竜神の御子

@danboru1232

目覚めと恩人の冒険者達

0話 誕生

とある深い森の中、そこには一つの村があった。

その村の人々は村の中央にある祭壇を囲うように集まっており、中央には赤ん坊を大事そうに抱えた村長が立っている。


「昨夜、この村に新たな命が誕生した。この子を完全に一員として迎え入れる前委に前に血の確認をしようではないか」


そう言うと彼は村人からナイフを受け取り、赤ん坊の指先から少しだけ血が出るように指を刺した。

指を圧迫し血が雫となって落ちるぐらいの大きさになると、いつの間にか足元に現れていた狼が口を開ける。

指先を狼の口に向けて垂らし、狼がその血を飲み込むのを確認する。


皆が固唾を飲んで見守り、子供の両親にいたっては居ないはずの神に祈りを捧げていた。すると狼が目を見開いたかと思うと次の瞬間に爆発し、血や臓器を撒き散らした。


「ああ、そんな…」


母親は子供の運命を察し、泣き崩れ。父親も苦い顔をしていた。


「御子…それも神に近い御子か……あれを持ってこい」

「はっ!」


村人の一人が祭壇に近づくと指の腹を噛み千切り、祭壇に血を垂らすと中からガラスの筒に入った液体が出てきた。


「お願いです村長、やめてください!!」


子供の両親は頭を地面につけて子供の助命を懇願したが、村長は首を横に振るだけであった。


「これは彼とした決して破ってはならない約束だ。血の濃い御子が誕生した際は我らに唯一効く毒を以ってして始末しろと…」


祭壇に近づき、ナイフを一度置くとガラスの筒を取り出し先端を指の力で割る。

そして毒液を子供に飲ませようとした時、父親が地面を蹴って村長へと肉薄する。


「させん」


しかし、父親は村長の護衛に剣で腹を貫かれてそのまま地面に倒され、地面に縫い付けられた。


「はぁ……やるか」


こちらをにらむ父親を一瞥し、少しだけため息を吐くと子供に毒液を半分飲ませる。しばらくすると苦しみ始めた子供を地面に置くとナイフに半分の毒液を掛ける。


「さらばだ…」


そして子供の胸にナイフを突き立て、ナイフから心臓の鼓動が伝わらなくなるのを確認すると引き引き抜く。


「何も残らないように処理をしろ、肉片の一片も残すな」

「はっ!!」


村人が慌ただしく動き始める。


「さて、次は君達二人だ。子供を殺され、彼らの元に行かれては困るからな……すまないね」


子供の両親の傍に立っていた者達に目配せをすると彼らは無言で頷き、少しだけ目を閉じて息を吐くと剣を引き抜いた。


「兄弟よ、来世でまた会おう」


村長のその言葉により剣を二人の首を狙い、そのまま振り下ろす。彼らは最後までこちらを睨んでおり、その瞳には怨嗟が宿っていた。


「はぁ……こういうのは数万年に1回位にしてほしいよ」


両親の死体は丁寧に片付けられ、火葬させられる。彼は空を見上げながら頭をかいた。


「彼らにはせめて、良い来世をお願いしてもらいたいね」


歩み出した村長は何も変わらずとも何よりも代え難い日常へと戻っていくのだった

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