ROUND 5 新たな恋愛のカタチ
勇者と会ってから1週間。堕天使は城にいた。
勇者を召喚する時に音頭をとった大国、もっと言えば勇者召喚随一の被害者達である。まさかあんなのだとは思わないだろう。
ということで支援は続けているが実質飼い殺し……いや放牧中の国なのである。たいへんだなぁ。しみじみと同情を抱いた。
「天使様、どうぞ」
「はい」
一応は神の遣いでもあるので最上級の歓迎をされる。とても心に染みる。堕天使のSAN値が回復していった。
「遠路遙々ありがとうございます、天使殿」
「うん……遠かった……」
睡眠はいらない。食事もいらない。やることは1つ、歩くだけである。それを1週間続けてきて堕天使は精神がボロボロになっていた。
「勇者はまだまだサーカスやってます」
「そうかぁ……戦力としては申し分無い上にカリスマ性もあるのだがなぁ……」
確か御年80代に入って数年といった具合の国王は頭を抱えている。親衛隊の皆さんも屈強な者で固められ、それはそれは物々しく……あえ?
堕天使はくしくしと目を擦った。間違いない、どう見ても屈強ではない……言ってみればなよなよした者が増えている。半年の間に増員したのか、まあそろそろ身体が危ない年齢なのだしそういう係が増えていても良いのだろう。
……でもやっぱり気になる。ごっそり入れ替わるとかはないだろうし……。気になった堕天使は右手にこっそりと指示を与えた。
(この国の親衛隊の現状を調べて、それで何か変わったところがあったら教えて)
『指令受領』
勇者の魔法があーだのこーだのと話をしたりしていると、調査報告が伝わってくる。
『照会:大規模な改革。男女の性差、体格関係無く有用な人材を雇用し始めた。提唱者は教会でありーーーーー』
若干そちらに集中していると、堕天使の耳に咳払いが聞こえてきた。眼前の老人に目を向ける。
「ところで天使殿」
「あい?」
「TIN-TINは付いていらっしゃるのか?」
「うんち!!!!!!!!!!!!!!!」
SANc(1d10/1d100)の100で-76でアイデアクリティカルであった。堕天使は金切声と逃走衝動に陥った。その後ろ姿を見つめる人々は、男女問わずハアハアしていた。
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