第33話

「……どうして、付き合ってるの?」


 一週間以上前の私は、その問いに答えられなかった。


 けれど。

 今ここで、一人でつぶやいてみたところで、結果は変わらない。

 風邪で寝込んでいたのは、事実だ。

 けど、彼を避けていたのも、また事実だ。


 ずっとツインが何を考えているかわからなかった。

 だからどう接すればいいかわからなかった。


 だけど。


 本当に何を考えているかわからないのは、私の方だった。

 どうして付き合っているのか、どうしてツインなのか。

 考えるほど答えは遠のいて、自分が嫌いになっていった。


 きっと無口で反応が薄い私に、ツインはずっと困っていたんだろう。

 だからいつもあんな調子でからかってきて、私の顔色をうががっていたんだ。

 なのに私は、それさえも拒んだ。


 どうして、気づけなかったんだろう。

 悪いのは私だった。


 ツインはずっと私を知ろうとしてくれていたのに、私はツインを知ろうとしなかった。


 どうして気づかなかったんだろう。

 彼の過去に踏み込まなかったのは、彼のためなんかじゃなかった。

 傷つけるのが怖いなら、彼あてにかかってくるあの電話に、こっそり出てしまえば良かったんだ。

 なのに私はそうはしなかった。


 この一週間彼を避けていた本当の理由は、彼を好きなのかどうかわからなくなってしまったからだ。


 けれど、その答えはもう出ている。

 だから私はここにいるのだ。

 だから私は、今日もツインテールなんだ。


 ――――ツインが好きだと言ってくれるから。

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