな物がゲットできるかが問題だよ
無料のダンジョンなんて、大した物取れないでしょうよ… 無料なんだもん
金や銀を漁るよりもメリットあるなら考えるけどさ」
「ママ~、このおねぇちゃん厳しいよ~」
「ティセ、私が仕入れた情報もあるよ」
「どんなん?」
「魔物と、従魔の契約ができるんだってよ」
「おっ! アニメにありがちな展開」
「しかも、売買できるんだってさ」
「情報ってのはこーゆーのでしょうよ…」
「正し契約するには、何かしら条件があるみたい
魔物目当てで、深淵に潜るのもアリって話だよ」
「従魔契約用と売却用に捕獲するんだね それって売り値次第よね
あっ! 思い出した… 私カード何枚か持ってたんだよな…
どこにしまったっけ… 忘れちったよ…」
「弱いのは当然安いだろうね 多く出回ってるだろうし」
「ラングさん、レン氏、2人はパーティー組んでたんだから、
詳しいんじゃないの?」
「世話するのが億劫なので、儂は契約してないですぞ がははは!」
「私も性格的に無理なので、契約はしてないです
だけど、知性のある魔物は言葉が喋れるらしいので、
コミュは取りやすいはずですよ
そんな魔物なら、私も手下で何人か欲しいですけどね」
「あ~言葉か… 確かに、意思疎通できないと厳しいよね
でも、言葉が喋れるって事は、レベルが高そうだけどね」
「そうです 確かにレベルが高くて、値段も高くなりますね
だけど従魔がスケルトンだとしても、こっちの言葉は理解できますよ」
「へぇ~ それ面白いね それでもさ、従魔を連れて街を歩けるワケ?
私が街を歩いてても、連れてる人見た事無いんだけど
まさか… ボールに封印とか、カードから召喚とか…」
「ぎゃははは! アレとアレかよ!」
「眷属を連れて歩くのは合法ですぞ
しかし、魔物と間違われて討伐される恐れがありますからな…
その点は注意しなければなりませんな
目印などを付けて、誰かの従魔だと一目で判るようにするのが通例ですな
国によって、従魔の扱いが違いますぞ」
「ギルドでも説明はしてくれますけど、私がティセ様に教えますよ」
レンはティセたちに、従魔について説明した
魔物を従魔にする為には、大まかに2つの方法がある
魔物が入っている【護姻環】を購入するかドロップで手に入れる
目当ての魔物の【召喚状】(カード)で、魔物を召喚した後に、
空の護姻環を双方がはめる事により従魔の契約ができる
【護姻環】の形状は指輪であり、そのまま指にはめても可能だが
装着さえできればどのような装着方法でも構わない 例)ネックレス
装着できる上限は、コスト内で10体まで使役できる
従魔にはコスト()がある※1
自分が就いた事のある全ての職業レベルの数が、総コストになる
就いた事のない職業のLV(☆※2)は加算されない
例)戦士LV10=総☆10 ☆10の魔物なら1体、☆1の魔物なら10体
例)戦士LV10・僧侶LV5だと、総☆15 ☆15以内で10体まで使役可能
一度就いた職業は、LVを1つ以上上げないと転職できない
※1従魔が進化し名称が変わった際、コストは上がらずそのままで使役できる
()内の数字は、その魔物の実際のコスト数 進化前なら当然コストと同数
(例)ゴブリン:コスト2 進化→ホブゴブリン:コスト4(2)
ホブゴブリンを買えば、コストは4掛かる
ゴブリンを進化させホブゴブリンにすれば、通常4掛かるコストは2のまま
※2☆はコストの略称で使用しているだけです コストと変換して読んで下さい
「なるほどね 【護姻環】ってのは幾らなのよ?」
「ピンキリですよ 確か…数千ヨーからあると思いますよ」
「強い魔物だと、高くなるのね?」
「調べた事ないですけど、凄く高いと思いますよ
100万から1000万以上のもいるとか聞いた事がありますから…」
「魔物狩りでもするか?」
「ゲームみたいな事しないよ メンドイのに…
ドロップを狙うより、【護姻環】を買った方が早いんだから」
「ティセって、衝動的なのか合理的なのか分からないわね」
「まぁね、よく言われるよ そんじゃら、フィエスタ見たいからもう行くね
引き続きよろしく~ 病院の前日に迎えに来るから」
「俺らに任せなさい お迎えよろしく!」
ティセたちはジークたちのアジトを出て、フィエスタに向かった
ジュリア中央広場 ギガバザール:フィエスタ
「ここがジュリアのバザール フィエスタですぞ」
「フィエスタって何なの?」
「"祭り"と云う意味でしてな、毎日祭りのような賑わいなので、
その名がついたようですぞ」
「毎日やってんの!? たまらんねぇ~ 毎日お祭りなんて最高じゃん!」
「何を見ますかな?」
「そうねぇ~ 魔道具見たいな」
「魔道具なら、確かあちらに・・・」
ティセたちは、魔道具ブース(区画)に来た
「これ、全部魔道具なワケ!?」
「そうですな」
「ぴゃ~ そそるねぇ… どれどれ… 何が何やら、全然分からん…」
「聞けば店主が教えてくれますぞ
(小声で)個人売買は、騙す輩も多いのでご注意を…」
「了解… おじさん、コレって何?」
「らっしゃい! これは"
ここに魔石が埋め込まれてるだろ これに魔力を込めるんだよ」
「あぁ~ そんで水とか氷を出せるのね」
「そうだよ 魔法が使えない人も大勢いるからね 定番の商品だよ
フルで魔力を込めたら、出っ放しで7~8時間は持つよ
使わなければ、魔力は減る事なくそのままだから いつでも使えるよ
ただし、込める魔力はそれに対応した魔力を込める必要があるからね」
「つまり… 水なら水、氷なら氷の魔力って事ね
どうやってお水を出すの?」
「この部分に手をかざせば出るよ 止める時はもう一度かざすと止まるよ」
「はいはいはい… (センサー的な使い方ね)
(温泉とかのお湯が出るところみたいな形がやだな…)
(クーラー的な使い方なら… う~ん…)
ちょっと質問なんだけど」
「なんだい?」
「風用って無いの?」
「風用? そんなのは無いな…」
「無いの… ここに無いだけ? それとも風用自体が無いの?」
「風用が無いよ 見た事も聞いた事も無いね」
「水用で風の魔力って込められないワケ?」
「う~ん… 水用は水用で作ってるからね… 多分駄目じゃない?
職人も風で試してないだろうから、責任は持てないよ…」
「それじゃあ、魔道具の職人さん知り合いにいない?」
「何人かは知ってるよ 定期的に仕入れてるからね
だけどさ… 職人から直で買われちゃうとねぇ…」
「あ~ なるほど… 心配しないで
私のアイデアで儲けられるかもよ? 乗る?」
「内容を聞いてからだよ・・・」
「OKOK! あーしてこーして・・・ すると・・・ どう?」
「それって売れるの・・・?」
「ゼーッたいに売れるから 乗らないなら、他に持ってくよ」
「分かった分かった! 今、工房の場所書くから待ってて…
・・・はいよ そこに職人がいるからさ 頼んでみなよ」
「ありがとう おじさんの名前は?」
「私の名前はトミー お嬢さんは?」
「私はティセ できたら、優先的におじさんに回してもらうからさ
氷用を10個買うよ」
「10個も!? 頼むね 毎度あり~」
「次は~ 護姻環でも見てみようか」
「従魔関連なら、あちらですな」
ティセたちは、従魔関連のブースに来た
「これ全部 護姻環なの?」
「そのようですぞ」
「全部、物が違うじゃない?」
「その機能があれば、形なんて関係ないんだよ お嬢ちゃん」
「そうなの…? レン氏… 指輪だけじゃないじゃんよ」
「ティセ様~ これなんてかわいいですよ♡」
「聞いてねぇ~・・・」
「何をです? これはどうですか?」
「どれが良いかな~ マスター! これってみんなマスターの商品なの?」
「いらっしゃい‼ ん、違うよ
私の商店の取り扱う商品もあるけど、半分以上は委託されて売ってるんだ
販売額の2割で請け負ってんだ 販売登録料は別だよ」
「あ~ 代理で販売してんのね(レンタルショーケースか…)」
「そうだね」
「値段の違いって、何なの?」
「それは、持って来た人が値段を付けるからだよ
売りたい値段って、それぞれだろ? 従魔にもよるけどな」
「そうか… 私、一般的な従魔の値段知らないからなぁ…」
上手くできてんのね・・・ もう1つ教えて
例えば、デザインが気に入ってる指輪の護姻環があるとするでしょ…
その後で、もっと気に入った護姻環があった場合、移すことはできないの?」
「それはね、教会の隣に【従魔の館】ってのがあるんだ
そこでやってもらえば良いんだよ」
「やるって何を?」
「簡単に言えば引っ越しだな こっちからあっちに引っ越しをさせるって事」
「はいはい、引っ越しね それって高いの?」
「1個1万だから、左程高くはないね」
「従魔によって違うとか無い?」
「値段? 違わないよ どんな従魔でも1万」
「へぇ~ 良心的だ事…」
「従魔の需要は段々と高まってるんだけど、まだ金持ちや兵士の話なんだよね
一般層に広まれば、もっと安くなるかも知れないけどね」
「なにやらお金儲けのオイニー(におい)がプンプンと… それよりも…
私アクセサリーは苦手だから、違う物なんかない?」
「そうなると… 腕輪 手袋… 帽子… ベルト…
だけど結局は、指輪が一番楽じゃないの~? それかネックレスだな」
「指輪とか腕輪なんて普通じゃん」
「普通が良いんじゃないの?」
「アニメじゃあるまいし…」
「あにめ???」
「あのさぁ… これだけ大量にあっても、どれも好みじゃないんだよね
護姻環を作ってる職人さんの知り合いっていないの?」
「さすがに護姻環職人の知り合いはいないな…」
「そうなの? それは残念…
さてと… 次は従魔かね? 何がおすすめなの?」
「人型の従魔なら、お使いでも掃除でも一通りできるよ
スケルトンとかどう?」
「スケルトン・・・ ガイコツにお手伝いさせんの?」
「ただの骨じゃねぇか 装備着けたら気にならないよ アハハハ!」
「こっちは気にするっつーの・・・ コストは幾つなのよ?」
「コストは2だよ」
「そりゃダメだよ… 私はまだ、ギルドに登録してないんだもん…
コスト1の従魔じゃなきゃダメなの!」
「・・・それなら、ここら辺にあるのがコスト1の従魔だ
そこから選んでくれよ」
「そうねぇ… マジ良いの見つけた! ゲラゲラ! おじさんこれ頂戴」
「はいよ 3,000ね 毎度あり!」
その後ティセたちはギルドに到着し、登録を済ませた
「これで私も商人になったワケだ… コストは1・・・
大した従魔は契約できないけど、一応は使役する事はできるワケだね」
「先ほど購入した〇〇〇ですな」
「そうだね もうちょっと従魔のブース見たいな」
ティセたちは再び、従魔ブースに来た
「この辺りも従魔区画(ブース)ですぞ」
「アクセサリーしか並んでないのね・・・
それじゃあどんな従魔か分からないじゃない 親切じゃないのね・・・」
「基本的にこういった物は、店主に聞かなければ分からないのも、
売れない1つの理由でしょうな」
「そんな事だから、一般に広まらないんだよ
私が時代を変えるしかないよね・・・」
「ティセ様は、そんな事ができるのですか!?」
「まぁね、ナイショだぞ」
「キャー、すごーい♡」
「情報が無いままだから、手が出し辛いんじゃんか…」
「その通りですな…」
「ティセ様の言う通り!」
ティセたちは、護姻環を漁り始めた・・・
「ねぇおじさん、おすすめの従魔ってなにかある?」
「おすすめねぇ… 用途によるからな 何に使うんだ?」
「そうだねぇ… 私さっき登録したばかりだからさ、
今後を見据えた感じにしたいのよね」
「ほぅ… それでどうする?」
「お手伝い系・戦闘系・色んな意味で便利系の3パターンなら、
どんな組み合わせが良いかな? 各3体でおすすめ教えてよ」
「そうだな… 手伝い系ならエンジェルや猫娘
戦闘系なら、ヴァンパイアキング・デュラハン・オーガキング
便利系なら、レイス・エンジェル・・・ あとは用途によるな
ハーピーなら抱えて飛べる 有翼のペガサスも飛べる そんな感じだ」
「ちょっと! 猫娘とハーピー以外、全部コストが高いでしょうよ プンスカ!
ランク落としなさいよ!」
「最初からコスト言わないから… どのぐらいでまとめるんだ?」
「15とか…」
「15か… 手伝い系なら、エンジェル コストは15だ
戦闘系ならば、スケルトンソルジャーでコスト15
リザードマンが9 ワーウルフがコスト7 スケルトンウォリアーで6
オークで5ってところだ
便利系と言われてもな… ハーピーが4 ウィッチとウォーロックが8
こんなところで勘弁してくれ」
「所でさぁ… 私って話しかけた人に、美味しい話を持ち掛けるんだけど
私に乗ったら儲けられるよ どうする?」
「内容も聞かずに、子供の話に乗れってか?」
「それが私の流儀だからね 乗らなきゃ、他の人に話を持って行くだけだからさ
あとで泣いても知らないよって話し
因みに、ここで護姻環売ってる人ってどのくらいいるワケ?」
「そうだな… 50は下らないんじゃないか?」
「そんなにいるんだ? 競合が多いと大変ね 毎日ここで商売してるんだ?」
「いや… 俺は冒険者もやっているんでな…
深淵で得た物を、週に1回ここで販売している」
「仲間は?」
「俺はソロだ」
「ふ~ん… もしかして、全然売れないんじゃない?」
「良く分かったな!?」
「まぁね… 冒険者は向いてるかも知れないけど、商人にしては…
不愛想まではいかないけど、商売には向いてないかもね
親切ではあるから、今後次第って感じね」
「気にしている事をズバズバと・・・」
「冒険者を専門にした方が良さそうよ」
「前からそう感じていたのだが…」
「ここに並んでるのって、大した事ない従魔でしょ?
エンジェルとかヴァンパイアキングなんて無いでしょ?」
「確かに… そうだ」
「ね、人の良さが出ちゃってる 普通、無い商品おすすめしないでしょ」
「何故か段々と恥ずかしくなってきた…」
「私はティセ 名前は?」
「私はランドルフ ドルフと呼んでくれ」
「衣食住は保証するし…
ここにある護姻環全部買うから、私の部下にならない?」
「はぁ!?・・・」
2日後・・・ 王都 高級宿屋
「結局昨日も村に帰らなかった… 怠け癖が出ちゃってるな イカンイカン!
さてと… 今日のスケジュールは… どうするか?」
「ティセ様、今日は工房に行かないと…」
「そうだった… 工房か んじゃあ、ご飯食べてから行こうか」
ティセたちは、宿屋1階の酒場で食事をする事にした
「もぐもぐ… もぐもぐ… げふっ! ふー食った食った!」
その時、奥のテーブルで一悶着が起こった…
「おいじじい テメェとノアが裏で操ったってのは、明白なんだよ!
泡沫国の輪を乱す人間は信用できねぇな! ガシャーン!」
「止めんかコラ! 店に迷惑じゃろ!」
「止めてみろよ ガシャーン! パリーン!」
「いい加減にせんか! クレイソンに抗議するからのぅ」
「バカじゃねぇの? ガシャーン! バリーン!
御領主様は貴様らに〇されたんだ! もう何もねぇんだよ!」
「はわわわわ… (店員)」
「みんな… 止めて来て」
「はい」「は~い」「うむ!」
ラングたちは、輩を止めに行った
「お主たち、やり過ぎではないか?」
「いい加減にしなよ 折角美味しいの食べたのに 後味が最悪じゃない!」
「私らが相手になろう」
「はぁ? ドワーフにダークエルフに人間? ぐふふふ! 弱そうじゃねぇか
表に出ろ! 逃げんなよ」
「良かろう」
6人は表に出た
「おじいさん、大丈夫?」
「あぁ… ありがとう お前さんの仲間は大丈夫かのぅ?」
「大丈夫じゃない? 怪我してない?」
「大丈夫じゃ… 直接やられた訳じゃないからのぅ…」
「なら良かった あいつら何なの?」
「あいつらは、クレイソンのダスティと言う貴族の配下じゃろ
先だって暗殺未遂があっての、王様が狙われたんじゃが…
そのダスティの仕業でな… 儂らが裏で操ったと勘繰りおって…」
「(ヤバっ…)酷い話ね~…」
「そうじゃろう…」
「ティセ様… 紙一重で勝ちました…」
「超ギリギリな感じね… あんたち、修行決定だな…」
「えっ!? 勝ったのに…?」
「そんな~…」
「勝ちは勝ちだがな…」
「何かすまんのうぅ… だが、助かったのは確かじゃ…
何かお礼でもせんとな… 名前を教えておくれ」
「ごめんね おじいさん 私たち忙しいから、気持ちだけ貰っておくからね
じゃあね おねぇさん、チェック(お会計)して」
「・・・・・・」
ティセたちは、魔道具工房へ向かった
「あんたたちねぇ… 修業不足なんじゃないの! プンスカ!
恥かくところだったでしょうが ガルル!」
「儂らはブランクがありますからな…」
「そうです… 実践は久々で…」
「私は元から強くないからな」
「ダメだなこりゃ…」
しばらくすると… 工房が見つかった
「ここが"ポックルの工房"ですな」
「こんちは~ ポックルさんいますか~?」
「は~い、どなたでしょうか?」
「フィエスタでトミーさんに聞いたんですけど、
魔道具の職人さんだって…」
「はい… それで御用は?」
「この前氷用の魔道具を買ったの
風用はあるかって聞いたら、見た事無いって言うからさぁ
ポックルさんに直接言って作ってもらおうと思って来たの」
「風用ですか? あははは! そんなの作ってませんよ」
「何で作らないの?」
「何でって… 需要無いでしょ… そんな物」
「はぁ…? 需要無いって… 正気ですの!?」
「だって、この暑さで風用使ったって、たかが知れてるじゃないか」
「そこが甘いっちゅうのよ」
「ムキー! 君は僕を怒らせに来たのかい!」
「そんなワケあるかいな こちとら忙しいんじゃ
単純に考えなさいよね これはこの前買った氷用
氷用で氷を出す それに風を送るとどうなるのよ?」
「それは… 冷たい風が出る…」
「そうでしょうよ
つまり、吹雪系の魔力なら、気持ちいい風が出るんじゃないの?
それをふまえて作れるワケ?」
「理屈ではそうだね… 作れるよ だけど問題があるよ」
「作れるって言ったね! どんな問題よ?」
「誰が吹雪系の魔法を使えるんだよ? そんな使い手いるの?」
「そんな事かゲラゲラ! 私に任せなさいよ」
次回 第12話『ロックと言う名の男』
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