ROUND 4 ああもういいから勇者
呆けている間にもポンポンと芸を見せていく勇者。おおーと歓声を上げる前に少し考えて『それって軍勢を圧倒するレベルの魔法ですよね?』となる堕天使。
水を凍らして散らし、ダイヤモンドダストからの虹……、またの名を大海を動かす魔法を絶対零度に凍らして神の代行者たる威光を撒き散らす姿。
空中ブランコ……身体強化を組み合わせ身体を50も並べるような距離をスピンしながら跳び移る姿。あれ?身体強化……あれもしかしてやってないの?うわ。変態だ。
最後に手のひらから見たことの無い花を咲かせた。それを堕天使に手渡し、勇者は舞台から降りた。
「ありがとうございました」
「わー」
アンコールはしねぇからなコイツめ。作り笑いの裏にそっとその言葉は隠した。
小さな羽をパタパタさせてご機嫌を装う堕天使に勇者が近付いてくる。
「お楽しみ頂けたかな?」
「それはもう」
堕天使にあるのはもう帰りたいから早くサヨナラさせてくれない?だけである。技量は落ちていないしますます研鑽していやがる(※この場合方向性は問わない)のは把握したので、その旨を召喚に協力してくれた国のトップに報告にいかねばならない。でもそれ以上に帰りたい。
「どうかな、興味さえあれば俺のサーカス団に」
「お誘い頂き大変嬉しく思いますが申し訳ありません謹んで辞退させて頂きましてもよろしいでしょうか」
全裸で焼き土下座してもいいからそれだけはやめろ、段ボールで包んでコンクリートに固めてお召し上がり下さい。オブラートで包んでも無理なもんは無理なのだ。
勇者は少し寂しそうにするが、すぐに頬を叩いて笑みを浮かべる。
「そっか。ごめんね急に。もし興味が湧いたりしたらいつでも大歓迎だよ!」
「HA☆HA☆HA」
堕天使は丁重に色々な断りを入れ、サーカス団を後にする。
その顔には徹夜7日目の表情が浮かんでいる。
「帰りたい」
『照会:任務継続中』
「はぁ~~~~~~~~~~~~~~」
一応は神の創造物であるので、壊れたりはしないようになっている。それでも疲労は溜まるしリフレッシュが欲しくもある。
でも生粋の天使であったからか、休むことは体質上出来ない。
ここまでの道のりは降りてくるだけだったから苦ではなかったが、ここからはほぼ徒歩である。
「クソー……」
『推奨:上品』
「うんちーー!!!!!!!!!!」
『照会:アドレナリン過多』
長く苦しい道のり、これからの困難。
堕天使は気が重い。
VS勇者
精神から敗北
Next
VS恋愛神
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます