ワタシの家

ワタシの母は少し変わっており、家に物が増え始めると【引っ越し】をするんです。


引っ越すたびに、不要な物を捨てるのが好きな母でしたが、最終的に何を捨てるかを決めるのは祖母でした。


その中で一番長く過ごしたアパート。


ワタシと妹の中では【幽霊アパート】と呼んでいるこのアパートで沢山の不思議な体験をしました。


四DKのメゾネットタイプのアパート。


二階に部屋が三部屋あり、十畳の洋室と六畳の和室が二部屋。それぞれ、襖で仕切られているだけの広い部屋でした。


足の悪い母はほとんど一階の部屋にいて、祖母と妹は二階の真ん中の部屋(和室)で、ワタシは洋室で寝ていました。



幽霊アパートなので、昼間でも通常運転で不思議なことが起こります。


一階の部屋で一人でテレビを見ていると、ガラガラガラと玄関を開ける音がして、階段をトントントンと駆け上がる音がします。


そして、二階の畳の上を歩く音が響くんです。


ん?妹が帰ってきた?と思い、階段下から声をかけても返答はありません。


二階へ上がって確認しても、誰もいません。


こんなことは日常的にあるので、ワタシにとっては怖いとも感じていませんでした。


時には、話し声、笑い声、走り回る音、ひたすらラップ音などなど。


祖母や母、妹に話しても信じてもらえませんでした。

だって…ワタシしか体験しないからです。


当時、友人にも話したことはありません。

なぜなら【幽霊が見えるという不思議子ちゃん】と思われたくなかったからです。


 しかし、仲間が増えました。

 祖母が旅行に出掛けるため、二、三日不在になった日。

ワタシと妹は喜びました。

早く寝なさいと注意する人がいないからです。

その日の夜は、遅くまでテレビゲームをしていました。

時間は覚えていませんが、だいぶ遅い時間までやりこんでしまいました。

すると、階段を上がってくる音がしました。

ワタシと妹は顔を見合わせて、ヤバい!お母さんから怒られる!と思い、すぐにテレビを消し、部屋の電気を消して布団に潜り込みました。


しかし、母は部屋に入って来ようとはしません。

階段を登って扉を開けると、部屋があるのですが、とっくに階段を上がり切ってるはずの母は一向に扉を開けないのです。


もしや、母はワタシと妹を怖がらせようと思っているのか?もしくは、電気が消えたので一階の部屋に戻ったのか?と薄暗闇の中、妹と目を合わせました。

寝たふりを続けることを目と目を合わせて会話した時、コンコンコン!とノックをされたのです。

ワタシと妹は見つめ合ったまま、動けませんでした。

そして、また…コンコンコン!とノック。

心臓がバクバクしました。

妹は何かおかしいと感じ取り、声も出さず泣き出しました。

そして、またノックをされた時、私は布団から飛び出し、部屋の電気をつけて扉の前に立ち、叫びました!

お母さん?!やめて!なに?!もう寝るから!

何も答えが返ってきません。

コンコンコン…

ワタシは震えながら、扉のノブを握って勢いよく開けました。


そこには、誰もいません。

階段の電気はもちろん、一階の部屋の電気もついておらず、母は寝ていると感じとれました。


ワタシと妹は、きゃーーー!と叫び、扉を閉じて毛布を頭まで被り、二人で泣きながらくっついて目を閉じました。

いつの間に寝ていたのか、目が覚めるとお昼前でした。

母に、昨日の夜、2階へあがってきたか?と聞きましたが、もちろん答えはあがってないよと。


何があったのかは話していません。


それから妹は、今までワタシが体験したことが事実なのだと理解出来たと言っていました。


ワタシが小六、妹が小二の時のお話です。


この、不思議なアパートのお話はまだまだあります。

また、思い出したら書きます。

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