第6話:世界樹

俺は、目が覚めると森の中に居た。しかし、どういうことかさっきまで居た空間にもあった大きな樹が目の前に見える。今回は、前回と違って、この大樹以外にも木が周りにある。そのようなことを考えていたら、1人の少女が近づいてきた。


???「ねえ!だいじょうぶ?お姉ちゃん、ケガしてるの?」


俺「いや、大丈夫だ…です。」


俺は、立ち上がってそういった。危ねえ~。今俺は、女の子になっているんだったんだ。少し女の子風の喋り方をしないと…


???「そうなの?何で世界樹の近くに居たの?ここは、あまり近寄ったらいけないよ。」


俺「そうなの?え~と、その前に名前を聞いていいかな?」


ミリス「私?私はミリス!ユグラシア王国のイースア村の村娘だよ。」


#桃髪の少女__・__#はそう言った。う~ん。ユグラシア王国?何処なんだ?この世界に来て、地図がないから分かんないな。そう顔をしかめていると、


ミリス「お姉ちゃん…もしかして、ユグラシア王国知らない?」


俺「え~と、そうです…。私は、いつの間にここに居て記憶がないんです。」


とりあえず、とっさに俺が異世界人であること、転生のことを伏せて話してみた。この世界の記憶はないから、実質事実だな。


ミリス「ん~。アリスお姉ちゃんに聞いたほうがいいかな~。う~ん。あ、!」


ミリスちゃんは、何やら、向こうの方に振り向いた。彼女が振り向いた方を見ると1人の女性が「ミリスちゃ~ん!」と名前を呼んでこっちに向かっているのが分かった。


アリス「はぁはぁ、ミリスちゃん…。ここに居たのね。イースア村の周辺や世界樹の森の中をあちこち探し回ったけどいなかったから心配したよ。」


そのお姉さん?は走って来てミリスちゃんにそう話しかけた。


ミリス「ごめんなさい。アリスお姉ちゃん、この人、記憶喪失の人みたいだけど、どうする?」


アリス「えっ、誰?エルフじゃないし、人間…別の所の人だよね?…おかしいな。」


そういえば、言っていなかったが、この人たちは、エルフだ。耳が人間より長くなっている。


アリス「ねぇ、少し質問に応えてくれる?君の名前は覚えている?」


ん?俺の名前…たしかセシラール・セイクリッドだったよな。聖淳は、前世の名前だし。


俺「え~と、たしかセシラール・セイクリッドだったと思います。」


アリス「セイクリッド…?聞いたことがない苗字。もしかして、異世界人だったりする?」


俺は、すごく驚いてしまった。まさかこんなことで異世界人ということがバレてしまった。そしてもしかしたら、転生者の事実もバレるも時間の問題だ。


アリス「あれ?もしかして、正解だった?最近できた苗字という線も考えてたんだけど?異世界人ってことは…地球人?青み掛かった銀色の髪って地球に地毛であった?…あ、もしかして、転生者ということかな?」


まだ、実はバレてなかった。しかし、顔に出ていたため、バレてしまったな。しかも、転生者であることも。まあ、この姿は、珍しいから当然だな。


アリス「それにしても、可愛いね。種族は、人間かな?そうだよね?まあ、とりあえずイースア村まで行って明日、村長に聞いてみようよ!今日は、そのまま家に泊まるようにする?」


とりあえず、今日泊まれそうな所を見つけれた。俺が吸血鬼と知ったら、多分泊めてくれないんだろうな…。


俺「はい、そうします。そこにある樹って世界樹なの?」


アリス「うん!そうだよ。そういえば、転生者ってことは、記憶あるよね?私の妹に嘘を言ってたの?」


アリスさんから、すごく嫌な殺気を感じた。少しでも返答を間違えれば即殺されるほどに…


俺「…。あ、はい!ごめんなさい、嘘を言ってました。ごめんなさい!」


アリス「そんなに謝らなくても…転生者は、自分のことを隠したい傾向があるって聞いたことがあるから知ってるよ。だから大丈夫、大丈夫!」


俺は、とりあえず安心した。これで、殺されるようだったら、ホントに不運すぎるぞ。前世で、命日の一日にかなりの不運なことが起きたのに、結局転生しても、起きるのは話にならん。


アリス「まあ、さっき許したけど、妹を騙してた事実は、消えないからね。ちゃん覚えて次はないようにねぇ~。」


俺「はい!」


俺は、恐ろしい感じに言われ、とっさに返事をした。


アリス「そろそろ、村に帰りますよ。その前に、ミリス、世界樹の近くには、できるだけ来ないようにね。わかった?」


ミリス「は~い!次は、世界樹の近くに来ないようにします!」


アリス「そう言って、またするんでしょ?お姉ちゃん、分かるんだからね!」


ミルティア「え~、ホントだよ…。まあ、夢中になっていて、来ることもあるかもしれないけどね。それ以外だったら、来ない!」


アリス「いや、それ結局世界樹の近くに来てるだからね。ダメだよ。」


ミリス「え~、ダメなの~?それぐらいならいいでしょ?」


アリス「ダメって言ったらダメなの!分かった?」


ミリス「はい…。分かったよ。」


アリスさんとミリスさんは、しばらく姉妹喧嘩?をしていたが、ようやく落ち着いた。イースア村に行くことになっていたんだが、何をしているんだか…。これでイースア村に行けるな。


アリス「え~と、それでイースア村に行くんだっけ?とりあえず、付いて来てね。」


俺「はい、分かりました!」


俺は、アリスさんたちと同行してイースア村に行くことになった。

――――――――――――――――――――

〈あとがき〉

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