第13話:真夜中の夜空②

あと南中まで50分になったころ、俺はもう一つの方をミリスちゃんに話していた。


俺「ねえ、ミリスちゃん。スキル通知って聞こえる?」


ミリス「スキル通知?何それ?」


俺「あ~、簡単に言うと「【◯◯】を取得しました」と聞こえるやつ。」


ミリス「そんなの一度もないよ。」


俺「やっぱりね。こっちも転生者限定かな?は~。ミリスちゃんには、無理そうだよね。」


ミリス「ん~。そういえば、初代女王は、ある日から謎の声が聞こえるようになったってあったんだけど、それがそうなのかな~?」


俺「それって、確信はないよね?別のじゃない?」


ミリス「それもそうな気がする。でも、気になるから、明日村長に聞いてみようよ。国民票を受け取ったあとに…。」


俺「あ~、そういえば、今日国民票の受け取り忘れてたな。目的の1つだったのに。」


ミリス「うん、だから明日取りに行くの。その時にちゃんと聞くように覚えておくね。」


俺は、そのように言われたあと、しばらくまた空を眺めていた。もうそろそろ南中かな?星座が綺麗だな。雲1つない青空だな。そんな感じに思っていた。月を掴んでみたいまでも思っていた。


俺「月が綺麗だね~。今日は、満月かな?1ヶ月に一回しかないから、楽しまないとね。」


ミリス「そうだね、お姉ちゃん。月が綺麗だね。…。」


俺「南中まで、あと少しかな?ねえ、南中した月に光当ててみない?」


ミリス「光?どうやって当てるの?」


俺「あ、ごめんなさい。ミリスちゃん、【聖魔法】覚えてませんでしたね。でも、手を合わせて魔力を送るだけでもいいのでやってみましょう。」


ミリス「うん、わかったよ。…でも、それをしようと、思ったの?」


俺「月って太陽のおかげで光ってるじゃない…。それで、もっと光を当てるともっと光るのかな?って思ったの!」


ミリス「ん~!面白そう!やりたいよ!」


俺「それじゃあ、そろそろかな?手を合わせよう。」


そう言うと、ミリスちゃんは、俺のきれいな手に手を合わせた。


ミリス「…。セシラお姉ちゃんの手、綺麗だね。あと、モチモチしてる。」


俺「えっ?何?キレイなの?あまり言われたことないんだけど…?今は、モチモチしてるの?」


ミリス「お姉ちゃんは容姿も綺麗だし。いいよね。羨ましいな~。」


俺「あ、そうなの?私、今の自分の姿確認したことがないんだけど?」


俺は、そのように言った。もちろん、1回だけ見たことがある。しかし、そのように言わないと怪しまれることになる。鏡や水などの姿を確認できるのは世界樹の森に転移してから一切なかった。そのために明らかにおかしいことになるのだ。


ミリス「お姉ちゃん、美女だよ。スーくん鏡お願い!」


ミリスはそのように言って、妖精に鏡をもたせ、俺の所まで近づかせた。


俺「えっ、これが私?生前よりキレイなんだけど…。髪は別の色になってたのは知ってたけど、顔もキレイになってる…。」


俺は、そのように言った。もちろん、これも演技。まあ、生前は少し根暗な男だったから生前よりキレイということは事実だ。それよりももう【聖魔法】を撃たないと。もう南中するぞ。


俺「私だけじゃなくてミリスちゃんもキレイだと思うよ。よし、【聖魔法】を発動するよ。〈ホーリーレイ〉」


俺は、月に向かって強い光のビーム?を放った。この属性はアンデットや魔族以外には威力がないことを知らずに…。


ミリス「えっ、私キレイなの?お姉ちゃんのほうが絶対キレイだよ。」


俺が〈ホーリーレイ〉を放ったあとにミリスちゃんは遅れて返事をした。


俺「やっぱり、効果がないね。もう、しなくていいかな?」


ミリス「うん、効果なかったね。お姉ちゃんもう帰ろう!」


俺「うん、帰ってもう一回寝よう!」


俺とミリスちゃんは、家の扉を開けて、そのままベットに入って寝ることにした。





~1時間後~


私(ミリス)「お姉ちゃん?寝たかな…。よいしょ。バタッ。妖精さん。おいで!」


私が家から出てそう言うと、3匹の妖精が集まった。


私(ミリス)「私、日本語を覚えたいの。何か案はある?」


そう言うと、スーくんが空間の収納から本を取り出した。


私(ミリス)「なにこれ?タイトルがわかんないよ。何を持ってきたの?それにどこから?これは、もしかして日本語の本?…。ってことは、地球から?妖精さん発音してよ!」


そう言うと、炎の妖精は、本を開き、ひらがなの「あ」のページを開いた。ページには、文字が1つずつ書かれており、1つの文字の下のあたりに魔石?があった。これの使い方は、魔力を込めればいいと分かっていたので、魔力を魔石?に込めた。すると、何やら謎の声が聞こえた。


???「あ」


ミリス「え?なにこれ?魔道具?他の人の声が聞こえたよ!でも、何か聞き覚えがあるような…。」


妖精さんたちは、ミリスちゃんが魔道具?と聞いたことに対して首を縦に振っていた。


ミリス「あ、ありがとう。魔道具なんだね。でも、ホントにどこから?地球って魔道具ないよね?」


妖精さんたちは、また首を縦に振っていた。


ミリス「えっ、ということはケーメ!そこかな?」


妖精さんたちは、今度は首を横に振っていた。


ミリス「え、違うの?…。やっぱりこの世界のものなの?空間収納に入ってたし…。」


実はスーくんが出している空間収納は、彼?が持っているもので、この世界のものが入っているのだ。そして妖精たちは、今度は首を縦に振っていた。


ミリス「え、やっぱりこの世界!意味がわかんないよ~。」


ミリスちゃんは、どうして妖精の空間収納の中にに日本語の本があるかは分からなかったが、深く考えるのは諦めて熱心に4時まで日本語(ひらがな)のべんきょうをした。実はミリスちゃんと主人公が寝る前にした月に聖魔法を撃つことが後に主人公に大きな変化を与えることになるが、今は誰も知らない…。


――――――――――――――――――――

〈あとがき〉

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