1話 目覚め
「はっ!!」
明るい日の光に目を覚まし、まだ眠い瞼を擦りながら今の時間を確認しようと体を起こすと視線の先にいる緑の小人みたいな奴と目が合った。
「うわ!!」
「ギャア!??」
一気に目が覚め、目の前の小人は後ろへ飛び引くと木の後ろに隠れてこちらをじっと見つめていた。
「え?木?森⁉囲まれてる⁈」
視界に映る情報を整理するがほぼ何もわからない。だけども、ここが森らしき場所であり周りにはゴブリンみてぇな見た目の小人がいる。そして自分は何故か全裸!体も小さくなってるし股にあるはずのものが無い!!
「おち、落ちつけぇ俺ぇ…私って言った方がいいかぁ?」
そんなことを考えていたら何かが頭に当たる。
不思議と痛くは無く、何を投げられたのかと地面を見てみるとそこにはこぶし大の石があり、この石を投げられたんだと理解した。
最初の投擲を皮切りに、ゴブリンみてぇな奴らが石をこちらに向かって投げ始めた。
「ちょ!幼気な少女に石を投げるなんてよくないですよ!!!いや、ゴブリンだから乱暴されるよりかはましなのかな」
頭を守るようにうずくまる。
身体的痛みこそないが、化け物とはいえ石を投げられるという行為自体が心に大変な痛みを与えてくる。
「痛くないからいいけど本当はやっちゃだめだからね!!」
しばらくすると石が体に当たる衝撃が無くなり、顔を上げるとそこにはなんかにやにやしているゴブリンが立っていた。
「え、えぇ~」
薄い本的な雰囲気を感じ、幾度も見た来た展開が自分の身に起きそうだなんて少し前の自分は予想もしていなかった。
ゴブリンに近づかれ、嫌な予感がした瞬間体が動きゴブリンを思いっきり押すと思った以上に威力があり、吹き飛んだゴブリンは森の奥へと消えてしまった。
「ギャッ!?」
「え…」
お互い呆けた顔で見つめ合う。意外に目は綺麗なんだなと感じているとゴブリンが鳴き声を上げた。
「ギャガギィギィ!!」
彼らは自分からすぐさま距離を離し、茂みに向かって走り出した。
なんか置き土産に袋のようなものを投げつけられ、それが自分に当たると甘ったるい匂いがする白濁液を掛けられた。
「うぇ…べたべたする……」
なんか甘い匂いだし嫌だな。体に付着した液を手で掬い、手を振って汁を飛ばす。
それを何度か続けていると後ろから声をかけられた。
「…お嬢ちゃん、もう大丈夫だからね」
声の先にいたのは巨大な金槌を片手で持ち、赤の腰まで伸びている髪を持った女性であった。犬みたいな耳が生えているのは種族的なあれだろうか?
「よく頑張ったね。ルエレーネ、この子は任せた。ロジェイナいいな?」
「ああ」
いつの間にか現れたのは白い甲冑を全身に纏った人と、ミルク色の髪の毛を持ち、ポニーテールで髪をまとめている女性だった。
「…拭いてあげるからじっとしてて」
そう言い彼女は綺麗な布を取り出すと自分の顔に着いた液体を優しくふき取ってくれる。自分としては目の前に超絶美人達が現れて驚いたし、目の前で揺れる胸は目のやり場に困り、できる限り視線を下に向けた。
「……よし、あっちもそろそろ終わったころかな?」
そう言い茂みの方向から全身甲冑と獣人お姉さんが現れる。
「斥候は殺した。もしかしたら巣がある可能性があるからギルドに報告しておこう。それに、その子のことも」
こちらをじっと見つめる獣人さん。
「そうですね。その前にこれを着てくれないかな、裸体を他の人に見られるのは嫌だよね?」
「うん……」
まだまだ混乱している頭で返事をするとエルフさんがローブを外してこちらに着せてくれた。そして彼女に背負われると妙に落ち着き眠くなってきた。
「(二度寝しよ)」
体を彼女に委ね、自分は瞼を閉じた。
「…寝たか?」
「ええ」
ルエレーネと言われるエルフの女性はラフィールと言われる獣人の女性の言葉に頷いた。
「はぁ…まだ断定はできないがどうだ?ゴブリン達の慰み者にはなったか?」
「見ていた感じあの白濁液はゴブリン達が使う媚薬のようなもので、体液はなかったと思います」
「そっか、良かった」
ラフィールは大きくため息を吐き、静かに眠っている彼女の頭を少しだけ撫でた。
「運がよかった。私達が巣の依頼を受けていなかった今頃…」
「その可能性はありえたね、だけどももっと怖いのが…」
「この子の種族ですね」
少しくぐもった声でそう言ったのはロジェイナ、全身を純白と金が目を引く甲冑で固めているエルフの女性だ。
「龍神族か魔族か…前者も後者も考えたくはないな。おーこわ」
肩をさすりながら寒そうな素振りをするラフィールにロジェイナは疑問を二人に投げかけた。
「確かに恐ろしいですが、ギルド長から連絡は受け取りました?仲間意識が強い龍神族の事です、ここまで一人とは考えられませんが」
「確かにそうだよねぇ。ラフィールさんも連絡は受けてない?」
「いいや、聞いてないね」
首を振るラフィール。
連絡というとは龍神族特有の技術であり、都市や町の一番偉そうなやつの場所に手紙のようなものが一瞬で届くらしい。
二人はしばらく唸っていたが、自分達では解けそうもない疑問だったので考えるのを一度やめた。
「まあ、あとはギルド長に聞こう。町もすぐそこだしな」
「そうですね。この子のこともありますし」
木の壁に囲まれた町「ヘイスニル」。ここを拠点に活動している自分たちは、町へと到着するとすぐさま二手に分かれ、彼女を背負っているルエレーネは宿へと向かい。
二人は報告用にギルドへと向かった。
次の更新予定
竜神の御子 @danboru1232
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