第10話 それぞれの仕事と新たな助っ人
「お2人はこの2軒を使って下さい 3人組は、その隣のあの家です
ティセの家は良いのかい? 空いてる家もあるんだよ」
「あぁ、そう… 私は大丈夫なの ありがたいんだけどね…」
「そうかい? 何かあったら言ってくれよ」
「ありがとう」
「感謝の気持ちだからさ、村のみんなに任せてよ
それじゃあ、寝台のシーツを持って来るからね
私がやっておくから、自由にやっててよ じゃあね」
ダンはベッドの用意をしに行った・・・
「あのさ、私ちょいと用があるから・・・
悪いんだけどさぁ~ 2人はピコの相手でもしてあげてよ
錬金術は、人に見られてはいけないの 絶対に!
だから… 私を探さないように ちゃんと近くにいるからね」
「それならば… 定刻にお姿を確認できれば安心なのですが・・・」
「そうですよ… 魔物に襲われでもしたら・・・」
「そ、そうね… そうだけど… 魔物に襲われるような場所には行かないよ
今日はもう夕方じゃん… また今度、時間とかは考えておくからさ…」
「分かりました…」
「そのまま居なくならないでくださいよ・・・」
「大丈夫だってば… じゃあピコに付き合ってあげてね」
ラングとレンは、ピコの元に向かった
「よし、行ったな… ねぐらに戻るとするか… コソコソ、コソコソ」
ティセは久しぶりに、秘密の部屋へと戻った
「ただいま我が家 ふぅ~ ベッドふかふか~…
さぁ、飯を喰らってから久々の家に帰るか」
ティセは風呂に入り洗濯を済ませ… 食事の準備をする
「今日帰ったら食べようと思ってた"とんかつ"作りますか!」
「とんかつうめぇ~!!! やっぱこれっしょ! ガツガツ!」
「ぷふぁ~ 喰った喰った… ごっちゃんです!」
「ちょいと休んで… あっ!寝ちゃった…
今は… 23時20分か まだ間に合う…」
ティセは、調味料やスプレーボトルその他増やしたい物を持って、
異世界側の小屋へと運んだ
「これで明日増えてるな… OK! さぁ… 戻ってから何しよう?」
現実世界に戻ったティセは、100均でスプレーボトルとコショー、
砂糖を購入した
「毎日各1個は増やせるけど、それじゃ時間掛かり過ぎだし… とは言え…
普段絶対買わない物で、お小遣い全部使ってしまった・・・
異世界でのお金儲けは順調だけど、こっちのお金も稼がないとなぁ」
そして・・・
ティセが現実世界と異世界を行き来して・・・ 学校は冬休みに入った
江東区北砂
ティセは近所のスーパーで、お使いをした帰り道…
「君かわいいね~♪ 僕は趣味で写真をやってんだけど~
ポートレート撮らせてくれない? データもあげるよ」
「いやぁ~ 間に合ってま~す」
「そんな事言わないでさぁ~
大きめのコス(プレ)イベ(ント)は毎回参加しててさ、
僕が撮った画像は評判良いんだよ~♪ SNSも高評価だらけなんだから」
「(異世界で)忙しいんで」
「かわいいコス(衣装)もあるんだよ 例えば… 最近のアニメなら…」
「要らん言ーとるんじゃ! コラ! 噛みつくぞ ガルル!」
「怒った顔もかわいいね♪ カシャカシャカシャ 怒ると関西弁になるの?」
「撮った写真消して!」
「アップしたら、グッド(高評価)が集まるからね~」
ティセたちの悶着で、徐々に人が集まって来た・・・
「何だおっさん 中学生に嫌がらせしてんのか?」
「き、君には関係ないだろ!!! プンスカ!」
「こいつが私の写真を勝手に撮ったの!」
「嫌がらせしてんじゃんよ 画像消せよ」
「撮ってませんけど~♪」
「ムキー! 撮ったじゃんか! こいつ最低3枚は撮ってます!」
「しゃーない… お巡りさん呼ぶか… おいおい帰んな!」
男はがっしりと腕を掴み、スマホで電話を掛ける
「あーもしもし 変態を捕まえました 至急逮捕して下さい
今呼んだからな 大人しくお縄につきな」
「離せー 僕はやってない~ 冤罪です!」
「こいつ撮ったんだろ?」
「うん、撮った」
暫くして… 婦人警官がやってきた
「こいつが変態君です 〇刑にして下さい」
「〇刑は無理かな… あなた(容疑者)… 車(パトカー)に乗って!」
変態君は、男性警官に連行された…
「今、カメラを調べるからね ちょっと待っててね」
「はい、お願いします」
数分後・・・
「お待たせしてごめんなさいね… スマホを調べたら、3枚撮ってたから消去したよ
どうする? 訴える?」
「そこまでは… きつく注意して下さい! 今度は訴えるかも…」
「分かった きっちりお灸をすえるからね」
「ありがとうございます!」
「それじゃあ… 簡単な聴取だけしたら… あなた送ってあげてよ」
「良いよ 何か買っとく?」
「そうね~ プリンとアイス」
「りょーかい!」
「あれ・・・ 2人は・・・?」
「俺たち夫婦 お巡りさんは奥さん」
「そうなんだ!?」
ティセは聴取を済ませ、男に自宅まで送ってもらった
「ただいま~ ママ~! 実は助けてもらってね・・・・・・」
更に数日後・・・
連絡先を交換していたティセは前日、婦人警官からショックな連絡を受けた
某日昼前 スーパーのフードコート
「呼び出して悪かったな・・・ 好きな物食べていいぞ」
「ううん… それは良いんだけど… クラハさんはどうなの?」
「良かったり悪かったりで… その日によってなんだよ」
「そうなんだ・・・」
ティセと男は、食事を注文しに行った
「それでな… 俺は大した戦績も残せないで引退したキックボクサー
引退してからは、登録者も全然いない一切バズらないゲーム配信者
そんなんで、クリエイターチューブの稼ぎなんて殆どねぇ~ワケよ…
嫁ちゃんは病気になっちゃってもう1年、いよいよ仕事もしんどいって…
金の問題もあるから、千葉の実家に引っ越そうって言われてさ
両親はもう死んでいないけど、実家は残ってんのよ 固定資産税も安いし
2人で話してさ、処分しなくてラッキーだったなっつって・・・
家賃は掛からねぇし、生活費も都内に比べたら多少は節約できるっしょ」
「せっかく仲良くなれたのに…」
「そうだな、残念だ こんな俺でも働かなきゃな… 散々迷惑掛けたし」
「働くって何をすんのよ?」
「なんだろな・・・? 仕事があるなら、選り好みはできねぇし
我がまま言ってられないんよ…」
「・・・クラハさんは、もう治らないの?」
「・・・・・・ どうだろうな
難病に指定されてるって事は、そう言う事なんだろうよ・・・」
ヴヴヴ… ヴヴヴ… ヴヴヴ…
「飯… 出来たってよ」
ティセは食事を取りに行った… 食事を終え
「ごちそうさまでした…」
「お粗末様でした」
2人はスーパーを出た
「あのさ… 問題はお金なんでしょ?」
「おいおい… 中学生にたかるつもりはねぇから」
「貸さないし出さないよ」
「あっ… そりゃあ失礼しました…」
「そうじゃなくて、私を手伝ってほしいんだけど どうかな?」
「手伝い? 何の?」
「お金稼ぎ」
「金稼ぎだぁ~!? どんなんよ?」
「ここじゃ説明はムズイから・・・ クラハさんはお家に居る?」
「おん… いるけど」
「これから行って良い?」
「別に良いけど」
「一旦家に戻って、荷物持って来るから… 今日は車?」
「そうだけど…」
「私チャリだから、家に来てよ」
「分かった」
2人はスーパーで別れた 家に到着したティセは、荷物をまとめた
「ママー! クラハさんちに行って来るから!」
車に乗り、男の家に到着した
「おじゃましま~す」
「ちせ~!? ぎゅ~して」
「ぎゅ~~~っ!」
「感動の抱擁はそのくらいにして、本題に入ろうじゃないか…」
「えっ、なになに?」
「お金の問題で、千葉に引っ越しちゃうんでしょ…?」
「・・・そうだね 都内よりは田舎の物価は安いからさ
野菜とかだったら、ご近所さんもくれるんじゃない?」
「私の手伝いをしてもらって、一緒にお金を稼がないかなって」
「お金稼ぎ~?」
「問題は違法性だろ まぁ、俺は気にしないんだけどさ ぎゃははは!」
「警官の前でよくそんな事言えるね・・・」
「違法性か… 大いにあるよ」
「ぎゃははは! そりゃダメだろ」
「場合によってはだよ 全部が全部違法ってワケじゃないよ」
「話が全然見えねぇ… 俺たちは何を手伝うんだよ?」
「これを見て欲しいんだけど」
そう言うとティセは、バッグから宝飾品を取り出した
「これは…
「そうらしいよ」
「そうらしいって… ちせ これどうしたの? まさか…」
「ちゃいますよ~ ドロボーとかしてないから
ちゃんと自力でゲットしてるから」
「自力でゲットって… 何をしたのか言ってごらん…」
「おおぉ~コワ~ 嫁ちゃんが怒ってるんじゃない?? ぎゃははは!」
「その前に、これ売って来てよ」
「いいぜ 売って来てやるよ」
「あなた!」
「理由はその後でも良いんじゃね
今日の金の価格は… グラム14,600円だってよ 高っか!」
「お願い」
「じゃあ俺は売って来るよ」
数十分後・・・ 男は帰宅した
「あなた・・・ これはマジヤバいわ・・・」
「何がだ?」
「ところで幾らだった?」
「あぁ… 50グラム少々で… 73万ちょいだった 明細と金な ほらよ」
「確かに… 全部あげるよ」
「はぁ…!? 全部くれるって? 何言ってんの?」
「そんなくらいの
「ちょっと… ねぇ嫁ちゃん!?」
「ちせにとっては
私… 明日警察辞めて、ちせの手伝いするからね」
「おい~… 一体何があったんだよ? そろそろ教えてくれってば」
「じゃあ、3人で行こうか」
「行くってどこに?」
「お風呂場に」
「風呂…?」
ティセたちは、風呂場に行った
「何だよ!? このドアは!?」
「その貼ってる紙に名前を書いておいて 好きな名前で良いみたいだよ
そうだ忘れてた! ストップウォッチある?2個」
「嫁ちゃんの名前が書いてあるじゃん…
この下に書けば良いんだな? 好きな名前… スラスラスラ…
ストップウォッチ… キッチンタイマーと腕時計、スマホもあるけど」
「撮影はダメだよ SNSも動画配信もダメ!ぜったい!」
「分かった… じゃあ同時にやるんだな… よし、スタートしたぞ」
「スマホはここに置いといて、腕時計は持って行くよ」
ティセたちはドアを通り、秘密の部屋に到着した
「この部屋は… つーか、なんで風呂から知らねぇ部屋に出んのさ!?」
「ここは異世界 私だけの秘密の部屋なの」
ティセは異世界について、今までの経緯を詳しく話した
「・・・と言うワケなの」
「なるほどな… それで嫁ちゃんは先に見てきたんだな」
「もうビックリしちゃった!」
「はいこれ 長老に貰った短剣 私は使わないから持ってて」
「お~!! たかが短剣だけどカッコよ!」
「何度も言うけど気を付けてよ 本当に死ぬ事もありえるから」
「そうか… ちょっとブルっちゃったけど… まぁ… 頑張るよ」
「私は賢者で錬金術師って事になってるから… 謎にしといてよ
因みにあの
たったの2~3万くらいだったかな?
私の歳じゃ、元の世界で売れないからさ…
色々と仕入れるのにお小遣いも使い果たしちゃったの… だから…
現実世界でもお金を稼ぎたいってワケなの」
「それで手伝いってワケか」
「向こうでは商売をしててね、一応2店舗の影のオーナーなの」
「ぎゃははは! 影のオーナー? 何で隠すんだよ」
「余り目立ってもねぇ 嫌じゃん」
「私の部下を紹介するから そんじゃあ行きますか」
ティセたちはドアを抜け、タカミ村に出た
「ここがタカミ村 あのドアは、ここに繋がってるの」
「ヤベェ… 本当にゲームみたいだ…!?」
「私はさっきチラッとだけ見たけど、これは本物だわ…」
「え~と今は… こっちの時間で13時33分… あっちだよ」
「ちせの部下… どんなんだよ?」
「ここ! コンコン! 集金で~す」
「ガチャ! ティセ様、お戻りになられましたか!」
「彼がドワーフのラングさん」
「初めまして、私はクラハって言います宜しく!」
「俺は… え~と あ~ ジーク(偽名)だ
兄貴分になるかも知れない予定だ… よろしく…」
「儂はラングと申す ティセ様、こちらの方々は…?」
「今、仲間に誘ってんの 色々と手伝って欲しいからさ
この2人は夫婦なの」
「そうでございますか 是非ともティセ様の臣下に加わって下され」
「俺らはとっくに臣下だってば ぎゃははは!」
「そうそう! こんな面白そうなのってヤバ過ぎでしょ」
「じゃあ、やるんだね?」
「そりゃあもう… モノホンのドワーフ見たら… やるっしょ」
「そんじゃあ、モノホンのダークエルフも見せてあげるよ」
「ラングさん、レン氏呼んできて」
「はい、暫しお待ちを」
ラングはレンを呼びに行った(隣の家)
「ティセ様… 御髪からフローラルな香りが…」
「彼女がレン氏 ダークエルフなの」
3人は挨拶を交わした
「他にも元奴隷商人の変態君とかいるけど、紹介はまぁいいや」
「そんで商売はどこでやってんの?」
「違う村なの ねぇラングさん、馬車って何時に来る?」
「14時です」
「もうちょっとだ もうすぐ馬車が来るから、隣の町に行くよ」
到着した馬車に乗り、一行はハルヨシ村に向かった
約1時間後・・・
「ここがハルヨシ村だよ」
「さっきの村と比べたら、随分と発展してるじゃない」
「ここから北に15里 確か60kmくらいかな ジュリアって街があってね、
そこはこの国の王都なの そこの方が凄いみたいだよ
私は1回行ったんだけど、ほとんど何も見ないで帰って来ちゃったからさぁ」
「へぇ~ 町並みはかなり古臭いのに、スゲェ新鮮!」
「ここら辺からバザール 市場だね」
「活気あるじゃん!」
「一番賑わうのは夕方だよ そこらは日本のスーパーと同じ感じ」
「はぁ~ スゲェ楽しい♪ まだ、余り見てもねぇけど」
「もうちょっとでお店に着くよ」
ティセたちを乗せた馬車は、バザールの店舗に到着した
「ここが、順番で言ったら2番目のお店のピザ屋 トルティーヤもあるよ」
「ピザ? なんでピザ屋選んだのよ?」
「オーナー様のご帰還だよ!」
「ティセ、お帰り!」
「紹介するね、ダンとフランクの兄弟 クラハさんと… ジークさん」
「私はダンです」「フランクだよ」
「(小声で)ちせ… 登場人物みんなイケメンなんだけど…」
「(小声で)そうなの 凄いでしょ?」
「クラハで~す 宜しくね イケメンブラザース♡」
「俺はジークだ! 君らの兄貴分だ まぁ気楽に」
「この2人は、私らの仲間になりました いじめないように!
調味料とか色々持って来たから」
「ティセ、ありがとう!」
「そんなに時間が無いから、ハーランドの所に寄ってまた村に戻るから」
「分かった」
「売上げはどう?」
「順調だよ! 今日は今のところ… 26万くらいかな?」
「結構結構! 頑張ってくれたまえ じゃあね」
店を出たティセたちは、ハーランドの店に向かった
「ここが、2店舗併設してるお店だよ
フライドチキンとレモネードとかレモン系のお店」
「ちわ~ 店主はいるかね~」
「ティセ! やっと来た コショーが無くなるところやったんやで!」
「大量に持って来たがな ほらよ」
「助かった… 間に合ったで…」
「モスさん、スプレーね」
「ティセ様! ありがとうございます!」
「予約の人優先で売ってあげてね」
「承知しております」
「はいは~い! 無名以外集合!
この2人は、新しく仲間に加わりました ジークさんとクラハさん
みんな、仲良くしてあげてね」
ハーランドたちは各々、自己紹介と挨拶を交わした
「ハーランド、今日の売り上げは?」
「順調やな もうすぐ完売やで」
「サンダース、ハツは?」
「こっちももうちょいで、今日の分は終わりやな」
「モスさん、レモネンは?」
「はい、売り上げで言ったらトータルで30(万)は超えてます
シロップが残り5個なんで、お願いします」
「私は来れないかもしれないけど、何とかするよ」
「お願いします」
「ハーランド、悪いんだけどさぁ 100万くれない?」
「毎回俺に聞かんでええから持ってき」
「すんまそん この2人に錬金術で、お金を増やしてもらうから」
「ジークさんたち… そんな事ができるんか!」
「さすがティセが見込んだ仲間やな 恐ろしい」
「へっ? まぁ~ そうね… 私たち夫婦は… それが特技だから、ねぇ…」
「そ、そう… 後から入ったけど… 兄貴分として… 何とか…」
「そんなワケで、時間ないから戻るよ」
「こっちに居られへんのか?」
「だってシロップも無いし、やる事あり過ぎなんだから」
「そーかー… すぐに戻って来てな」
「分かった、じゃあ行くね」
ティセたちは店舗を出て、バザールに向かった
「見てもらったのが2店舗 他には賃貸で宿屋を1軒抑えてるの
それは、村人専用の宿泊所的な感じ」
「何なんだよ… やり手社長じゃねーか!」
「ちせ… 凄いねぇ~ カッコ良かったよ♡」
「まだまだっしょ!」
「さっきの"100万くれない?"ってヤバいな
しかも返しが"俺に聞かんでええから持ってき"だってよ
カリスマ起業家かよ!」
そんなこんなで・・・ バザールに再び到着
「ここら辺が、宝飾品のエリアだよ 武器防具はあっち 道具系はそっち」
「ここで、あの
「そうだよ」
「・・・」
「ラングさんとレン氏は40万ずつ持って、この辺に売ってる
買えるだけ買いあさってくれない?
できるだけ純度の高い物が良いけど、純度が高くなくても単価が安い物…
要するに金ならいいや」
「承知致しました」
「買ってきま~す♡」
ラングとレンは、金製品を買いに行った
「どう、バザールの感想は?」
「まるで夢の中にいるようだね」
「ますますやる気が出てきた!」
数十分後・・・ 買い物を終えた2人が戻ってきた
「ティセ様、買って参りました」
「こちらですどうぞ」
「重っ… 持っててよ」
「はい」
「じゃあ、村に帰ろうか
ラングさん、私いつ戻るか分からないからさ…
馬車を毎日予約してくれない」
「毎日ですか!? 結構掛かりますが…」
「別に良いよ ただ来て帰ってもらう時の方が多そうだけど」
「馬と馬車を買った方が良いのでは…」
「どうしよう… とうとう買っちゃう?」
「キャビンガレージが2個あるのですから、買った方が安いかと…」
「馬の世話と運転できる?」
「ハルヨシ村や王都なら、馬は預けられます 操車は何とか…」
「じゃあ買っちゃうか でかいキャビンのやつでお願いね」
「はい、買って参ります」
ラングは馬とキャビンを買いに行った
「ちせ… 馬付きで馬車を買うとか… ぎゃははは! 皇族かよ!」
「ホント… 王様よね」
そして・・・ ラングは馬と馬車を買ってきた
「村に帰ろうか」
一行は、タカミ村に戻った
「お疲れさん 余ったお金は2人で分けて、自由に使って」
「そんな… 良いのですか?」
「私は大丈夫ですから…」
「ええんやで… いつも頑張ってるから、好きに使いなされ」
「それでは… ありがたく頂戴いたします…」
「感謝致します♡」
「そんじゃあ、シロップ作りに行くから」
「はい、お早いお戻りを」
「帰って来て下さいね」
ティセたちは秘密の部屋を抜け、ジーク夫妻の部屋へと戻った
「はぁ… 戻った… くたびれたぁ~」
「こんな経験はじめて・・・」
「しかし… 不思議な感覚だな」
「ちせ、もう夜じゃない!? 家に帰んないと…」
「テレビとストップウォッチを見なされ」
「テレビ? ポチリ ・・・ えっ!? 何でよ???」
「ストップウォッチ(腕時計)は7時間37分… まぁ、そのくらいだな
家に置いといたスマホのストップウォッチは… はぁ!? 進んでねぇぞ…?」
「ねぇ… 不思議でしょ ここを出発してから時間が経ってないの
実際は、7時間40分弱経ってるはずなのに…
逆もそう… 今は異世界の時間は止まってる
だからね… 現在いない方の世界は、時間が止まる仕組みみたいなの」
「ぎゃははは! 向こうでの滞在時間は、こっちでは経過してないって事か…
最高じゃねぇの 宝くじ以上の大当たりじゃんか」
「不思議なのはさぁ、私以外の参加者が何人かいるんだけど…
その人たちも異世界に出入りしてるなら、
いない世界の方は止まってるはずなんだよね…
その辺がどうなってんのか分かんないんだよ…」
「・・・俺もわかんねぇけど… ゲームみたいなもんじゃねぇのか?
抜けた時点から、再開できるようなシステムなんだろうよ…
〇んだら最後… コンティニューはできないって事なんだろ きっと…」
「なるほどね… それなら可能性はありそうだね…」
「それでちせ… 具体的に私たちは、何をどうすれば良いのよ?」
「ジークさんたちにやってもらいたいのは、大まかに3つあるの
1つ目が、異世界で
2つ目が、現実世界で
向こうのお金は結構あるんだけど、こっちでのお金が必要なの
3つ目に繋がるんだけど、物を仕入れるのにお小遣いがもう無いの…
3つ目は、仕入れ 調味料とか日用品を買って、店舗に持って行くの
コショーと砂糖は、異世界では高級品だから向こうでは買えないの
なんでもかんでも持って行けば売れるだろうけど、
そこまでがめつくやんなくても良いかなって考えてるよ
異世界人が派手にやると目立つからね そこは抜かりなく
クラハさんは… レモネードのシロップを大量に作る
作り方を覚えたら、それを別の人に伝授するの そしたら手が空く
それで2人は、躊躇なく人を〇せる程強くなって欲しいの」
「人を〇せる程に強く・・・!?」
「あの異世界を見たでしょ まるで時代は中世後期…
それも最後の最後1500年~1600年くらい…
普通に魔王がいて、王様がいて、戦争をしてるの 今は落ち着いてるけど…
いつ戦争がおきても不思議じゃない状況… リアルゲームの世界…
〇される可能性がある以上、〇す覚悟も無いとあの世界じゃやっていけない
リスクはあるけど、当然リターンも莫大じゃん
自分の身は自分で守れるくらい強くなってほしいの そんな理由だよ」
「ちせにはその覚悟はあるの?」
「あぁ… 私には全然無いから、仲間を増やしてるの
今後当然強い人も入れていく予定だから みんなに守ってもらうの」
「・・・・・・」
「それは当人がそう考えてるんだから、認める認めないはお門違いじゃんよ
何をやるにしても、リスクってのは付きものじゃねぇ~か
"郷に入っては郷に従え" 異世界には異世界のルールや流儀がある訳じゃんか
日本でそんな考えなら単純にヤベェ奴だけど、場所は異世界なんだし
俺はちせに賛成だな」
「そうだけどさ…」
「踏ん切りがつかないのはよーく分かるよ
それだったら、レモネードのシロップだけでも作ってくれたら助かるんだけど
それに病気の事もあるし… 異世界ってば魔法の世界じゃん
ワンチャン治す方法もあるかも知んないし… 確証はないけどね」
「そうね… それは私に覚悟が無かったみたい… でもやるよ
このままじゃ終われないからさ シロップも作るよ」
「ありがとう クラハさん…」
このあとティセは、ハーランドから聞いた国の状況など、
より詳しく説明した・・・
「OK! それで全部な そんで深淵と呼ばれる地下迷宮は、
今んところ不明だっつー事なんだな?」
「そう、冒険者たちが日銭稼ぎで潜るらしいよ」
「ひゃ~ ダンジョンか そそるねぇ」
「怖そ~… ゾンビとか出てくるよ」
「ゾンビなら、頭を狙えば良いんじゃね?」
その後、少々話し…
「じゃあ帰るね」
「この
「要らないの?」
「今日買ったのを捌いた分から頂くから良いよ」
「こんな大金持ってたら、親にバレちゃうよ…」
「そうか… んじゃあ… これな」
「銀行のカード?」
「ちなみにこれ犯罪な カードの貸与は犯罪なんだな お巡りさんには内緒な
この口座は使ってねぇし… 帰りにATMで入れて持ってろよ
暗証番号は〇〇〇〇な」
「ありがとう お巡りさんには内緒ね」
「私まだ、お巡りさんですけど!」
「そんじゃあね・・・
ちなみに、
来年忘れないで申告してね…
必要ない場合もあるらしいから、詳しくはネットで調べて
向こうに行く時は連絡してね、じゃあね」
ティセは帰って行った
「・・・・・・」
「さすがカリスマ経営者 裏取り引きのスペシャリストを探すか・・・」
ティセたちが現実世界に帰る直前・・・ ハルヨシ村 兵舎
「ノア様、王都の宰相閣下とアズディニから報告がありました」
「なんだ?」
「先に宰相閣下からの連絡ですが…
ダスティ卿の本領クレイソンの居城から、金品家具調度品など…
金目の物が一切合切消えて無くなっているとの事で… えー
配下の者たちが大騒ぎのようです…」
「金目の物が一切合切だと…
エドワードのケースと同じではないか?」
「そのようでございますな…」
「暗殺未遂の咎で公開処刑 金品も全て失って、世継ぎも家督を継げまい…
処刑されてもなお爵位も剝奪され、領地も没収されるのであろうな…
哀れを通り越して、何とも言えんな・・・」
「やはり領地は没収され、国の直轄地になるのでしょうか?」
「そうであろうな… 以前は領地を売りに出した事もあるそうだが…
王室も財政が逼迫している訳ではないだろうからな…」
「・・・次にアズディニからの報告ですが…
エドワードたちが、また潜ったそうです
調べでは、消えたのはダスティ卿が処分されてすぐのようです」
「レイリアンを外してすぐとは、これは失敗したな… 完全に私のミスだ
恐らく、王都や領内にはいないだろうな…
レビドやアイルザットまたは… 違う国にでも行ったのであろう」
「アズディニはどうなされますか?」
「もう良い… 引き上げて良い 今後も、新たな情報は得られないだろう
また現れたとて、以前のような振る舞いはできぬだろうからな…」
「了解致しました・・・
今回の暗殺未遂ですが、ダスティ卿の私怨の線はございませんか?
例えば、何かの約束が反故にされたとか・・・」
「無いとは言い切れぬが… 果たして暗殺を試みようとするだろうか?
明暗どちらに転んでも、先の未来は "死" しかないのだぞ…
金や地位なぞヤツは当然持ってた… それ以上を望む事も考えられるが…
これは推測でしかないが、恨みを持つ者がダスティを嵌めたのだろう」
「なるほど… それならばダスティ卿に関しては辻褄が合います
つまり… ダスティ卿を始末する為に、王様の暗殺を試みさせた
結果として失敗に終わったが、そもそも端から暗殺の成否はどうでも良く
そして考え通りにダスティ卿は処分された… そのような筋書きだったと」
「そうだろうな… ただ… ノートン、お主は先ほどこう言ったな
"暗殺の成否はどうでも良く" 確かにそうなのだが・・・
どちらかと言えば、"王様が死んだらなお良し" だったはず…
私の推測だが、ダスティを嵌めた者は、ダスティを見た事が無いのではないか?」
「と、言いますと?」
「王様は剣技に優れておる 誰でも知っているし知らぬ者はいない
ダスティ相手に後れを取る訳が無い 万に一つもだ
ダスティの腕では、例えアルゼが相手であっても無理だろうな
そんな者を敢えて、暗殺に向かわせてるような気がしてならないのだ…
あくまでも"推測"だがな・・・」
「では今後は、手練れを送り込んでくると・・・」
「その可能性は大いにありえるだろうな…
私は感じるのだ "いつでも何度でも狙える"と言うメッセージがな
そして今回の一件は、貴族や他国の計略ではなく、一般の者の仕業だな
野に潜む相当な切れ者であるのは間違いない それほどのレベルだ
そうでなければ、エドワードたちの動きが説明できん
余りにも突飛で奇妙過ぎる 気味が悪いほどにな
ダスティ同様操られてると考えると、合点がいく
王様は領民の不興を買い過ぎたのかも知れんぞ・・・
そう遠くない先(未来)で、とても激しい嵐が来るかも知れんな」
「・・・・・・」
とある日の午後・・・ タカミ村
「なにか変わった事はあった?」
「いえ、特に… ございませぬが…」
「そうですね アハハ…」
「なんかおかしいわね… なに隠してんのよ?」
次回 第11話『ギガバザール:フィエスタ』
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