第3話 馬鹿

―3日前

「やめるんだカイン!!!」

アーダムは窓枠の上に立っていた。

飛び降りようとしているのではない。

魔法を使って空を飛ぼうとしているのだ。

(高いな…。)

体が小さいからか、2階が高く見える。


アーダムは無詠唱でも魔法が使えた。

彼の才能にかかれば、どんな常識も捻じ曲がる。

通常は詠唱することによって魔力の変化行き先が決まるのだが(火として出るか水として出るか等)、アーダムは持ち前の魔力量と感覚センスで全てなんとかしていた。

詠唱をしなければその分余計な魔力が体外へ放出されてしまうのだが、それすらも厭わず、イメージによって魔力回路の形を決定、履行していたのである。


今、彼は何も考えていない。

と同じ感覚で、アーダムは魔法を使った。

いや、使ったつもりだった。

そして彼は落ちる。

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